New Yorkのジャズピアニスト、クニ三上(Kuni Mikami)のブログ

ツアーの様子を中心にお伝えしています。

ブラジル公演記14日目「マナウス」へ

2009-10-21 20:30:00 | 2009年10月ブラジル
 遂にアマゾン中流マナウスに向かう日である。この日の為にニューヨークから「蚊除けスプレー」しかも「衣類用」「肌用」の二本を持ってきたのだ。

 ベレンから2時間、フロリダを思わせる都会だ。空港の池に亀がたくさんいたけど、他の動物は見当たらず。南アフリカのプレトリアがコンクリートの大都会で動物は野良犬さえいなかった事を思いだす。あの時は車で1時間かけてダチョウやキリンを自然保護区まで見に行った。

 ホテルも今までで一番広い、二部屋あってガスオーブンのある本格的なキッチンが付いている。日本の2LDKのマンションの大きさだ。インターネットも無料でとても良いです。

 「土曜日は午前中にアマゾン川ツアーがあります。」8000円で7時間だから安い。けれど、この後日本のツアーがあるし・・・大体、蚊に刺されないようにスプレーまで持ってきたし、黄熱病の予防注射までしたのに、わざわざジャングルにお金を払って行くというのも、何か妙だ。

 夕方は領事館の方々と一緒に、川田敏之氏のお宅へ招待される。南米に入植され50年、国から表彰を受けている80歳近いのにとても元気な男性である。

 生後5ヶ月の時に日本から同行、アマゾンの水で溶いたミルクで育ち、裸で動物たちと遊んでいた、と話す息子さんと、その娘で川田氏の孫にあたる可愛いお嬢さんも。世話好きなこのお宅に滞在している日本からの若者、そして同じ時期に国際交流基金から派遣されているアニメ主題歌を歌う堀江美都子さんとそのマネージャー、にぎやかな夕べには、アマゾンの川魚「テュクナレ」の塩焼き、「山の動物の裂いたやつ」や自家製のお酒、料理が盛りだくさんであった。

 川田さんの著書を後日、読ませていただくことを約束して夜10時ホテルへ戻る。すでにこの街は人が歩いていない。

 さてさて「水を飲んでは危険」な地域にあるプールで泳いでも良いものかどうか?水を飲まないように犬かきにすれば良いのだろうか?暖かい気候で弛緩した毛穴から危ない水が入ってくるのではないか?疑問は尽きない。


川田氏と

ブラジル公演記13日目「べレン」

2009-10-20 08:52:00 | 2009年10月ブラジル
       

 日本から「出版されました」のメール。過去に私のジャズピアノ教本を数冊だしている全音楽譜出版社から今回は読み物が出版された。タイトルは『ニューヨーク・ジャズマンのおもしろジャズ語噺』NYに住む私の体験を交えて色々と書いた。皆様、ぜひ御一読を。
 http://www.zen-on.co.jp/disp/CSfLastGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=22521

 日本人とブラジル人の架け橋となっている「汎アマゾニア日伯協会」を訪問する。日本人移民入植80周年を迎えた今年は各種の行事が盛大に行われた、とお会いした堤剛太事務局長の話。私の演奏もその記念行事の一環である。

 立派な建物は図書室や婦人会の部屋など部屋数も多く、二階にはとても大きな講堂がある。

 未知の土地を開墾し、スイカなどの野菜をこの地に移植した勤勉な日本人への尊敬の念は大きいという。マラリヤや黄熱病、知らない食べ物、自然との戦いなど当時の移民の方々の苦労は想像を絶する。

 中でも成功しているのは、周辺に30件以上の店舗を持つスーパーマーケット「YAMADA」である。幼い時に移民した山田ご夫妻が作った事業である。日本のイトーヨーカ堂を思わせる広い店内には、電化製品、衣類、食品が並んでいる。会長婦人と記念撮影。

 ランチは昨日と同じ量り売りの食堂。今回は左下から「ソーセージ」「小麦のクレープで巻いたハムとチーズ」「豚のベーコン巻き」「アヒル肉のキャサバ・スープ煮込み」「甘めのピラフ」。


 写真には無いが「水牛のチーズ」「なまずのスープ煮」ときくと驚くが、「コッテリしたチーズ」「フワフワの白身魚」という感触で実に美味である。椰子の実の汁は薄い甘さの透明な液体、とても身体に良いというので飲んでみる。椰子の実1個100円!と安い。温かく甘い「タピオカ」も上等。

 今夜の演奏は大きなアレシャンドレ教会、内部には金箔のキリスト像がある。演奏はベースのパトリッキ・フロレンシア氏と私。アンプを極力おさえてアコースティックに近い状態で弾くと、室内にとても良い音で響いた。

 200名の聴衆の中には新聞で見たのであろうか、明日から開かれている国際犯罪学会議に出席のためにベレンに来ているパナマやフィンランドの方々もいた。

 終了後に収録していた地元TV局のインタビューを受ける。



空港のヤマダの看板


ミセスヤマダと


ブラジル製しょう油・サクラ


日伯協会・堤事務局長


パトリッキ・フロレンシア氏とデュオで演奏中


記念撮影


インタビューを受ける


ブラジル公演記12日目「べレン」

2009-10-19 21:59:00 | 2009年10月ブラジル
 小さな椰子の実を液状にしたアサイは紫色をしている。これを飲む(主食的存在というから「食べる」かな?)と草の香りがする、自然食のような感じだ。アメリカのビーツ同様に翌朝はトイレで動揺するらしい。朝のパパイアは今までに増して甘い。スイカも甘い。が、地域の果物ジュースは全然甘くない。

 朝9時出発。マンゴの並木通りを5分で、今日のワークショップ会場「カルロス・ゴメス音楽学校」に到着である。

 クラシック中心というものの日本の大学にある「ジャズ研」でジャズをやっている学生がいる。彼らは実際の演奏家から学ぶ機会が少ないので、色々と質問してくれる。

 CDで聞いて学んでいるというが、演奏もなかなか上手である。終わっても質問攻めで「個人レッスンを!」などと言うのだが、残念ながら次の予定地へ行く時間となってしまった。

 時間は迫っているが空腹なので、はかり売りのレストランへ。こういう店が自分の好きなものだけ食べられるし、安価だから小食の私にはちょうど良い。

 写真の料理は下から、黄色アフリカ料理「エビ入りバタパやしの実のオイルのシチュー風」、左回りに「カレー風なパエリア」「豆と豚肉煮込み」、右上が御当地名物「マニソバ」これはマニヴァという葉と肉やソーセージを葉の毒が抜けるまで1週間煮込んだ料理。誰が工夫したものか?右横は「チキン」。真ん中は煮込んだ小さな瓜。すべての味付けが口に合う。マニトバは始めての味なのだが拒否感は無かった。



 このレストランの前をアマゾン川が流れている。「なんだ、数百m向こうに対岸が見えますね」と言うと、「あれは島で、あの向こうに九州くらいの島があって、その向こうにまた水があって」というわけで中州の島の大きさが九州サイズ、対岸までは300kmあるという。車で5時間の川幅!

 午後3時からは、無料で音楽を教えているアマゾニア音楽財団。元結婚式場を利用している民間施設なので練習室の大きさがまちまちだが、ここに毎年300名のティーンエージャーが学んでいる。先生は13人。練習風景を視察させていただいたが年齢以上の上手なアンサンブルであった。



アマゾン川


ブラジル公演記11日目「べレン」へ

2009-10-18 21:26:00 | 2009年10月ブラジル
 今日から夏時間なので1時間時計を進める。間違えずに朝8時半出発。日曜日なので20分で空港へ着いてしまう。

 「ゲート番号が搭乗直前に替わったりしますから」とのアドバイス。なるほど発着モニターをよく見ると、これからむかう「Belem(ベレン)」行きが同じ航空会社なのに10時発と10時10分発の2便ある。間違えずに乗れた。

 窓からの景色がサバンナの原(抜け毛の気になる50代の髪)からみっしりした原生林(20代のフサフサ髪)に変わると大河アマゾンの下流、ベレンであった。2時間弱で到着。

 着いたらここは夏時間は採用していない地域との事。時計を1時間遅くする。モワッと暑いが、日本の真夏ほどではない。道路の両脇のマンゴの大樹が日陰を作ってくれる、が実のなる11月には車の上に落ちてくるから危険だそうだ。

 宿泊はヒルトン・ホテル。中は広いが随分と古い建物で扉が木製である。ランチのブッフェが$25、インターネットは24時間$16と値段がニューヨーク並みである。隣の広場では50くらいの露店が並んでいるが、チェックインしてから外に出たら大半が店じまいしていた。

 この街の文化遺産である「大きなスピーカーを乗せた車やオートバイ」が大音量で音楽を流している。カメラを構えるとヤバそうなので、この雑踏の写真が無いのが残念。

 領事館の方からいただいたパンフには「安全対策:誘拐には車が使われるので不審な車が近寄って来たら道筋を変える」とか「簡単なポルトガル語」の欄には「警察を!」「強盗だ!」「泥棒!」「警察を呼んで下さい」と並んでいる。「幾らですか?」とか「ありがとう」などは書くスペースがなかったようだ。

 NYに住む私ですら油断できない感じの街だから、日本から来た人は余りの違いに戸惑うだろう。といってもホテルからは高層ビルの見え、20世紀初頭にはゴム栽培で非常に栄えた(小樽のニシン御殿を思い出す)人口150万の地方都市なのだ。

 素朴な住民が多いというけれど「向かいのバーに入ったら出される飲み物に眠り薬が入っています」ですって。

 ベッドに入ったら、雷と共にものすごい集中豪雨、今は乾季だが日に1回は降るらしい。雨がやんだら名物の大音量で音楽を流す車が通過。13階のこの部屋まで振動が伝わる。どこから電源をとるのかな。


ブラジル公演記10日目「ブラジリア」

2009-10-17 22:09:00 | 2009年10月ブラジル
 ブラジル公演も半分が終わり、各地で好評だったので、ちょっとホッとしている。いまだに洗濯出来ず。

 今日はオフなのでブラジリア観光。四方の壁が青いステンドグラスのボスコ教会は、外見は普通の建物なのに中に入ると別世界だ。青い光に圧倒される。三権広場には司法・行政・立法府のユニークな設計の各施設が集まっている。週末だから革や木製品、衣類などの露店がびっしりのテレビ塔、皆、商魂たくましい。

 先日気に入った量り売りのレストラン「ショパン」を再訪。今日は土曜日なのでフェージョアーダ料理が出ている。「主人の食べない牛の臓物を煮込んで雇われ者が食べた」という米国のソール・フードと似た起源を持つブラジル特有の料理だ。

 8つ位ナベがあってそれぞれ違う臓物が煮込まれているのだが、結局は一緒に料理された豆のソースで、皆同じ風味がついているから、焼肉やホルモン焼きのように臓物それぞれの味は楽しめない。それはそうだ、各部位を味わうのは貴族の性向、食べられない部分をなんとか食べれるように工夫したのがこの料理なのだから。ごはんに豆をかけたのが一番旨い。

 小鳥のさえずりが満ちている街、と思っていたらこの音はセミが鳴いているのだそうだ。物まね上手のセミだ。

 帰りの車の中で「ここはアマゾンのような風土病も無くて・・」と私。「そ・・うですね、去年、ここがデング熱の発生圏に指定されましたけど」との返事。オ~ッ、と風が心地良いのでホテルの窓を全開にして寝てましたよ、私は。テントウムシや蛾が灯につられて入ってきてバタバタやっていたけど気にしなかった・・・。何か突然、足が痒い・・・微熱もあるような(これは冗談)。まいったね。

 部屋に戻りあわてて蚊撃退用のスプレーを身体に塗る。「雨期ではないし、街の真ん中だから大丈夫・・ですよ・・きっと・・・私も1年ここにいるけど、予防注射まだですし・・・」。今夜から長袖、着て寝るとするか。





青いステンドグラスが美しいボスコ教会


美術館


劇場


フェージョアーダ料理の鍋