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インテリアコーディネーターのブログ。
住まいのこと。インテリアのこと。仕事のこと。子どものこと。。。

6月28日 2006ミラノサローネレポート その1

2006-06-29 | イベントレポート
YKKAP主催、大日本印刷によるセミナーへ参加してきました。

ミラノサローネは、毎年イタリア ミラノで開催される国際家具見本市のことです。
2006年は、世界から1,374社が参加しました。
その規模は東京ビッグサイトの約4倍。東京ドーム総面積の6.7倍と言われています。
私もいつかは行ってみたいイベントの1つですが、とりあえず、このセミナーで知り得た情報を公開したいと思います。
このミラノサローネで発表されたデザインが、住宅業界の流行をつくる。とも言われています。住宅も洋服のように早いスピードで流行が移り変わるようになってきました。京都では、約3年。東京では1年だとも言われています。
ミラノサローネで発表されたデザインが日本のトレンドとして世間に認められるまでに3年程度の時間がかかります。つまり私たちは、ここで得た情報に対する準備をし始めておくことで、3年後の流行の到来に備えることができるというわけです。


木質系家具のカラートレンドの移り変わり
(ミラノサローネで発表された木質系家具のカラー分布)
このデーターが示すように、2002年頃より、ダーク系の木質家具の割合が増え始めるのと同時に、ミディアム系の割合が急激に減少しています。現在のトレンド色としては、やはりダーク系色になるのではないでしょうか。


オーク
メーカー各社に根強く残るオーク系の床や建具材。
この材質とミディアム系の色味は、定番色として長く利用されてきました。


チェリー
ちょうど、私がコーディネーターとして活動し始めた2001年頃、ペール色の新鮮で明るい印象が多くの方に受け入れられ始めていました。
木質といえばオークが当たり前だった時代から、より、木目を抑えたバーチ系フルーツウッドの時代が到来します。

それから、数年が経過し、そろそろペールカラーにも飽き始めた2004年。
ダーク系の色味が、少しずつ注目され始めました。明るくてひろびろとした空間を求めた時代から、より高級で落ち着きある空間へ。


特に昨年あたりから、インテリア業界では「ホテルライク」という言葉があらゆる場で利用されています。この非日常を日常の空間に取り入れよう。とする考え方を表現する近道として、ダーク系素材が利用されているのではないでしょうか。


また、これまで、明るい色味にはなるべく木目を出さないつるっとした表面材が好まれてきましたが、明るい色彩でありながらも、木目を強調した素材が出てきました。

今年のデーターから、ミディアム系の色彩の復活を読み取ることができますが、単純に10年前の流行の再来ではなく、また新しい形に変化しての到来と考えることができます。

樹種は、これまでのオーク柄に変わり、チークやオバンコル、ノーチェ(=イタリアンウォールナット)といった(なんじゃそれ?!)というみなさんの心の声が聞こえてきそうな材質。
普段着の会話を用いて表現するならば、「とにかく、これまであまり目にすることのなかった、特徴ある木目の表現を持っている素材」です。


チーク


オバンコル


ノーチェ

そういえば、ダーク系色の中にも、「ゼブラ柄」や「ブビンガ」といった一瞬 “ぎょっ”とする材質が商品化されるようになったのも、こういった時代の流れでしょうか。


ゼブラ

近年、住宅トレンドの変化は速まるばかりで、先にも述べたように、ファッショントレンドの変化のスピードに、近づきつつあると思います。
2年前に購入したスーツがすっかり、型遅れになって、クローゼットに眠ってしまうことも珍しくはありませんが、住宅の場合、2年で飽きた。というわけにはいきません。
6月28日付京都新聞の夕刊によると、国土交通省が2015年までの10年間で住宅寿命を40年に引き上げる数値目標を設定しました。
「造っては壊す」社会から「いいものを手入れして長く使う」社会への移行のためには、供給する側の私たちが、単なるトレンドの採用にとどまらず、新しい素材をうまく活かした住宅づくりを目指すことが課題となるのではないでしょうか。

つづく

6月23日 いよいよ一般公開!!

2006-06-23 | インテリア/建築
年末から計画していたモデルハウスがついに明日、6月24日(土)11:00に公開されます!!!
かなり、かっこいいホームページが出来上がりましたので、ぜひこちらをご覧ください。
モデルハウスのホームページへ

公開日時:6月24日(土)・25日(日)11:00から17:00

今後の予定は、随時ホームページでお知らせします。
お忙しいとは思いますが、ぜひ、お立ち寄りください。

6月24日は、私も現地におります。

6月22日 ジャパンブルー

2006-06-22 | 豆知識
明日の早朝はいよいよブラジル戦。
みなさんの中にも寝不足続きの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

さて、ユニフォームのカラーになぞらえて、「ジャパンブルー」「サムライブルー」などという言葉が飛び交っています。
「ジャパンブルー」。その歴史は、はるか江戸時代にさかのぼります。

江戸幕府が布いた鎖国政策によって、ヨーロッパ渡来の色彩は束の間の刺激に終わりました。
この頃、士農工商の序列とは反対に、商人、職人などの庶民階級が実際には社会を動かす実力を持ち初めていたのです。

この時代から、日本の色として取り上げるのに最もふさわしい色は、特権階級を代表する紫や紅ではなく、藍染めの納戸色、花色、紺色などの青になったとも言われています。

そのような時代背景のもと、幕末に日本の土を踏んだ西洋人が、「ジャパンブルー」と名付けたのは、まさしくこれらの藍染めの青でした。
また、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが初めて見た日本を「何もかも青い国」だと記したのは、やはり藍染の青の実見記録だったのでしょう。

現在も、日本人の多くから愛されている「ブルー」の色。その背景には階級制度といった時代の象徴も見え隠れします。しかし、「爽やか」「清涼感」「清潔」「安全」といった「ブルー」の色味が持つ潜在的なイメージが、日本人の心をしっかりつかんでいるのかも知れませんね。

6月14日 CSについてちょっとした話。

2006-06-14 | ひとりごと
CS(顧客満足)の向上。
それは、どの企業も例外なく目指しているもので、10年前よりも数段に各所のサービスのレベルは向上しているとともに、いろいろな工夫がされているのを感じることができます。

たとえば、お店から届くポストカード。
いつものように洋服を購入すると、その数日後には必ず届きます。
それには、お店でした会話や、そのアイテムの着まわし方の他、今後の入荷予定アイテムのお知らせなどが、綴られています。

親と生活する私は、こっそり購入して、さりげなく前から持っていたことにしてしまいたいのに、「また、買ったの?!」という流れになってしまうこともあります。又、下着ブランドのお店からハガキが送られてくるというのには、抵抗を感じてしまいます。

ですから、このサービスが必ずしも、受け取った側にとって良いサービスになるとは限りませんが、ここまでのことが求められる時代になったのか。と感じます。

先日、JR京都伊勢丹の5Fにある「ブラウニーズカフェ」でランチをした時のことでした。
とにかく、店員さんの対応や立ち居振る舞いがステキで、お店に入った瞬間から(細かいマニュアルがあるんだろうなぁ)となんとなく感じる良いお店でした。

それから、食事を食べ終えてフォークをお皿に置いた瞬間・・・
店員さん登場!!!

(近くで見られていたわけではなさそうなのに、一体どこで見ていたんだろう?ずっと見られていたとしたら・・・。それは少し嫌だなぁ。)
そんなことを考えながら、店内の様子を眺めていました。

すると、とても変わった角度に設置された鏡に気付くことができました。
座っている私には、直接その鏡に映るものは見えませんが、立ってフロア内で待機するスタッフの目には、ちょうどテーブルの上のものが、どういった状態なのか見えるように計算されて設置されている様です。

さらに驚いたのは、空いたお皿が引き上げられると間もなく、氷がいっぱい入った新しいお水が運ばれてきました。
入店した時に出してもらった水とグラスごとの交換。
ここで、新しいおしぼりも出てきました。

ディズニーリゾートでも感じたことですが、いいひとに出会うと、自分自身がいいひとになっていくのを感じませんか?

それには、すごく計算されたサービスの提供が必要なのかも知れません。
そして、「サービス」というのは、受ける側が想像できる程度のものからはそれほどの感動は得られないようです。半歩先、一歩先のもの。
受け取る側が、(そこまでのことをしてもらえるなんて・・・)と感じて初めて、成立するものなのかも知れません。

少し、そんなことを感じたひと時でした。

6月5日 GHハイブリッド制震工法

2006-06-05 | インテリア/建築
昨年の後半あたりから、突然明らかになり始めた耐震偽装問題。
あれからもう半年以上経過し、なんとなく風化しつつある様にも感じますが、みなさんはどうでしょうか。

世間にはたくさんの職業があります。
それらはどれも専門的であり、全ての内容を理解している。という人は居ないと思います。

例えば、医療。
病気になった時、何か身体に異変を感じた時、そんな時はかかった医師の言うことを信じて従うより他ありませんよね。
治療の結果、命を失うことがあったとしても、それが医療ミスなのか、それとも手の施しようがないその人の寿命だったのか。
それらを明らかにすることは困難です。

例えば食肉業界。
それが国産のものなのか、オーストラリア産のものなのか、アメリカ産のものなのか・・・。
切り身にしてラベルを貼られてしまえば、私たちに見分けることはできません。

最近になって、チラホラと明らかにされる不祥事。

昔は、みんなが正直だったのか。それとも世間に公表する術を持っていなかったのか。
どちらにしても、これまで私たちは、目の前にあることを、見えるものだけを信じ過ぎていたのかも知れません。

そして、私の所属する建設業界。
取りようによっては、無差別殺人にもなりかねない耐震偽装によって、多くの人たちが被害に遭いました。

被害者にならない為にも、簡単な知識は身に付けておいた方がよさそうです。

耐震偽装問題に関するハチセ社長の見解はこちら↓
http://www.hachise.jp/tiz/hitorigoto/45/45.html

さて、地震に耐える方法として、「耐震」「制震」「免震」の3つの工法があります。昨今、テレビなどを通じて耳にされる機会があることばではないでしょうか。

耐震
耐震とは、揺れに耐えることをいいます。
建物を硬くし、強度を強くします。耐震は強度の確認がしやすくメンテナンスの少ない方法と言えます。制震や免震においてもベースは耐震性を有していることが第一と言えます。

制震
制震とは、揺れを吸収することをいいます。
耐力壁線に揺れを吸収する装置を取り付ける事により、建物の振動を吸収する方法です。

免震
免震とは、揺れから切り離すことをいいます。
建物の下部にゴムやローラーなどの装置を取り付け地震の振動を建物から切り離します。その為、建物自体の振動が緩和されることになります。
しかし、風圧などの影響もあり、ある程度の規模の地震からその装置が動くように設計されていることが多いため、震度3程度の地震では免震効果は無いことが一般的です。
また、既存建物に取り付けるのは現在のところ難しいでしょう。
(参考サイト:既存建物耐震研究会)

それらのうち、いま、ハチセが注目しているのが「制震」工法です。
私たちが、京都の町家の改修を積極的に行っていることは、このブログをご覧になっている方はご存知でしょう。

その中で、一番の課題が建物の強度。つまり、耐震性をどう補っていくのか。ということでした。
何をすれば絶対安全なのか。いつか訪れる大地震にも耐えることができる住宅にすることができるのか。その正解は、まだ見つけることができていないのが現実です。

これは、単純に私たちの狭い範囲内ではなく、市町村、県、国のレベルに拡げたところで正解はありません。

そこで、現在のところこの方法が信頼できるのではないだろうか。というものを採用することになりました。
それが、GHハイブリッド制震工法です。

GHハイブリッド制震工法は、財団法人 日本防災協会が評価した工法です。
日本防災協会は、耐震工法の客観的な評価基準として2004年11月に住宅等防災技術評価制度を発足しました。これは新築住宅に置き換えると「住宅性能表示」のようなもので、耐震工法の信頼性を測る「ものさし」の役割をしてくれます。
つまり、日本防災協会が評価した信頼性のある工法である。と言えます。

それでは、GHハイブリッドの具体的な仕様についてご説明しましょう。
GHハイブリッド制震工法は、建物に装着されたオイルダンパの内部部品の働きにより地震時の揺れ(振動エネルギー)を柔らかく吸収し、熱エネルギーに変換する制震工法です。


制震装置「減震くん」


特に地震の揺れは一度限りのものではなく、余震を含めて繰り返し揺れますが、オイルダンパは繰り返し動作時の性能再現性に優れており、連続して発生するような大地震に対しても有効に作用します。「GHハイブリッド制震工法」は建物に加えられた地震力をオイルダンパにより吸収することで、倒壊や構造部材の損傷を防ぐ働きをします。

4畳半程度の在来軸組み工法により建てられた1階建物に、阪神・淡路大震災の揺れを再現した振動実験が行われました。
装着時と未装着時では、その違いが明らかです。

未装着時

地震の揺れにより最大層間変位が増幅したため、柱と土台の結合部が割裂しました。

装着時

地震の揺れを「減震くん」が吸収したため最大層間変位が抑えられました。その結果、割裂等の損傷は受けませんでした。

この実験によって、最大約70%の制震効果が確認できました。

ところで「層間変位」の意味、わかりますか?
「層間変位」=「層間変形角」は、2階建ての住宅を例にして説明すると、1階の床面と2階の床面の相対変位量のことを言います。つまり1フロアー単位でどれだけ斜めになっているか。1階と2階がどれだけズレているのか。という数値です。

阪神大震災の教訓から、建物は、ひずみが大きくなると揺れが大きくなり、その揺れによって弱い箇所に集中的に建物の荷重がかかることがわかりました。

そこで、この揺れを一定限度内におさまるような設計をしようとするのが「層間変形角の制限」という考え方です。

GHハイブリッドもこの考え方から、その角度を1/30以内に抑える仕組みになっています。

このGHハイブリッド制震装置は、6月末頃一般公開予定の京都市北区紫野南花ノ坊町 新築モデルハウスにて、ご覧頂けます。

また、ハチセリ・ストック住宅京町家において、随時制震工法を利用した改修を発表する予定です。オープンハウスの案内は、随時このブログの中でも報告していきますので、興味があれば、是非、お立ち寄りください。