2007年も残すところ1ヶ月。そこで、現在販売されている商品の中から今回は特にタンクレストイレにターゲットを絞って、勝手にランキングをしてみました。
小川直子が選ぶタンクレストイレ。
結果は、こちら・・・。
1位:INAX SATIS(サティス)88pt
2位:TOTO NEOREST(ネオレスト)72.6pt
3位:National A・La・Uno(アラウーノ)63.8pt
無理矢理、ポイントに差をつけるため、このような評価になっていますが、実際のトコロは、そんなに大差のない結果です。それぞれのメーカーさんには、怒られそうですが、消費者の立場から見ると、どちらも甲乙付け難い!!!
現時点で、現在の私の知りえた情報を頼りに、もしも自宅に採用するなら、サティスかなぁ(?)。といったところでしょうか。
それでは、このような結果になった具体的な評価基準は次の通りです。
SATIS(サティス)
多機種に比べて、裾に向かってシャープな曲線を描く形状が美しく、個人的にはこのデザインが気に入っています。カラーは、通常の便器と同じピュアホワイト、オフホワイト、アイボリー、ブルーグレー、ピンク、サンドベージュ、フォググリーンの全7色の他、+30,000円のプレミアムセレクションとしてパールの輝きを持つカラーシリーズ、全7色、更には、予想外のヒットを飛ばした期間限定商品、アート感覚のポップな色彩がかわいい「サティス カラーズ」も受注生産品として対応。
サティス カラーズ
特に私の評価を高めた原因がその「清掃性」と「洗浄力」。
すっきりしたデザインは、できる限り凹凸をなくし、ホコリや汚れがたまりにくい形状です。さらに、注目したいのは、「お掃除リフトアップ」機能。
機能部が簡単に持ち上がるので、汚れのたまりやすい便器とのすき間がキレイにお掃除できます。この部分が掃除できるのは、今のところINAXだけ。
洗浄方式は、サイホンゼット式を採用。
サイホンゼット式とは、便器上部と便器底のゼット口から洗浄水を流す方式です。
サティスの場合、70%はゼット口(つまり便器底)から吐水して、汚物を引っ張り込み、30%を上部から流します。
従来、サイホンゼット式は、便器の数々の洗浄方式の中でも最高の洗浄方式だと考えられてきました。しかし、地球環境を考える現代、便器の洗浄に使われる水は従来の13ℓに比べ、極端に少ない6ℓ。たった6ℓで効率良く汚物を流し、便器を洗浄しなければなりません。
そのように考えた場合、上から100%流す強力な洗浄方式が有利に働きますが、タンクレストイレの場合、それだけの水を常に確保することができません。
そこで、上部からの吐水の回転速度を早め、水流がぐるりと勢い良く回るように設計されています。
そこでネックとなるのが、水圧の確保。この水圧が足りない場合、十分な洗浄力を発揮できないため、設置に水圧の条件が設けられています。(オプションで低流動圧対応ユニット有り。)
価格も220,000円(税別)からとリーズナブル。フルスペックでも310,000円(税別)から購入可能なのも嬉しいですね。
省エネについては、カタログ記載の数値をもとに検証。実は3機種ともほとんど同等の性能です。
細かな数値の違いは、100%ジュースを例に取るとわかりやすい。店頭に並ぶ100%ジュース、どれも100%なのに濃度が違いますよね。100%だといっても一定の基準があり、果実をそのまま絞ったものではないのと同じことです。
NEOREST(ネオレスト)Xタイプ/Aタイプ/Dタイプ
好みはそれぞれですが、なんとなく形状に不満が残ってしまいました。カラーは、通常の便器と同じカラー展開、ホワイト、ペールホワイト、パステルアイボリー、ホワイトグレー、ハーベストブラウン、ハーベストベージュ、パステルピンクの7色の他、+30,000円のパール調カラー3色を加えた全9色。実際のところ、カラーバリエーションの必要性には疑問が残りますが、3機種を比較した結果、厳しい採点となりました。
フチなし形状や、全体的にすっきりしたフォルムは、サティス同様に評価の高い点です。洗浄方式もサティスとほとんど変わらないサイホンゼットを採用。ただし、ここに評価の差をつけたのは、サティスに比べて上部吐水の水流の回転力(勢い)が劣る(私が目で見て感じたところによります)ことと、ゼット部の水音が大きいことが理由です。
サティスと同様にネックとなるのが、水圧の確保。この水圧が足りない場合、十分な洗浄力を発揮できないため、設置に水圧の条件が設けられています。
価格はD1タイプ:218,000円(税別)からとサティスに比べて更にリーズナブル、フルスペックでも、A3タイプ:320,000円(税別)からと、こちらもサティスとほぼ変わらない内容ですが、D1とA3のスペックの差が大きいので、最終的に甲乙付ける目的のため、差をつけました。
この点においては、ほぼ変わらない。と見て良いと思います。
省エネについては、前述の通りです。
今後の注目商品。
ネオレスト ハイブリッドシリーズ AHタイプ
2007年8月に登場したネオレストの新シリーズ。これまで、ネオレストに足りなかったものを全て満たして登場したTOTOが誇る最高傑作。
本当は、こちらの商品も合わせてランキングするべきだったと思いますが、恥ずかしながら、この商品の実物を未だに見たことがありません・・・。
というわけで、今回は注目商品としてご紹介だけさせて頂きます。
それに、「タンクレストイレ」・・・と言いながらも、実はタンクを内蔵。
この内蔵タンクのおかげで、これまでの欠点を見事に補っています。
例えば、便器の洗浄音が改良された。設置に水圧条件がなくなり、どこでも設置が可能になった。など・・・。
詳細はTOTOのホームページをご覧ください。
A・La・Uno(アラウーノ)
トイレでは、業界トップのTOTOと2位のINAXが国内シェアの9割を占めるという中、彗星のごとく現れたのがNationalのアラウーノ。「トイレがトイレをアラウーノ♪」といったわかりやすく、衝撃的なCMで世間に強烈な印象を与えた商品。
二層式から全自動洗濯機を世に広めた松下の製品だけあって、私も注目の商品でした。もちろん、このブログでも早速にご紹介しています。
2006年12月の発売から1年。そろそろ実際にご利用になられた方のレビューや、私が実際に商品を見た印象などが出そろってきました。
まずはそのデザインとカラーバリエーションから。
プロダクトデザイナー深沢直人さんと共同企画されただけあって、デザインにも新鮮な印象を受けました。カラーは、トップカバーのみのバリエーションで、ホワイト、ホワイトグレー、パステルピンク、ペールナチュラル、ダークセピアの全5色。INAX、TOTOに比べてバリエーションは極端に少ないものの、ペールナチュラル、ダークセピアといった木目柄を便器に採用した大胆さが私は好きです。
また、さすが照明も扱うNationalだけあって、便器に内蔵した照明設計にその技術が光ります。眠りを妨げない優しく、必要なあかりでトイレ空間を照らします。
便器自体のサイズは、どこかしら、少し大きな感じがする形状。私もショールームで2度利用しましたがウォシュレットの体験をしていないことに、今この記事を書きながら後悔しています。使用されたレビューの中には、その使用感に不満を抱くものも見つかりました。便座部分も大きく、高齢者や小さな子どもには、座りにくいというのも、改良の必要がありそうです。
さて、アラウーノの最大の特徴は、勝手にお掃除してくれるという洗浄方式。市販の台所用洗剤を洗剤タンクに補充して利用することで、ブラシ掃除を軽減するというもの。商品発表時に私が入手したカタログには「ブラシを使ったお掃除は年104回からわずか4回に!(ブラシ掃除が3ヶ月不要!)」と謳われていましたが、現在ではその表記がなくなっています。
サティス、ネオレストが採用するサイホンゼット式とは異なり、独自に開発した「ターントラップ洗浄方式」を採用。これにより100%上部からの吐水を可能とし、節水タイプ(6ℓ弱)の水量でもしっかりと汚物を流してくれます。
そんな中、気になるのはその泡の量。
ごくまれに、食洗機に通常の液状の中性洗剤を使ってしまわれるお客様がいます。その際、泡が予想以上にでき、機械が不具合を起こすというトラブルがありますが、まさに便器がそんな状態に・・・。(もちろん、不具合ではありません。)
私はこれまでに泡切れした姿を見たことがありません。水面が高いことにも不安が残ります。水ハネ等の心配、それから、泡の影響によりトイレットペーパーが流れ切らないといった不具合も考えられます。赤サビの発生を訴えるレビューも見つけました。
ショールームに据えられている便器に思わず目が留まったのは、便器部(外側)の黒ずみ。便器に陶器ではなく有機ガラス系新素材を用いているせいか、空気中のホコリを吸い寄せてしまうのでしょうか。お掃除は、便器の内部だけで良いというわけではありません。
このあたりの改良をして、次に発表されるアラウーノ第2弾を期待して待ちたいと思います。
価格は288,000円(税別)からと他機種に比べてやや高額。フルスペックでは340,000円(税別)。
省エネについては、カタログ記載の数値をもとに検証したところ、一歩抜きに出た印象があります。
ライバル社からも特に評価が高いのが抜群の施工性。これはユーザーのみなさんにはあまり関係ないかも知れませんが・・・。あえて言うなら、施工費に差が生まれるかもしれませんね。それは、アラウーノが陶器ではなく、樹脂でできているから。約40kgの他機種に比べ、重さ半分の約20kg。排水位置にも細かく対応しているので新たな給排水工事が不要なのも嬉しいですね。
いかがでしたか。
カタログだけでは読み取れない、それぞれのメリット・デメリットがあります。ご自身にとって何を優先されるのか。誰がご利用になるのか。じっくり検討する必要がありそうです。便器といっても便フタが勝手に開いたり、自動洗浄したり、リラックスミュージックが流れたり・・・とっても贅沢に、そしてとても高価格帯の商品になりました。
現在、10~15年程度で便器を交換されるご家庭が多いそうです。一度据えたら約10年間毎日つきあう便器。商品選択にも慎重な目が必要ですね。