Storia‐異人列伝

歴史に名を残す人物と時間・空間を超えて―すばらしき人たちの物語

スノーグース / ポール ギャリコ

2014-02-15 17:56:31 | 音楽・芸術・文学
スノーグース スノーグース
作:ポール・ギャリコ / 絵:アンジェラ・バレット / 訳:片岡 しのぶ出版社:あすなろ書房絵本ナビ

 

ポール・ギャリコの初期の名作「スノーグース」を読む。2007年にアンジェラ・バレットが描いて見事なハードカバーの絵本になった、絵描きはいいなあ、短篇だが埋もれさせてはならない文学作品を復活させてくれた。物語のあらすじなど捜せばすぐわかったような気にはなれるし、表記のサイトでは絵まで少し立読みできる。だけど、こういう本は手もとにおくべきだ。副題は、ダンケルクの物語なのか・・・

チャーチルの回顧録を読んでいたころ連合軍のイタリア奪回までいったが、数万円するはずの稀少本にコーヒーがかぶるという大事故以来数年も放置状態である。フランス・ダンケルクからの英本土への「大部隊の海峡横断による緊急撤退」は、ロンメルも先頭にいたドイツ機甲師団怒濤の進撃の前に唯一の選択肢だったようだ。「This was their finest hour」

>>>「第二次世界大戦(上・下)W・S・チャーチル著/佐藤亮一訳 河出書房新社」より引用
「・・・ われわれは(1940年)5月24日午前11時42分、ダンケルク戦線への攻撃を一時中止せよというドイツ軍の明文電報を傍受した。...28日早朝、ベルギー軍が降伏した。...5月31日と6月1日はダンケルクの最後ではないが絶頂であった。この2日間に13万2千名の兵士が無事にイギリスに上陸したがそのうち三分の一近くは猛烈な空襲と砲撃の中を小舟艇で海岸から引き上げた。...6月4日フランス兵2万6165人がイギリスに上陸した。...6月4日午後2時23分海軍省はフランスの同意を得て「ダイナモ作戦」の完了を発表した。イギリスに上陸したイギリスおよび連合国軍兵士は、33万8千人余りに達した。」
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この短篇「スノーグース」が書かれたのは、その翌年1941年7月。新聞記者もやったギャリコだから、短篇の下敷きになったことが本当にあったのだろうなあ・・・身体のハンディキャップを持つ画家ラヤダーは他人に背を向けて生きて居たが、鳥たちや傷ついた白雁を持ち込んだ少女に心をひらいてゆく。白雁も少女も毎年訪ねて来てくれるようになってきたが、そのころあの戦争は起った。ダンケルクに足止めされた同胞を救いに小さなヨットで出かけ、浜辺から沖の輸送船に大変な數の兵士たちを運ぶ、そして・・・

スノーグース・白雁のような渡り鳥さえ命の恩人のこと、愛してくれたひとのことは、ずっと決して忘れない。動物学者ローレンツ博士の本『ソロモンの指環』にも高々度の空からでも飼い主目がけて一直線に舞い降りる鳥の話があった。出会いから十年、少女は乙女になり・・・男の残したものは、傷ついた白雁を抱いた少女の絵が一枚・・・チャーチルからみれば何十万人、少女と白雁にとってはたったひとりのかけがえのないひと・・・

鳥は自然の中で自由だが、うちの猫は不自由か?二匹とも炬燵でぬくぬくだから、そうも思えない。この大雪の中げんちゃんの犬小屋に忍び寄ろうとしていた三毛猫よりはずっといいじゃないか。かわいそうだから豚肉やドックフードおすそわけしてやったが、いけないことだ、こまったなあ、どこのねこだろう、純野良にしては丸々しすぎているし...さて、こっちとら、そうもヌクヌクしていられず町内会やテレビ組合で土曜日夜は毎週何時間かとられるし今日もいまから。雪もまた降って来てせっかくの雪かきは殆ど徒労に、もういい・・・

 


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