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インテリアコーディネーターのブログ。
住まいのこと。インテリアのこと。仕事のこと。子どものこと。。。

9月30日 ホテルライクな空間

2005-09-30 | インテリア/建築
祝!阪神タイガース優勝!!!
おかげさまで、とっても寝不足です。22:00にはすでに睡魔に襲われていたというのに、チャンネルをパチパチ変えながら、特別番組のはしごをしていました。
眠気との戦いでしたので、実はあまり記憶にないのですが、深夜3:00頃までは、かろうじて起きていたハズです・・・。

今年の優勝は2年前に比べ、経済効果も約半分。盛り上がりにも欠ける。というようなことは、マスコミでも取り上げられています。私の熱も2年前に比べると控えめのような気もします。
それでも、2年前(優勝が決まった翌日=9月16日)、いつも通り出勤した為にスポーツ新聞を買うことが出来なかった教訓を活かし、今日は少し遠回りして、JR京都駅内の連絡通路にあるキヨスクを訪ねました。

スポーツ新聞5紙セット(サンスポ・スポニチ・スポーツ報知・デイリー・ニッカン)優勝記念保存版。get致しました♪

驚くことに、それを購入していたのは、私と似たような年頃の女性ばかりでした。特別なことのあった翌日は、決まってデイリーを購入します。最近で言うと18分間の中断があった9月7日中日戦でしょうか。(←ちなみに、この日はテレビ中継が終了したあと、ラジオの前で固まり、試合終了後には、スポーツニュースのハシゴをしました 笑 )これまで、電車の中では少し控えめに広げていましたが、(な~んや。みんな同じやん♪)と、強気になっています。

余談を熱く語り過ぎましたが・・・今日の本題です。

9月15日、川島織物のショールームで行われた新作発表会を訪問した話は、17日のブログでも触れましたが、コンセプトはホテルの客室のような空間。ということでした。桂坤町のリ・ストックプランの要望が偶然にも「ホテルみたいな・・・」ということでしたので、見てきたイメージをそのままかたちにできるので役立ちました。

半地下で、太陽の光が取り込めない、2つの空間。そのデ・メリットを利用して、寝室とシアター(オーディオ)ルームのプランを検討しました。
その内容について公開したいと思います。照明については小泉産業大阪ショールームのTさんに相談してプランニングしました。

数年前、初めてプランニングをして頂いて以来、一目惚れ(といってもお会いしたのは、それから1年以上後のことですが)し、ものすごく細かなことまで教えて頂いています。ショールームで働く女性の対応や立ち居振る舞いには学ぶところがたくさんあります。

Tさんのすごいところは、疑問に対する答えが明確で、「?」の残る余地がありません。プラスアルファの提案ができるすごい人なのです。特に思い出に濃いのが「洗面室用の照明は、浴室用から選ばなければいけないですか?」と、質問したときのことです。

「そうですね。浴室用のものをお選び頂いた方が良いとおもわれます」。

通常は、これで簡潔します。
でも、私は「そうか」。と口では言いながらも(なんで?)という疑問を抱いてしまうのです。Tさんは、それを見越したように、なぜ浴室用でなければならないのか。通常の照明を使った時に考えられる、湿気によるサビや漏電の危険性について、私が疑問を抱くよりも早く答えてくれたのでした。
以来、照明に関して、全信頼を寄せております。
いろいろな方の力を思いっきりお借りして、私とお客様との打合せがなんとか成り立っています。



左が寝室です。ダブルベッドなら、なんとか置いて頂けるスペースです。ヘッドボード側になる入口より奥の壁に、ダークブラウンの織物の風合いを持つクロスを採用し、アクセント壁にしました。その他の面は落ち着いた生成りの色調のクロスで仕上げます。
アクセント壁には、壁面を照らして空間に広がりと奥行きを演出する間接照明のシリーズを採用。キセノンボーランプは、調光も可能なので、シーンに合わせた空間がつくれます。
ベットとの兼ね合いを考慮して、FL(フロアライン=床)より1,500mmに設置します。

アンビエント照明(=環境を演出する)は、ベッドに寝た時にまぶしくならない位置にダウンライトを2灯配灯。これも調光ができるようにします。

通常のシーリングライトでいうところの豆球の役割を果たす常夜灯ダウンライトを入口近くに配当。スイッチは、ベッドから操作できるところに設置します。LEDランプなのでランプ交換の手間がなく、消費電力も少ないことが特徴です。

右側が、シアタールーム。もちろん、購入者の使い勝手によっては寝室として利用して頂くことも可能です。

まず、奥の壁ですが、なんとこの位置に分電盤が埋め込まれています。これがどうにもうっとおしい。そこで思いついたのが、ファブリックを利用するという方法。川島織物の新作がイメージにぴったりと当てはまりました。

こちらも、全体的にアイボリー系の落ち着きのあるクロスを使います。少しさっぱりし過ぎるので、天井面に照明の陰影によって浮かび上がる織り柄のある品番を選びました。
奥の壁には、天井にカーテンボックスを埋め込み、天井面から濃紺のドレープ地を吊るします。基本的には映画館のように、壁として捉えて頂くような感覚ですので、壁面ワイドに合わせて作成し、両端をランナーのマグネットで固定します。両開きではなく、片開きの仕様です。

照明は、アンビエント照明の役割を果たすピンホールタイプのダウンライト2灯を入口近くに配灯。タスク照明(=作業時に必要な手元の照度を確保する)の役割としてユニバーサルタイプのダウンライトをソファやテーブルを置く位置に配灯。
さらに、テレビの両サイドにスタンドライトを設置します。このスタンドライトはリモコンやスイッチで配光の切り替えが出来る優れもので、そのフォルムのシンプルさと、光の映り込みの美しさに、商品発表の際から注目していた商品です。
密かに個人的に狙ってます。いつか欲しいなぁ。と思うのですが、ちょっと高価なのでなかなか手が出せません。

廊下は、アーチ型の天井を利用して、スポットライトを上向き配光で設置し、間接的に廊下の照度を確保します。奥の壁面に配灯予定のフロアライトは、現状のつくりつけ照明(壊れてます・・・)の代替品として。照明というよりは、オブジェ的な感覚で取り入れました。リネストラランプなので、明るさは期待できません。

このように書き上げてみると、空間のイメージが照明による影響を多分に受けていることがわかります。小泉産業の照明セミナーでの、「なんとなく、出来上がってみたら良かった。ではなくて、きちんと想像し、想像通りの完成を迎えてください」という言葉が心に残ります。学ぶほどに、照明の奥深さを感じます。

9月28日 珈琲たいむ

2005-09-28 | 豆知識
お気づきでしょうか。本日テンプレートをリニューアルしました。
以前より、「読み辛い」という指摘を受けておりましたが、少しは読んで頂きやすくなったのではないかと思っています。(個人的には、前のデザインの方が好きなんですけどね 笑)

リニューアルついでにちょっと報告ですが、10月1日の衣替えより、女の子(っていう歳でもないんですが、一応・・・)の制服が新しくなります♪
カタログの写真を掲載しようか迷ったんですが、う~ん。ぜひ、会社に見にいらしてください♪♪♪
今回のは、かなりかわいいです。5年前のすっかり型遅れになった3ボタン&お尻まで隠れるジャケットとは違い、一応時代の流れに乗っかってます☆
作業着で現場に出るのが、嫌になるかも~。そして、昼休みには意味もなく、制服のままうろうろするハチセ社員に出会うかも知れません(笑)。

さてさて、今日は固い話はひとまずお休みすることにして、コーヒーのお話をしたいと思います。
私を良く知る方々は、私のコーヒー好きを良くご存知のことと思います。今年の夏は、現場に出ることが多かったせいか、その量は随分減りましたが、1日7杯くらい飲んでいた時期もあります。もとを質せば、私がコーヒーを好んでいただくようになったのは、高校生の頃で、その頃大好きだった彼の影響が多分にあると思います。
それに加えて、コーヒー好きの父の為の食後のコーヒータイムが、我が家の習慣だったこと。煙草も吸わない、お酒もあんまり得意でない私の唯一大人を感じれる時間なのかも知れません。

そうそう、この場を借りてアピールしときますけど、私は煙草を吸わないんですよ。第一、ハチセは禁煙なのです。
まだ浅いお付き合いの方には、必ず、誤解されるんです(涙)。新しく入社してくる女の子には、必ず聞かれます。しかも、聞いてくれる頃は大抵、数ヶ月経っているので、この頃迄に勝手な像が出来上がっているんです。

コーヒーとたばこを結びつけて考えることが多いからでしょうか。

最近、コーヒーの効用がテレビなどで取り上げられ、ますます私のコーヒー好きを後押ししていますが、日本人は大のコーヒー好きなのです。
日本は今や、アメリカ、ブラジル、ドイツに次いで、世界第4位のコーヒー消費大国なんです。レギュラーコーヒーだけでなく、インスタント、缶コーヒー、ドリンクタイプ、コーヒー飲料など、さまざまなタイプが揃っていますよね。
1人あたりの消費量に換算すると、年間321杯のコーヒーが飲まれていることになるのだそうです(全日本コーヒー協会 統計資料)。この数字は、赤ちゃんも含めた数字なのですから、実際に私たち大人が飲んでいるコーヒーの量は、もっと多いことになることがおわかりになると思います。

私がコーヒーをおいしく感じ始めたのは、前述のように高校生の頃からです。ちなみに、コーヒーといえば、ブラックで、日曜日の遅い朝食にドリップでコトコトとつくる香り高いコーヒーも好きですが、ネスカフェ ゴールドブレンドが大好きです。もちろん、会社にも「My coffe」として常備しています。基本的にお砂糖やミルクの入っているコーヒーは嫌いなのですが、牛乳を入れたカフェオーレや、お店で売っているピクニックのコーヒー、グリコのカフェオレ、雪印のコーヒーなんかも大好きなので、好みが極端なのかも知れません。

コーヒーの味わいと聞いて思いつくのは、その「苦み」や「酸味」だと思います。子どもの頃にはおいしくなかったこの味が大人につれてだんだんおいしく感じられるのには、ストレスや食生活と関係しているそうです。

味覚のうち、甘味・塩味・旨みは「生理的欲求にもとづく味覚」、苦みや酸味は「精神的な味覚」だと言われています。砂糖や塩、タンパク質などが、身体に直接的に必要な成分、糖質やナトリウム、アミノ酸などを含むのに対し、苦みや酸味は、身体にとって本来は「警告」ともいえる味です。これをおいしいと感じられるのは、人が苦みや酸味にも危険がないことを学習し、より文化的・精神的な意味合いで楽しむことができるようになったためと言われています。

そして、人はストレスを感じると「苦み」が欲しくなる傾向があることが、明らかになってきました。ストレスがあると、口の中の唾液成分が変化して、味をキャッチする働きを持つ舌の味蕾(みらい)のうち「苦み」「酸味」を感じる部分が鈍くなります。

一方、「苦み」には、神経を覚醒させる効果があるので、無意識のうちにストレスの解消を図っている、という研究報告もあります。

そして、コーヒーには野菜不足の食生活を補う大切な栄養素が含まれているのです。野菜不足は、「カリウム」などのミネラル不足に問題があります。一方、肉中心の食生活や加工食品の摂り過ぎは、「ナトリウム」の過剰摂取につながり、一説では体に必要な量の10倍にも及ぶそうです。「ナトリウム」と「カリウム」は、互いにバランスを保つことで代謝をはじめとする体内細胞の浸透圧調整を行っていますから、ナトリウムの過剰摂取で体内バランスを崩してしまいます。

話の展開からお気づきでしょうが、この不足しがちな「カリウム」を多く含んでいるスーパー飲料。それがコーヒーなのです。(パチパチパチ・・・
ステーキなどナトリウムを多く含む食事の後のコーヒーは、体内バランスの調整から考えても自然なことです。食後のコーヒーは消化を助け、胃もたれを防ぐ働きもあり、身体にとってもおいしい飲み物なのです。

そうそう。ミルクいっぱいのカフェ・オ・レですが、これは、牛乳のカルシウムとコーヒーのカリウムが一度に摂れるこれまた、ミラクル飲料。フランス人の朝食として定着しはじめたのが、18世紀後半から19世紀初頭のことだと言われています。砂糖や蜂蜜を加え、硬くなったパンをひたして食べることで、質素でも栄養価の高い朝食がとれたそうです。これも、人間の知恵なんですね。

9月27日 Mrs-iclub 4(最終回) 「おくゆき」

2005-09-27 | イベントレポート
WOOD ONE主催 Mrs-iclubのセミナーに参加して早1ヶ月が経ちました。セミナーは、①「霞中庵見学」②「しょうざん見学」③「建築家 竹原義二先生講演会」の3本柱で構成されていました。①と②についてはUP済みですので、今日は③についてのお話をしたいと思います。

「数奇屋造りの建築物から学ぶ『和』の空間、『住まい』の原点 (竹原義二が提案する日本的空間のあり方)」と題された講義で、「霞中庵」や「しょうざん 峰玉亭」を見学した内容に基づくものでした。

建築は、正解が一つではないのでこのような講義を聴いた後、レポートを書いたり人に伝えたりすることが、非常に難しいと思います。なんとなくぼんやり感じ取ることが多い。その全てを一旦吸収して、そこから実現できそうなものや、感銘を受けたものをかたちに表していく・・・。顧客が選ぶものも様々ですが、私たちが提供するものも様々なのは、恐らくこういったところからだと思います。

セミナー後、会社に対して提出したレポートを読みながら、その内容を思い出します。もう一度、頂いたテキストや資料を読み比べると、当時とはまた違ったことを感じます。たった1ヶ月の間にも私自身の物事の捉え方が変化しているのかも知れません。

全体的な構成は、「キレイ」ではない「美しさ」の追求でまとめられていたように思います。英語に訳すとどちらも「Beautiful」ですが、この曖昧な感覚の違いを表現できるのが日本語であり、日本建築なのかもしれません。

竹原先生の講義は、最近のインテリアや建築空間を語るときの表現である「和」「洋」又は「モダン」という言葉があまりに表面的なかたちやデザインで語られ過ぎてはいないか。という問いかけから始まります。

従来の日本建築の美しさを、引き算を重ねて純化された「用の美」、「不完全の美」として表現されました。
そして、「最近の住宅は足し算を繰り返されている」という表現されましたが、確かにここ数年の建物を客観的に捉えたところだと思います。思い当たる節が多々あります。

そして、そんなことを踏まえて1ヶ月経った今感じたことがあります。
何かにつけて耳にする「モダン」という言葉。外観のデザインでもインテリアでもファブリックでも、その分野を問わず、語られています。その中でも数年前から人気の中心にある「シンプルモダン」というスタイル。それは、もしかすると「足し算されたデザイン」に対し、感覚的に飽き始めた私たちが求めた新たなスタイルなのかも知れません。

ウッドワンスタイルという冊子の竹原先生のインタビュー記事の中に、「建築家 ブルーノ・タウトが桂離宮を見て日本の数奇屋建築の中にモダンデザインを見出した」という内容があります。
「桂離宮」から「モダン」という感覚は、私にはありませんでした。

しかし、私はそれらを通して「キレイ」と「美しさ」の間に「奥行き」を見出しました。
私たちは、なんとなく表面的なものにとらわれ、あたかもデザインをした錯覚に陥りがちです。「美しさ」の中に存在する「奥行き感」は、光や影、色彩とテクスチュア、さらにはそこを取り巻く人の関係性に至るまで計算。強いてはその建物が持つ「深み」なのかも知れません。
そういった、意味では建物も人間も似ているように思います。奥行きのある人に魅力を感じるのと同じように、建物にも内から滲み出るものがなければ・・・。

その為には、見なければならないもの。知らなければならないこと。学ばなければならないことが、まだまだたくさんあります。
やはり、もう少し時間が欲しい。と思うのは私だけでしょうか。

9月26日 塗料のあれこれ Vol.2

2005-09-26 | インテリア/建築
今年の春、自宅の外壁を塗り替えました。
新築から10年位が塗り替え時期だというのが感覚的に浸透しながらも、実際に10年経過と同時に塗り替えられるということは少なく、新築時からリフォーム用の資金計画をされていることの方が少ないのではないでしょうか。
我が家も今年で15年目になりました。外壁のクラック(ひび割れ)が気になり始め、ようやくというより、仕方なくリフォームに踏み切った。という感じです。

例えば、新婚当初や、子どもが小さいうちに新築住宅を購入された場合。
10年が経過するころには、子どもも成長し、日々の生活も忙しく、リフォームの日程を組むことができない。又は、養育費や目の前の生活に対する必要経費を考えると、とてもリフォームに充てられる予算なんてありません。

そんな最中、手を替え品を替えやって来るリフォーム業者たち・・・。
(騙されないぞ!!!)と思いながらも、(そろそろした方がいいのかしら?)(このまま放っておいて大丈夫かしら?)と不安になってしまいます。
実際のところ、どうなのでしょうか。ポストに入っている広告の価格も様々です。私たちは、何を選べば良いのでしょうか。

主に外壁仕上塗材は、次の3種類に分類することができます。

① 砂壁状仕上塗材(リシン)

砂壁状の仕上りです。仕上りはつや消し仕上げ。
表面が粗面となるため、比較的に汚れが目立ちます。明るい色味の選択には注意が必要です。

② 複層仕上げ塗材(吹付けタイル)

釉薬タイルと良く似た仕上りです。ローラータイル模様や押さえ模様などのテクスチャーバリエーションが豊富です。仕上りは艶有り仕上げが一般的ですが、艶消し仕上げも可能です。

③ 厚付仕上げ塗材(スタッコ)

リシン仕上げと吹付けタイルとの両方の特徴を持ちます。凹凸模様と押さえ模様があり、仕上りは艶消しが一般的です。
ハチセの外装仕上げ材の主流である「ハローコート(近庄化学)」や「ベルアート(エスケー化研)」の商品は、この厚付仕上げ塗材に分類され、ローラー、ガン、こて、刷毛など作業の方法により幅広い仕上りパターンの形成が可能です。
表面形状がラフなものは最も汚れが目立ちやすくなりますが、経年美という考え方からすると、それもひとつの味かも知れません。

これらは、テクスチャー上の分類になります。
また、これらにはそれぞれ機能性から次の2種に分かれます。

① 硬質タイプ
汎用的に採用され、価格が弾性タイプと比較すると安価に抑えられます。幅広い下地に対応することが可能ですが、クラックが仕上げ表面に発生しやすいことが欠点です。

② 弾性タイプ
クラックが発生しても表面に現れにくく、結果としてクラックからの水分進入を防ぐため、防水機能が高いのが特徴です。
価格は硬質タイプに比べて高く、対応不可能な下地もあります。
防水機能が高いため、一旦内部に水分が浸入すると、塗膜膨れなどの現象が発生する場合があります。

実際に仕上塗材を決定する際には「硬質リシン」、「弾性リシン」といったようにこれらの分類を組み合わせて利用します。

特に吹付けタイルのバリエーションは、主材と上塗り材に分かれます。

上塗り材は優性能・高価格の順に
 フッ素樹脂系 > シリコン樹脂系 > ウレタン樹脂系 >アクリル樹脂系
に分類されます。その耐久期間は場所(直射日光の当たるところ)などの違いによっても変わりますがおおよその目安は、シリコン樹脂系で12~15年、ウレタン樹脂系で9~11年、アクリル樹脂系で6~8年と言われています。

それでは、リシンやスタッコのようにテクスチャーを形成する材料と色相を提供する材料を兼ね備えている主材着色の塗材の塗り替え時期の目安はどれくらいなのでしょうか。
近庄化学さんに電話で質問してみました。

「弾性リシンとハローコートの塗り替え時期の目安は?」

と、いう質問に対し「おおよそ○年ですよ。」という答えを想像していたのですが、そう簡単な質問ではなかったようです。約15分間にわたり細かくご説明頂きました。

まず、立地条件(日の当たり具合、隣家との密接具合など)によって大きく変わります。また、新築当初に施工されたものなのか、それとも塗り替えにより施工されたものなのかによっても変わります。例えば最近良く使われている軽量モルタル下地に、シ-ラ-がきちんと施工されているか。全て状況によって変わります。

これら全て理想的に施工されていると想定して、弾性リシンで7年、ハローコートで10年が目安になります。
この頃が、雨だれなどの汚れの気になり始める時期で、必ずこの時期に塗り替えをしなければならない訳ではありません。

「では、モルタル下地とサイディング下地ではどちらが良いのですか?」という質問をしてみました。

まず、サイディング下地の場合、継ぎ目にコーキング材が使われます。このコーキング材にカソ材が含まれている場合があります。このカソ材は塗膜にブリード(=浮き出すこと)します。これは粘着性があるため、ここに汚れが付着します。この汚れが目立ち始めるのが、施工後2~3年後だそうです。現在では「ノンブリードタイプ」のものも出てきているので、施工の際、何を利用されているかによっても全く変わってきます。
しかし、サイディングの場合、割れの心配はありませんが、モルタルの場合クラックが入り、そこからの水の浸入により塗膜膨れなどの心配もあります。ですから、一概にどちらが良いとは言えない。と言うことです。

それでは、「弾性リシン」と「ハローコート」。一体何がどう違うのでしょうか。

リシンはJIS A 6909の「薄付け仕上塗材」に分類され、弾性と言っても実質的な性能は劣ります。その点、その塗材自体が弾性力を持つハローコートは、リシンに比べて3~4倍の弾性力があります。
しかし、ハローコートには色々なパターンがありますので、このパターンの選択により、その性能にも大きく差が出ます。
例えば、ハローコートだけで施工した場合と、寒水を加えてリシン仕上げにする場合です。要するに1㎡に対してハローコートが何kg使われているのかが重要です。

塗り替えの際には、塗材の価格も大切ですが、それに付随する足場代や手間代がかかります。長い目で見ると上質の塗材を選ぶ方が、結果的にはコストを下げることができるでしょう。また、目に見える上塗り材(仕上げ材)だけでなく、下地材や施工方法にも気を配らなければなりません。

リフォームの際には、これらを踏まえた検討が必要になります。広告上の数字だけでは判断できません。テレビやDVDなどのように、同じメーカーの同じ品番で同じ性能の商品を購入するのとは違います。これが、既製品ではない「住宅」という難しさだと思います。

9月24日 Time is money

2005-09-24 | ひとりごと
なかなかブログを投稿できない一週間だったので、その原因を掘り下げてみようかと考えた。なんかわからんけどいそがしいの~!!!っていうことを、わぁ~!!!って書き連ねたら、あまりに後ろ向きな文章が出来上がったので、とりあえず削除してみた。

「時は金なり」

最近、特にそう思う。
と同時にもうちょっと時間があったら、疲れて仕方ない。とも思ったりする。
一日24時間。やっぱりベストな時間だと思う。

ここのところ、新築一戸建ての打合せが続いている。
新築住宅を土地の段階で契約して頂いたお客様とは、なるべくご意向を伺いながら、着工に至るというのがハチセの自慢できるサービスの一つだと思う。

ご意向を伺う。と一口に言っても所詮は建売住宅。注文住宅ではないということをご理解頂かなくてはならない。その建物に応じた標準仕様や外観のある程度の決まりごとはある。その中でお客様と一緒に、平面図→立面図→仕様決定→色決め と話をすすめていく。

私は、基本的に図面が決定したあたりから参加し、カラー選択を中心に内部の仕様決定のお手伝いをするのが主な役割なのだが、これはなかなか時間がかかる。
平均的に・・・これくらいの打合せをする。というくだりで話をすすめようとしたが、そういえば、今日に至るまで、そういった計算をしたことがなかった。

「決まる迄」エンドレスに続けられる。

初回の打合せは最低でも3時間、平均的に5時間位かかっているだろうか。
例えば、22日に行われたある物件の4回目の打合せは、17時に始まり、終了できたのは22時をまわっていた。

打合せも然ることながら、それに対する準備にも相当の時間がかかる。オプション工事となり、追加料金を頂くことにはなるが、仕様の変更や、メーカーの変更なども含めて可能な限り、お客様の要望に対応する。
見本やサンプルも可能な限り用意し、納得したもので着工を迎えるというかたちを原則としている。だから、とにかく時間がかかる。

数年前、京都の某建売住宅会社のインテリアコーディネーターと話をする機会があった。彼女は一人で年間100件(数字は定かではない)程のコーディネートをこなしているという。1件にかける時間は、3時間×3回の計9時間だそうだ。それで決めて頂けないようなら、彼女が決めるのだと胸を張った。

私には絶対にこなせない件数だと思う。
しかし、あまり尊敬はできなかった。

あれから何年かが経過して、時折彼女との会話を思い出す。

コーディネーターといえど、仕事の範囲も方法も違うので、会社によって全く違う。他の人のやり方を見る機会がなく、自己流で今日に至るが、そこから学ばなければならないこともたくさんあると思う。

時間というのはこうしている間にも流れ続けている。効率と満足の両方を上げることは、相反することをイコールで結ぶようで本当に難しく思う。

時間との戦いは尽きることがないが、ハチセを選んで下さった全てのひとが、幸せな生活を営んで頂ける住宅づくりをお手伝いをすることに時間を費やせることに、私は常々、幸せを感じている。

9月20日 塗料のあれこれ Vol.1

2005-09-20 | インテリア/建築
9月16日、エスケー化研さんの「建築塗料の基礎知識」というテーマで行われたセミナーに参加してきました。

18:00~20:00という業務に比較的差し障りのない時間帯を配慮して下さっていたのですが、個人的にはすっかり疲れ果てた時間からのスタートということもあり、まず集中力の維持が大変でした。

日頃ビジュアル的、感覚的に訴えかけるセミナーを中心に参加しています。何かを学ぶというよりかは、感じる。その中で次の現場と照らし合わせながらイメージを膨らませています。

今回は、学術的というか久しぶりに高校生に戻って授業を受けているような感じでした。決してセミナーの内容を批判しているわけではないので、誤解のないようにして頂きたいのですが、私の知識の乏しさからか、そこから直接的な物件に当てはめる作業ができず、とにかく「?」が積み重なった2時間でした。

と、いう訳で今日は塗料についてセミナーの内容も交えながら、もう一度勉強し直してみました。

塗料は、塗膜形成材(着色材・樹脂・添加剤)と溶剤とから構成されています。塗膜形成材とは塗膜として残るものであり、それを塗りやすくするのが溶剤で、塗膜にならない揮発分です。
噛み砕いていくと、ますます訳がわからなくなるので、成分の細かい構成はこの程度で留めておきましょう。
塗料と塗装の選定には使用分野、使用目的、必要な性能、仕上り等に合わせて、適正な選択をしなければなりません。代表的な塗料と塗装の性質は次の通りです。

①油性ペイント(OP)
 一般的にオイルペイントと呼ばれている塗料です。安価で塗りやすく、肉付きが良い。密着性もよく耐衝撃性、対候性に優れています。欠点としては、乾燥が遅い、粘着性がある、臭いが残る、耐薬品性が悪い等ですが、特に外部用で多く使われます。
ハチセのリ・ストック住宅でも欠かせない工程の一つです。外部では、バルコニーや鉄骨柱等の鉄部塗装として。内部では、廻り縁・巾木などの枠廻りの他フラッシュドアなどの建具類の塗装に利用しています。

②合成樹脂調合ペイント塗り(SOP)
 合成樹脂のフタル酸を用いてオイルペイントの欠点である乾燥時間の長さや表面の劣化・光沢などを改善したものをいいます。

③オイルステイン塗り(OS)
 もともと調合されているもので主に染料を使ったものが多いが、現場でボイル油に顔料であるオイルペイントを混ぜ合わせてつくり出すやり方もあります。ちなみに、パークテラス御池では、後者の方法がとられました。
木部の着色と木目を生かす仕上げによく用いられます。ペンキ屋さんに伺ったところ、「塗るというより、しみ込ませるという感覚」なのだそうです。
主に内部の木部の塗装として使われます。ハチセの住宅に特化して言うと、梁やカウンターの塗装が中心ではないでしょうか。
ちなみに、ボイル油を使用した方が持ちがよく、自然の艶も出やすい。仕上げにもよりますが、拭き取り仕上げが木目を出すのに適しています。

④ウレタンワニス塗り(UC)
 あらかじめ調合された一液形と、ポリウレタン樹脂を主体とした塗料液と硬化剤との二液形とがあります。一液形はフロアータイプで床などが多く、二液形はカウンターなどに使われます。いずれも硬化後の塗膜は硬く、耐水・耐摩耗性に優れますが、チリやホコリを嫌うので現場施工は細心の注意が必要になります。光沢・半光沢などが表現できる高級な塗装です。

⑤クリヤーラッカー(LC又はCL)
 消化繊維を主体とする顔料が入らない塗料です。乾燥が早く、透明な仕上げが得られ、つやが出ます。木工家具や木部の塗装に適しています。

⑥合成樹脂エマルションペイント1種(AEP)
 一般的にアクリル系エマルションペイントといっているもので、合成樹脂のアクリルと顔料(色粉)を主原料とした水溶性塗料です。対候性、耐摩耗性、保色性に優れています。従って、水滴を生ずるような場所、浴室、キッチンなどに適しています。

⑦合成樹脂エマルションペイント2種(EP)
 一般的に水性エマルションペイントといっているもので、水に顔料(色粉)を乳化状にして混ぜ込んだ塗料です。有機溶剤を含まないので安全かつ無公害です。匂いが少なく引火の危険もありません。壁・天井塗料として広く使われています。安価で多くのタイプがあります。

⑧塩化ビニールエナメルペイント(VE又はVP)
 塩化ビニール樹脂または、これに酢酸ビニール樹脂を組み合わせたものです。難燃性で、耐薬品性、対候性、耐水性、耐アルカリ性に優れ「塩素」を含んでいるので防カビ性が良いのが特徴です。厨房や浴室の壁・天井面や、外壁モルタル・コンクリート面の塗装の他プラスターボードの仕上げなどに使われます。

⑨木材保護塗料(WPステイン)
 キシラデコールなどの商品名で知られる木材の保護に優れた塗料です。一般名称はWPステインで、防虫・防カビ・防腐などに効果があります。OSなどに代わる塗料として注目されています。ハチセでは外部の木部塗装として利用しています。
 


⑩シーラー
 壁面塗装の際の下塗り塗料です。下地への塗料の吸い込みを押さえ、下地との付着性を高め、同時に中塗りや上塗り塗料の付着性を高める役割を担います。

⑪プライマー
 金属塗装の下塗り塗料をいいます。錆止めの性能をもち、下地との付着性を高め、同時に中塗り塗料や上塗り塗料の付着性高める役割を担います。

⑫サーフェーサー
 金属塗装の中塗り塗料をいいます。下塗り塗料に強く付着し、上塗り塗料の付着性を高める役割を担います。また、塗装膜全体の厚みを増すと同時に耐久性を向上させ、素材の保護を高めます。


次回は、外壁仕上塗材についてまとめたいと思います。

9月17日 「モダン」の一人歩き

2005-09-17 | イベントレポート

何かにつけて「モダン」ということばを耳にします。
そんな私も、ここ最近のリ・ストック住宅のコンセプトは、「シンプルモダン」「Japanese モダン」「スタイリッシュモダン」「アジアンモダン(ZENスタイル-パークテラス御池仕様)」「和粋モダン」といった具合にどちらかというと「モダン」という言葉に「○○風」という逃げの意味合いを含み且つデザイン性の高さの象徴として利用しているところがあります。

9月15日、川島織物の大阪ショールーム「カワシマデザインコロセアム」にて新作発表会が開かれたので行ってきました。

川島織物のカーテンは、「filo(フィーロ)」「vita(ヴィータ)」「asse celyst(アッセ セリスト)」の3つの商品群に分かれています。今年は「asse celyst」の見本帳の切り替えに伴う新作発表会でしたので、こちらに限定して話をすすめたいと思います。

「アッセ」とは、イタリア語で「軸」または「基軸」を意味します。「セリスト」は川島織物が光触媒技術を利用し「消臭」「抗菌」「VOC分解」機能を付加した加工の名称です。

川島織物の新作コンセプトも例に漏れず「モダン」な空間提案からのアプローチでしたが、個人的に今回の商品は、コンセプトイメージがしっかりと商品に反映されている点で非常に好感が持てました。
色味とイメージのしっかりとした絞込みができています。

「ホテルライクな暮らしの提案」ということで、カジュアル配色を廃止し全体的に落ち着いたシックな色味で構成されていました。無地でありながらメタリックや織り柄、かすれ、シワなどテクスチャーにより奥行き感のある表現がなされていました。

ホテルの内装が、マンションから住戸へと影響を与えています。数年前から流行していた「シンプルモダン」の明るい空間(白い壁・明るい床)から濃色の色使いに柔らかな照明へと変化してきています。それに倣いそのイメージに調和したファブリックスがとても良かったです。
なんとなく、リビング空間への利用には抵抗がありますが、ベッドルームには取り入れやすい手法だと思います。ここのところファブリックに対する提案から遠のいておりましたが、やはり、女性としてはこの辺りが楽しいところです。
特に、今回の色彩展開は秋冬物の洋服と重ねてイメージしてもらえば、女性の方は想像して頂きやすいと思います。世の中のあらゆるものが実は繋がっているということに、ここ最近改めて感じています。

さて、桂坤町で近々着工予定のリ・ストック住宅で、某有名建築家によるデザイナーズハウスがあります。半地下ある2部屋を「ベッドルーム」「ホームシアター」として、計画しています。早速川島織物の新柄を内装の一部に利用させて頂きます。

そのお話はまた次の機会に・・・。

9月14日 日ポリ化工 京都ショールームへ行って来ました。

2005-09-14 | イベントレポート
ご存知ですか?
日ポリ化工株式会社は、昭和37年に創業し、日本で最初にオールFRPのユニットバスを製造した、ユニットバスを中心とした住宅設備機器メーカーです。

8月下旬頃、Ovalというシリーズの採用検討にあたり、資料請求をしました。偶然にも本日京都ショールームをオープンされるとのことで、資料と共にそのご案内を頂きました。
一般オープンに先立ち、私たちのような業者向けの展示会でしたが、早い時間帯からたくさんの方が来られていました。

日ポリ化工さんの商品は、これまで使ったことがなく、資料もインターネットを通じて請求させて頂いておりました。直接資料をお持ちいただけた時も、外出しておりましたので、お話を伺うのも初めてのことでした。カタログは、さらっと拝見したことに留まっておりましたので、商品のことはおろか会社のこともあまり良く知らないという、大変失礼なかたちで参加させて頂いておりました。

まず、ショールームに入ると、一番手前にOval 2016サイズが見えます。
私は、その反対側で受付をすることに気を取られておりましたので(初めての時は、いつでもかなり緊張します 笑)、完全に見落していたのですが、これがなかなか他ではみられない商品なのです。

1620サイズではなく、2016サイズと書いたところにポイントがあります。
通常、1620サイズのユニットバスでは浴室の短手方向に浴槽が据えられ、長手方向が洗い場になっています。しかし、この商品は、長手方向に浴槽を据えるプランも可能でした。さすがに、かなりの高級感です。

続いて、御影石がふんだんに使われた、とてもユニットバスとは思えない和風の仕様(これも、見落としてましたが・・・)に続き、洗面化粧台が2台見えてきます。
話の流れでお気づきでしょうが、私がショールームへ入場し、まず初めに目にしたのがこの洗面化粧台たちです。

(あれ? 洗面化粧台もあるんや・・・)

ぼんやり、眺めていたところで、日ポリ化工の営業さん登場。
ここから、具体的な説明を受けることができ、すっかり見落としていた前述の商品もしっかり拝見することができました。

さて、お話の中で営業さんがおっしゃっていたのが、「ブランド力」という言葉。

私は恐らく(たしかな記憶ではありません)学生時代から知っていた会社ですので、知名度では負けてしまう。という言葉に、少し驚きました。

確かに私たちを含め、注文住宅を積極的に請け負わない不動産業者の標準仕様では見かけることがありませんが、「ユニットバスといえば・・・」的な老舗のイメージを持ってましたし、本日もお見えでした元阪神タイガースのランディ・バース氏のCMが記憶に新しかったからでしょうか。
営業さんのお話からすると、CMが放映されていたのは、随分前の話だったそうです。
記憶をたぐり寄せますと、学生時代にさかのぼる訳ですから、やはり随分前ということになりますよね。

「知名度」とか「ブランド力」は難しくて、業種・性別・年齢の差なく認知されているのは、ごく一部の大企業のみで、それ以外は、特に興味がなければ知らないことが多いですよね。私もそのあたりが、実にはっきりしているので、世間では有名な「Kセラ」や「Oムロン」といった大手企業でさえ、就職活動の終盤まで知らなかったくらいです。
もちろん、今働いている「ハチセ」という会社も全く知らなかったので、正式な入社の直前まで「八清」が正式名称だと知らず、学校の就職課には「ハチセ」で登録してしまいました。

話が脇にそれましたが、資料請求のためにインターネットの検索をすると、浴室に関する掲示板に行き当たりました。その中での日ポリ化工さんへの評価の高さが、実際に商品を見てみたいという気持ちを後押ししたような気がします。

本日の一番の目的は、Ovalを自分の目で確認することでした。
デザインが優れていることは、カタログを見ればおおよそ理解できます。しかし、この形状が、日常にうまくかみ合ってくれるのか?ストレートに言うと、「掃除しやすいかどうか」を確かめなければなりませんでした。

  Oval(オーバル)

雑誌でも時折見かけますが、デザイナーズハウスに代表される設計では、真っ白のモザイクタイルの床にねこ脚の浴槽が設置されていたりします。私が学生時代、実際に見学させて頂いた住宅も、とにかく至るところが真っ白で、浴室も例に漏れず、ねこ脚の浴槽が設置されていました。施主は30代の独身男性でしたが、(絶対こんなところに嫁には来たくない!!!)と、頼まれてもいないのに勝手に想像したものです。

一体誰が掃除をするのか?毎日毎日、手の届かない浴槽の下をどのように掃除したら良いのか考え、それでもやり切れず、みるみる汚れていく姿・・・。想像するだけでストレスが溜まります。

日ポリ化工のOvalは、床にピタっとくっついており、隅まで手の届く形状になっておりましたので、どうやら安心しておすすめ出来そうです。

その他にも、デザインや仕様をバリエーション豊かに変更でき、あらゆる要望に対応して頂ける点が魅力ではないでしょうか。ユニットバスのイメージを見事に裏切ってくれます。
また、浴槽はFRPにも関わらず(もちろん、人工大理石もあります)、その肌触りの良さと色の白さが人工大理石に引けを取らないものでした。最近のFRPは、どのメーカーも本当に良くなってきていますが、これはぜひ、本物を見て頂きたいと思いました。

ご興味のある方は、ぜひ、ショールムでご確認ください。

9月13日 新しいキッチンのかたち

2005-09-13 | インテリア/建築
近年、圧倒的な人気を誇るオープンキッチン。では、オープンキッチンとは一体どのようなものなのでしょうか。

キッチンのプランは、I型(アイ型)・Ⅱ型(二列型)・L型(エル型)・U型(ユウ型)・アイランド型・ペニンシュラ型などに分けられます。

I型とは、文字通りシンクや加熱調理機器、冷蔵庫等が直線に配置されるレイウトをいいます。このレイアウトはコンパクトさが特徴であり、狭い独立型キッチンやダイニングキッチンに適応します。


Ⅱ型とは、シンクと加熱調理器を対列されるレイアウトです。このレイアウトも、基本的には独立型キッチンに適応するもので、作業動線が短く効率が良いのが特徴です。


L型とは、シンク、加熱調理機器、冷蔵庫をL字型に配置するレイアウトです。このレイアウトは、6~8帖程度のダイニングキッチンに適応するもので、その場合には配膳等を含めた作業動線が短く合理的にまとまるため、キッチン全体の作業性も高いものになります。


U型とは、シンク、加熱調理機器、冷蔵庫をU字型に配置するレイアウトです。このレイアウトは独立型キッチンに限らずオープンな空間にも適用するもので、収納性や作業動線からみても効率的なレイアウトです。


アイランド型とは、島をイメージしたもので、壁から離れたアイランド部にシンクや加熱調理機器を独立させてレイアウトするものです。このレイアウトには広いキッチン空間が必要で、アイランド部にカウンターやテーブルを取り付けてパーティー等を行うのに適しています。


ペニンシュラ型とは、半島をイメージさせるレイアウトをいい、ワークトップの端部からダイニングテーブルや新たなカウンターを突出させたレイアウトをいいます。このレイアウトは広いオープンなキッチン空間の形成に適応します。


また、ダイニング空間とのつながり方でオープンキッチン・セミオープンキッチン・クローズドキッチンという分け方をすることもあります。
よく、「対面キッチンやアイランドキッチンとオープンキッチンでは何が違うの?」という質問を受けますが、「キッチンプランの名称」と「空間とのつながりによる名称」という考え方をして頂ければ理解がスムーズかも知れません。

では、オープンキッチンとはどういったものを言うのでしょうか。

オープンキッチンとは、ダイニング空間に対して、壁やカウンターなどで、視覚的機能的に遮断されていないキッチンをいいます。レストランで、客に見えるようにしている調理場や、食堂の中に設けられた台所もオープンキッチンといいます。
住宅では、ダイニングと一体になったDKやLDKをいい、例えば、リビングとダイニングがひとつの部屋のなかにあって、その一方の壁にキッチンが備えられているタイプなどをさします。

しかし、私の主観的なイメージから言うと、現在の流行として捉えられているオープンキッチンとは、誰もが気軽にキッチンに立ち入れ、作業を手伝える、コミュニケーション重視型のものを特に、こう呼んでいると理解しています。
具体的には、吊り戸を設けず、対面式やアイランド形式にしたものへの関心が高まっており、キッチンが単なる作業空間としての位置づけにとどまらず、リビング空間のインテリアの中心的な存在になってきています。

キッチンの商品展開としては、通常奥行き650mmのワークトップに比べ、250mm広い900mmが主流で、よりデザイン性の高いものが特に好まれる傾向にあります。各メーカーとも数年前より商品開発をすすめていますが、ここにきて、20代~30代の団塊ジュニアを中心に広い世代にわたって心を掴んだのではないでしょうか。



セミオープンキッチンとは、リビング・ダイニングの空間的なつながりを保ちながらも、垂れ壁やキャビネットなどで、一部を遮るプランをいいます。建売住宅などで「対面キッチン」として理解されているのがこれにあたります。

クローズドキッチンは、ダイニングルームとの間に開口部を設けず、壁で閉じた形のキッチンを言います。従来日本のキッチンはこのタイプが主流でしたので、どちらかといえば、オープンキッチンの対義語的な意味合いで出来た言葉でしょう。

いずれのキッチン空間を選ぶ場合でも、キッチンのレイアウトには、次の基本事項を考慮する必要があります。
① キッチンにおける作業動線にかなっていること。
② ダイニングやリビング等空間全体の作業動線にかなっていること。
③ 食器や調理器具等の収納計画にもとづいていること。
④ 身長や手の届く範囲、人や機器等の動作に支障のない感覚や配置がなされていること。

特にオープンキッチンを選ぶ場合には、ダイニングやリビングとのインテリアコーディネートの他に、空気の汚れや臭い、水道の音などへの配慮の他、収納計画にも工夫が必要です。キッチンを散らかしていると目に付きやすいという欠点もあります。
デザインだけではなく、基本動作寸法や作業動線を考慮したプランニングが必要です。

以前私は、臭いや音、汚れの面からクローズドタイプのキッチンスタイルにしようと考えていました。いま、もし自分の家が持てるなら、やっぱりオープンタイプのものを選ぶと思います。キッチンもINAXのアコルトⅢ(現在は、グランピアッセが代替品)にはじまり、TOYOキッチン、ポーゲンポール、TOTO スーパーレガサス クリアシリーズに憧れ、現在は、トステムのクレディア ダイニングバーアイランドプランでしょうか。
各メーカーとも、次々に良い商品を発売されます。商品展開の傾向は、一部をのぞき、大きくは変わりませんが、それぞれに違った特色があります。

家全体の間取りプランとの兼ね合いや予算に応じて、設計者やコーディネーターと相談しながら、自分にぴったりのキッチンを見つけてください。

9月12日 Mrs-iclub 3 「峰玉亭見学」

2005-09-12 | イベントレポート
(北区衣笠鏡石町 金閣寺北800m)

戦後いち早くウール地の着物を製造、販売、開発し注目を集めた「しょうざん」という会社の創業者松山政雄が作った光と緑の観光工場。近世の日本美術に偉大な足跡を残した本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が、かつて芸術村を営んだとされた京都洛北・鷹ヶ峰。その美しい山容を借景に広がるのが「しょうざん光悦芸術村です。北には光悦ゆかりの光悦寺、川を下れば金閣寺にいたります。北庭は樹齢450年という古木を混えた北山台杉と紀州石を贅沢に使い、楓と梅林を巧みに配しています。その源に流れるのは、伝統を重んじ、“芸術を愛する心は、美しい環境から生まれる”という松山政雄の人間哲学がこめられています。(WOOD ONE配布資料引用)

こちらも普段は一般非公開の建造物ですが、WOOD ONEさんの企画で見学することができました。

こちらの建物は、しょうざんさんのお取り計らいにより、写真撮影は可能でしたが、個人的な利用に限るというお約束でしたので、掲載は控えさせて頂きます。
こちらもまた、霞中庵とはまた少し趣の違う美しさでした。

現在は、皇族や外国人要人の休憩所として使用されており、年に一度の春の大茶会に限定で200名だけを招待されているそうです。かつて、しょうざんが着物の直販をしていたころは、お客様を1日1組限定で招いて、宿泊してもらっていたそうです。

宮大工によって建てられた釘を使わない工法と、随所に伐採後30年くらい経過した乾燥竹をふんだんに使用した天井、金閣寺の夕佳亭(せっかてい)のものより太いとされている南天の床柱、けやきの一枚板(畳一枚ほどの大きさでした)など、全国から選りすぐりの材料を用いて3年を費やして完成させた迎賓館は、現在、全く同じものを建てようとしても絶対に不可能だということです。

とにかく、その重厚感に圧倒された。という感じの印象を受けました。
と同時に、技術・文明の進歩している現代に同じものをつくることの出来ないことに憤りを感じました。

不動産業界では、数年前から「町家ブーム」の傾向が強く、特に外国人の方や若い人たちに人気です。ハチセでも「リ・ストック住宅町家」というかたちで販売に力を入れていますが、昔の時代につくられたものの良さを再認識できる時代になってきたのかも知れません。

この企画を通して、2つの建造物を見学することができました。また、ハチセが購入する物件の中にも、老朽化による腐食は免れないながらも、立派な建物に出会うことがあります。
時には、どうしようもないひどく朽ち果てた建物でさえも、その土壁や下地の手の込んだ仕上げに心を奪われることもあります。

「時間と手間」が一番のコストアップに繋がり、それを最小限にすることに成功したからこそ、大量生産を可能にし、高度成長期を迎えました。しかし、このことが原因で日本の建物が短命に潰されてしまう。スクラップ&ビルドの時代を迎えることになったのではないでしょうか。

ハチセでは、時代と環境に訴えかけていこうとする一つの具体的な試みとして、「リ・ストック住宅」という住宅を提案しています。「リ・ストック住宅」とは何たるか?という6つの基準(※1)はあるものの、その具体的な内容は流動的で、みなさんの意見を頂きながら、日々進化させていきたいと考えています。
新築・改装問わず、私たちがこれからのテーマとして掲げているのが「経年美」という未来に向かう美しさの追求で、これは、バブルの時代には忘れられていた考え方ではないでしょうか。

さて、話をしょうざん光悦芸術村に戻しますと、その敷地は果てしなく、今も歴史的な伝統の背景と自然美にかこまれ、四季折々の彩りを楽しめます。
峰玉亭の他に玉庵(ぎょくあん ※2)、酒樽茶室(さかだるちゃしつ ※3)、茶花園を見学させて頂きました。茶花園内に据えられていた自動販売機の450円という価格表示に驚きましたが、伊賀焼のカップで頂き、カップは持ち帰ることのできるシステムになっていました。あらゆるサービスの集合体としての位置づけを持つこの地ならではの、一工夫だと、楽しく拝見させて頂きました。
   
※ 1.6つの基準:①物件調査をしっかりした住宅②ハチセ施工による改装を施した住宅③風呂・トイレ・キッチン・洗面の内、少なくとも2ヶ所以上の改装を施した住宅④ライフスタイルに合わせ、間取りを変更した快適・安全・安心住宅
※ 2.玉庵:京都紫野大徳寺10代管長・清涼室歡渓紹忻老師の命名の茶室で、昭和39年に当地へ移築。そで壁をくり抜き、とも待ちをつくり、濡れ縁に肩もたれの瓦を貼るなど、意匠に手を加える。この茶室は現在も使われています。(しょうざん パンフレット引用)
※ 3.酒樽茶室:京都西陣の豪商の山荘にあったものを昭和37年に当地へ移す。かつては実際に酒樽として使用されていたものであり、茶室になってからも粋人は霧吹きで樽に酒をしみこませて香りを楽しみつつ茶事を催しました。北庭園内にふたつ据えられております。(しょうざん パンフレット引用)

9月10日 NGO?NPOって?

2005-09-10 | ひとりごと
「NPO」という単語、最近特に耳にするようになった気がするが、いまいち信用性に欠けるような気がしてならなかった。「NPO=非営利団体=収益を上げない活動」という認識を持っていた。「収益を上げない」というところに理解できなかった。この世の中で「ボランティア精神」を持った人たち(団体)がそんなにたくさんいるものなのか。この社会でそんなに、心に余裕のある人がいるのかと。

いろいろなチャリティーが行われていて、コンビニにもレジ前に募金箱が設置されていたりする。その度に(本当に困っている人の手に渡っているのだろうか)と、疑念に駆られる。以前にも募金を利用した詐欺が大阪で問題になっていたが、ああいうことがあると、更に信用できなくなる。

募金は、わずかな金額で、「良いことをした」「人を救った」気分になれる自分の為のものだというようにさえ、考えたりする。
すごく偏った考えなので、これには不快を感じる方もたくさんいるだろう。良い言い訳だと感じられる方もいるかもしれないが、そんな理由から、私は「寄付」という考え方が嫌いで、どこにどう流れていくのかわからないお金を使うくらいなら、自分やごく近しい周りの人に使いたいと思う。第一、全く知らない人を救えるほどの力を持っていないことを、良く理解しているつもりだ。

さて、そんな私が、珍しく何かしたい。という気持ちになった。
「ほっとけない世界のまずしさ」
ご存知の方もたくさんいると思う。この辺りでも「ホワイトバンド」を身につけている人を目にすることも多くなった。
「3秒に1人こどもが貧困から死んでいます。」という問いかけで始まるこのホームページは、著名なアーティストやスポーツ選手がたくさん登場する。

3秒に1人も死んでいるなんて、全く知らなかった。こうしている間にも1人、また1人と大切な命が奪われている。
私は何をしたら良いのか?

「ホワイトバンドをつけてください。」ホームページでは、そう訴えられていた。

私は迷わず、購入の手続きをとった。いつもは、あれこれ考える。たとえ1円でも意味のわからないところに使うのは嫌いだ。
全く迷わなかった。むしろ、一時でも早くこの企画に乗らなければならない。という脅迫観念にも似た感覚に陥った。その理由はたぶん、著名人の参加が大きいと思う。NGOとかいう単語にもなんだかものすごい力を感じた。

昨日、この団体から一切の寄付がなされていないことを知った。

みなさんは、ご存知だろうか。その身につけているホワイトバンドで、現在はまだ、誰一人として救えていないことを。

確かに、「ホワイトバンドによる収益を寄付する」というような表記は、一切ない。私の記憶が確かならば、以前はなかった記述が付け加えられていた。「募金活動ではありません」。

騙されたような気持ちになってしまうのは、私が未熟だからだろうか。なんだか納得できない。苦しくも昨日に届いたホワイトバンドは、袋を開けることなく、部屋の隅に置かれている。とても身に付ける気にはなれない。
恐らく、相当の参加者が集まっていると思うし、それなりの収益も得ていると思う。そろそろ具体的なアクションを起こして欲しい。

「かわいそうに思う」だけなら、何もみんなで集まってしなくてもいいのではないだろうか。なんだか、自分の豊かさを改めて感じて、いい気分になっているような気がして悲しく思う。そこにまんまと便乗してしまった私は、最低だと思った。少し自己嫌悪に陥っている。

昨日は、珍しく眠れなかった。身体は疲れているハズなのに全く眠気がこない。もしかしたらこのせいなのか。

NPOについて詳しく調べてみた。フリー百科事典「ウィキペディア」によると「NPOとは、 Non-Profit Organization 又は Not-for-Profit Organization の略であり、非営利組織を意味する。対義語は営利組織、即ち会社など。」をいうらしい。

では、NPO法人とは何か。「NPO法人とは、特定非営利活動法人(とくていひえいりかつどうほうじん)のことで、特定非営利活動促進法に基づいて特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、同法の定めるところにより設立された法人である」

また、私が類義語的な認識で捉えていた「NGO」とは、非政府組織(ひせいふそしき、英 NGO; Non-Governmental Organizations)のことで、「文字通りの意味では、政府組織ではない組織のことである。一般的には、非営利かつ非政府で公共的・公益的サービスを担う活動をおこなう組織として理解されている。」

NGO(非政府組織)とNPO(非営利組織)の境界は曖昧である。これは視点の違いであって、「民間団体の中で、営利目的ではなく社会的な事業を行っているもの」がNPOであり、「社会的な非営利事業の中で、公的ではなく民間によって行われているもの」がNGOであると言える。一般的には、国際的な分野で活躍するのがNGOである。また、NPOは所謂「草の根NGO」的な活動を主たる活動内容としていることが多い。

更にその概説を読み、その理解を深めることになったが、私は少し誤った解釈をしていたようだ。以下にその概説を引用する。


政府が行っているような、利益の上げ難い社会的な活動を行う。但し、「非営利」とは、団体の構成員に収益を分配せず、主たる事業活動に充てることを意味し、収益を上げることを制限するものではない。また、「特定」とは、一般に不特定かつ多数の者の利益(=公益)の増進に資する法人として公益法人が民法で既に定義されていることから、特定非営利活動促進法は特定の分野(=特定非営利活動)に限定して法人格の取得を認める特別法として位置付けられている。ただし、認証の運用上は幅広い解釈が行われており、多様な分野での活動が許容されている。
同法に基づいて都道府県の知事(二以上の都道府県の区域内に事務所を設置するものにあっては内閣総理大臣) の認証を受けた団体が法人格を取得出来る。書面の申請のみで容易に法人格が取得できるため、テレホンクラブ(テレクラ)や多重債務者への紹介屋などが認証を受け、法人として活動しているケースもある。さらに特定非営利活動法人が租税特別措置法に基づき、その運営組織及び事業活動が適正であること並びに公益の増進に資することにつき政令で定める要件を満たすものとして、政令で定めるところにより国税庁長官の認定を受けたもの(その認定の有効期間が終了したものを除く。)は、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)といい、個人や法人から受ける寄附金について課税上有利になる等の恩典が受けられる。しかしながら、認定を受けるための条件(パブリックサポートテスト)が厳しく、2005年5月31日現在では2万を超えるNPO法人全体のうち、わずか34団体が認定を受けているにすぎない。


そもそも、「NPO」や「NGO」の単語から、利益が「0」ないしは、「0に等しい」ボランティア的な位置づけで、無条件に信頼できる、社会的貢献度の高い団体だという風に認識していたが、甘かったようだ。

「正しいもの」「間違っているもの」「信用できるもの」「信用できないもの」「賛同できるもの」「賛同できないもの」その見極めは非常に難しく、何をするにも冷静な目と状況判断が必要だと改めて感じさせられた。

9月9日 パークテラス御池 堂々完成!!!

2005-09-09 | インテリア/建築

8月4日に紹介しましたパークテラス御池407号室が、9月2日、完成を迎えることができました。

改装前間取り

改装後間取り

昭和61年(19年前)に新築されたマンションですので、一番気になるのは、段差です。配管スペースと天井高の関係上、完全なものにはできませんが、出来る限りフラットに仕上げました。1116サイズと呼ばれる1100×1600mmの浴室を1418サイズと呼ばれる1400×1800の最近の新築マンションに引けを取らないゆったりした大きさを確保したこと。また、南西角部屋という立地を活かし、一日中たっぷりと光の取れる開放感を重視した1LDKの間取りが特徴的です。



【カラースキーム】
アジアンテイストながらも「和」の趣を大切にしたZEN(禅)スタイルを表現する代表的なカラースキームに仕上げました。
和紙調の生成りの壁紙、バンブー柄(竹調)のフロアタイル(※1)、赤味のあるダークブラウン(※2)の建具でまとめています。

【改装のポイント】
玄関扉を開けると、床は、玄昌石調の黒いフロアタイルに「和」のイメージを助ける白玉石をアクセントに。また、着物の柄を思わせるノスタルジックなデザインと黒塗りの太い木枠が特徴的な照明で、和の意匠でありながらもどこかエキゾチックな雰囲気を漂わせています。

洗面室・W.C.といった水まわりには、手入れのしやすいCF(クッションフロア ※3)を採用。籐柄を用いることで、居室のイメージを崩すことのない空間に仕上げました。

浴室は、当初予定していた商品が、施工上の問題があったため、別商品で対応。デザインに制約がある中で、変更可能な鏡と御影石柄の収納棚を採用しています。

LDKはカラースキームを3色に統一しながらも、塗装箇所に応じてOS(オイルステイン ※4)・OP(オイルペイント ※5)を使い分け、収納に襖、既存の摺り上げ障子を再利用するなどして全体を仕上げ、床をフォーカルポイント(※6)とした朱色の壁紙や、赤色和紙と竹で構成される唐傘をモチーフにしたペンダントが、個性的に空間を引き立ててくれます。

主寝室は、収納の確保を第1に、浴室空間を広く取った為に生まれたわずかなスペースを利用して、本棚にしました。下から2段はA4サイズの雑誌を、上段は小説を並べて頂ける高さに棚を設けています。

さらに居室部分は、フロアタイルの性質上、防音機能を備えていないため、床下地に防音マットを施工し、階下への配慮をしています。
入居後も安心して生活して頂けます。


本物件の販売は、今週9月10日(土)・11日(日)の2日間、住友不動産販売 京都店さんにオープンハウスをして頂く予定です。詳しくはそちらへお問い合わせ下さい。

※ 1 フロアタイルとは、株式会社サンゲツの床材の商品名で、ホモジニアスタイルのことをいいます。①表面の透明な0.4mmのクリアー層②印刷フィルム層(リアルバンブーの表現)③バッカー層(寸法安定性を持たせる役目)の三種構造から成り、割れや欠けに強く、取り扱いが容易ですが、温度変化による収縮に注意が必要です。

※ 2 dark brown(ダークブラウン)=maroon(マルーン) JIS色番 5.0R2.5/6.0 マルーンは大栗で黒い赤みの茶色を言います。フランス名は「marron」マロンといい、マロニエの実の色を言います。赤みがかった褐色で赤褐色ともいいます。今回の現場では菊水化学の色見本「1200 kabe color KN056G」で指定しており、現場では「サビ色」、「ブラック」、「白」、「赤」、「マルーン」の塗材を微妙に調合しながらつくってもらいました。

※ 3 クッションフロアとは、ビニール製のクッション性のある床材のことをいいます。
裏打ちに不織布やビニール層を使用し、中間に印刷した模様の発泡層、表面に透明ビニールを積層し凹凸をつけて意匠を施して仕上げたシート状の床材です。厚み1.8~3.5mm程度のものが一般的です。メンテナンスが容易で、水に強く、表面の凹凸により滑りにくいので、洗面、トイレ、キッチンなどの水まわりに使用されることが多く、ハチセでは、洗面とトイレの仕上げの標準仕様としています。また、遮音性、衝撃吸収性などにも優れています。

※ 4 OSとは、油性の染料をボイル油、乾性油に溶かしたもの。木部の着色剤として使われる以外に、ワニスやクリヤラッカーの下塗りとしても使用されます。ペンキとは違い、塗装しても木目が見えるのが特徴です。

※ 5 OPとは、油性ペイントのことで乾性油やボイル油と顔料を練り合わせた塗料です。

※ 6 フォーカルポイントとは、視線の集まる場所、焦点のことを言います。


9月6日 Mrs-iclub 2 「霞中庵見学」

2005-09-06 | イベントレポート
「霞中庵」京都市右京区嵯峨天竜寺若宮町

「東の大観(たいかん)、西の栖鳳(せいほう)」と並び評された日本画の画家、竹内栖鳳の好みによって作庭されたといわれる嵐山を借景とした庭園に、明治45年から5年もの歳月を費やした数奇屋造りの別邸や書院棟、茅葺の画室の「霞中庵」があります。

絵よりも傑作と評された建物は、京都の数奇屋十選にも選ばれ、国の重要文化財に指定予定。

建築家ではなく、画家の栖鳳が考えて建てられた建物なので、建築の常識にとらわれない自由な発想で、それがかえって新鮮だと、建築家が時折見学に訪れるそうです。普段は一般非公開の建造物ですが、WOOD ONEさんの企画で見学することができました。
写真撮影は、不可ということで残念ながらそのすばらしい建造物のご紹介は私のつたない文章に頼ることになってしまいます。

私が目にした「霞中庵」- それは、実に美しい建物でした。

明治45年というと西暦に直すと1912年のことですから今から93年も前に手掛けられたということになります。その間に私たちはあらゆる面で進化を遂げたハズですが、失ったものの大きさを痛感させられたような気がします。
深い軒、なんとも言えない色味の壁、頭を打ちそうなくらい低い天井の茶室、光と陰影のコントラストの美しさ・・・。
まるで生き物のような、生命力を感じました。
建物から「生命」を感じる感覚。とても表現が難しいのですが、普段「建物」からは、とうてい感じることの出来ない感覚を味わったような気がします。
果たして、現在(いま)の建物から生命力を感じることなんてできるでしょうか。
そのようなことは、私自身、今日の今日まで考えたこともありませんでした。
「建築」というものは、ある種、無機質で、ハードなもの。それに対して、建築家ではない私が、「生活」という内面的なソフトな感覚をインテリアや色を利用してどのように表現していくのか。というようなところが課題でした。

それなりに時間をかけ、悩み、完成したものに、何か物足りなさを感じるのも、昔から受け継がれた建造物に比べどこか見劣りするのも、もしかしたらこの「生命力」が圧倒的に決如しているせいではないだろうか。と、甚だ現実離れしているともとられかねない感情を抱きました。

さて、そんな「霞中庵」の特徴的なところを紹介します。
①まず、床の間は、床柱を無くすことでより開放的になり、気軽にお茶を楽しめる空間になっています。「栖鳳のもてなしのこころと気配りによるものだ」と、霞中庵を管理されている方はおっしゃってました。②次に目を引くのが靴脱ぎ台です。保津川くだりの船頭さんは、必ず同じ場所で竿をつくそうで、その場所には穴があいています。それをおもしろいとおもった栖鳳は、霞中庵までその石を運ばせたそうです。「当時にどのようにして、ここまで、これほど大きな石を運んだのでしょうか」という管理人さんの言葉に、全くその通りだと感じました。③私が特に素晴らしいと感じたのがもみじの細工を施した螺鈿(らでん)です。外に植えられたもみじの木に光が射すと、螺鈿の中のもみじは青々と染まります。また、夕暮れ時には沈む太陽の光で赤く染まるそうです。時間や季節による光の移りこみ、それが織り成す風景までをも計算してつくられた繊細な感覚にとても感動しました。

霞中庵-それは、文頭でも紹介した通り、5年という長い年月を費やして完成した建物です。今日の社会ではなかなかそのような時間を費やすことも、コストを度外視した発注も、あり得ないことです。現代の豊かさは、いかに表面的なもので、内面的な部分に欠けているのか。最近よく耳にする「LOHAS(ロハス)※」という考え方。これは、私たちが成長とともに失ってきた、内面的な豊かさを取り戻そうとした動きなのかもしれません。

※LOHAS(=Lifestyles of health and Sustainability )とは、「人と地球にとって、健康で持続可能なライフスタイルスタイル」の総称。社会との共存が難しい「スローライフ」を、より現実的に楽しんでいこうとする考え方。

9月5日 ルーヴル美術館展へ行ってきました。

2005-09-05 | 美術館・展覧会

9月3日(土)、休みを利用してルーヴル美術館展(京都市美術館 10月16日迄開催中)へ行って来ました。テレビCMもされているのでご存知の方も多いことと思います。

私も、随分前から注目していた美術展でしたが、想像以上の人の多さにとてもつかれました。
土曜日という日が悪かったのか、それだけの人気の証明なのかはわかりませんが、入口では入場制限が敷かれ、中に入ってからも自分のペースで見ることはできません。

普段、さら~っと流し見をして、心に留まったものだけをじっくり見る。という独自の鑑賞スタイルでも、美術館を訪れると異様な疲れを伴って帰宅するのが常です。
今回は、人の多さから、自分のペースで前へ進むことができず、展示された73点、全てをじっくり見ることができたので、その疲れはひとしおでした。

私はこの疲労感を「絵のパワーに魂が吸い取られる感じ」という表現をして、周囲を呆れさせますが、絵にはそんな見えない力が働いているような気がしてなりません。

この美術展は、京都以外からもツアーで訪れている方がたくさんいらっしゃいました。世代を超えて多くの人が美術展に訪れる。絵画の魅力って何だろうか。そんなことをふと思ってしまいました。

ぎゅうぎゅう詰めの館内では、あらゆる会話が聞こえます。絵の中に収められた女性のスタイルを賛美するもの、衣装の美しさに感嘆する声、時代背景を想うもの・・・。一枚の絵が見る人によって、見る角度によって、全く異なった印象を与えていることを感じました。

そんな私のお気に入りの1点が、ルソーの「森の落日」です。昨年12月、社員旅行でパリを訪れた時に、もちろんルーヴル美術館へ行って来ました。
ルーヴル美術館には、35万点以上が所蔵されているので、見たいものに的を絞り、広い館内をほとんど走るようにして移動しました。ですから、この作品を見たのは初めてです。
他にも、今回日本にやってきた大半のものが初めて目にするものでした。

ご興味のある方、もともと行く予定をされている方・・・。なるべく早い内、できれば平日にご覧になられることをお勧めします。

芸術の都パリのほぼ中心部、セーヌ川右岸に建ち、世界の美術ファンが一度は訪れたいと願う憧れの場所-それが、パリ、ルーヴル美術館である。

この壮大華麗な美術館には、古代エジプトやギリシアから19世紀ヨーロッパまでの絵画・工芸・彫刻などの名品35万点以上が所蔵されている。訪れる人の数は年間580万人を誇る。

 このルーヴル美術館の原型が築かれたのは16世紀。パリ防衛のため、12世紀にこの地に建てられた要塞を荘厳な王宮に建て替えることを決めたのは、16世紀に登場したフランソワ1世であった。レオナルド・ダ・ヴィンチの保護者としても知られる王は、美術品の収集を精力的に行った。その後王室コレクションは、ルイ14世の時代には1500点ほどに増大した。

そして王政を打倒したフランス革命後、国民公会は、1793年、この王宮を民衆の美術館とし、一般公開を決定した。

1989年には、ナポレオン広場中央にガラスのピラミッドが登場。ドノン、リシュリー、シュリーと3翼に分かれるギャラリーには、修行時代のマネやルノワール、シャガールらが、感動のため息をもらし、習作に励んだ名画が、今も不滅の輝きを放ち続ける。
(週間世界の美術館 ルーヴル美術館Ⅰ 200年2月1日発行 引用)

今回ルーヴル美術館展に集うのは、フランス革命期から王政復古、第二帝政とめまぐるしく政治、社会が変動した時代のフランス絵画傑作の数々。アングルの「トルコ風呂」をはじめ日本初公開の56点を含む73点です。

19世紀前半のフランス絵画は、特権階級を打ち倒した新たな市民社会から生まれ、理性を重んじる新古典主義、それに対して情熱に憧れたロマン主義、そして現実世界を直視する写実主義へと展開していきます。この新しい絵画の潮流こそが、やがて印象派に代表される近代絵画を覚醒させてゆくのです。日本でいえば幕末、京の都にようやく時代の嵐が吹き始めた頃のことです。
(ルーヴル美術館展 パンフレット 引用)

9月1日 Mrs-iclub 1 「サービス」

2005-09-01 | イベントレポート
ミセスi-クラブとは、株式会社ウッドワン(住建産業グループ)の女性スタッフの方々が中心となって運営されており、建築に関わる仕事に就いている女性を対象にした情報発信の場です。

昨年の秋に発足された同クラブは、同年11月、東京と広島の2ヶ所で第1回目のセミナーが開催されました。
私は、営業さんからその案内を頂いた時、そのコンセプトにひかれ、ミセス-iクラブへの入会手続きをし、会社に無理を言って、広島まで行ってきました。

そして、昨日8月31日「数奇屋造りの建築物から学ぶ『和』の空間、『住まい』の原点」をテーマに同クラブの第3回目になるセミナーが京都で開催されました。
京都での開催ということもあり、迷うことなく参加させて頂きました。

前回もさることながら、今回もそのスケールのデカさに驚かされました。
少しことばが汚いですが「大きい」ということばでは表現しきれないのです。とにかく「でかい」です。やることなすことの全て。会社の器の大きさを(良い意味で)思い知らされた感じでした。

観光バス四台が用意され、全国から、私と同じように建築業界で働く女性が集まりました。それだけ大勢の参加者をめいいっぱいのスケジュールに沿ってすすめるには、入念な企画と相当の下準備をされたことと思います。

私をはじめ、参加者の誰もが本当に満足して帰ったに違いありません。

セミナーの内容については、後日改めて紹介しますが、その内容の前に「サービス」とは何たるか。を学ばせて頂けた気がします。

内容がいくら素晴らしくても、細かなサービスが伴わなければ、その良さを半減させてしまいます。逆に、サービスがいくら素晴らしくても、その内容が悪ければ人は集まりません。内容とサービス、その両方に文句のつけどころがありません。

あれほど大きな会社でたくさんの方が働いているのに、誰に会っても対応の気持ち良さに本当に良い会社だと感じました。

普段、何げなくともだちを自宅に招く時も、お客さまをはじめ、協力業者やメーカーさんを会社で迎えるときも、その全てのひとが気持ち良く帰って頂けるもてなしを今一度見つめ直さなければならない。と、ウッドワンのスタッフのみなさんの隙のない姿から学ばせて頂きました。