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インテリアコーディネーターのブログ。
住まいのこと。インテリアのこと。仕事のこと。子どものこと。。。

3月31日 現場巡り

2008-03-31 | インテリア/建築
今日はOJTのため、現場管理のKくんにお願いして同行してきました。
ところで、OJTとは「On-the-Job Training」の略で、企業内で行われる職業指導手法の一つで、職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを、意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成するすべての活動のことをいいます。
入社して11年目になるというのに、今更OJTか?!という声が聞こえてきそうなので、ちょっと弁解を・・・。
これまでは「デザイン重視」の仕事をしてきましたので、構造補強に関しては現場管理の人に任せてしまっていました。夏頃までに、今までは全く任せて気にしていなかった部分も含めて理解したいと思い、Kくんにとっては、とても面倒な話なのですが、色々な現場を見て、説明してもらうことにしました。今日はその第一日目。
そんな中、現場、現場で大工さんの面白いお話を聞くことができました。今日はその中の1コマをご紹介したいと思います。

訪れたのは、北区紫野の工事中のリ・ストック京町家。
2Fの窓に落下防止手すりが完成していました。

この手すり、3日がかりで完成したそうです。とてもキレイな仕事で、これから「わびすけ」という柿渋に似た自然塗装がされるのですが、色を付けてしまうのがもったいないくらい。
「色が塗られてしまうんやなぁ~。」という大工さんのため息が、痛いほど理解できてしまいました。
ところでこの手すりのピンクの○で囲った部分、この寸法に意味があるのだそうです。見る人が見るとわかるそうですよ。
ちなみに、こちらは「義」を意味する寸法。「『義理』のある家にしようと思って」。と大工さん。他にも「吉」の寸法など、寸法によって色々な意味を持っているそうです。本当に興味深い話で、とても勉強になりました。こういう話は、事務所の中では勉強できない部分ですので、貴重な時間を持つことができ、良い一日になりました。
後から聞くとその大工さん、私よりも年下だったのです。
尊敬する一方で、なんだか少し凹んでしまいました。
あ~。まだまだ勉強が足りないなぁ。・・・って。そしてまた、頑張ろう!という気持ちにもなれました。
やはり、今日の一日は、私にとってとても意味のある素敵な一日でした。

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3月28日 最近の若者は・・・

2008-03-28 | ひとりごと
平成14(2002)年までは現代コミュニケ―ション・センターが、以降は社会経済生産性本部が発表している新入社員を表すキーワード。
ところで、私は何型なのか?気になったので調べてみました。すると、タイプ名自体が時代を反映していてとても面白いのです。
検索から、引っかかったいくつかのブログたちを参考に読ませて頂き、今日のブログの投稿に至ったわけですが、その中で特に面白いなぁ。と思った記事がありました。
それは、どのタイプを見ても新入社員を褒めるのではなく、コケ下ろしたかたちになっていることに着目して、「最近の若者は」の後ろには、大概の場合、褒め言葉が続かないことを改めて、取り上げられていました。

必ず、自分たちの若かった時代を「良き見本」に掲げ、今の若い人を嘆く時に使います。

そして、次のように続きます。
「日本の経済を急成長させてきた団塊の世代が新入社員だった頃が1972年から1974年あたり。そして、おそらく、今、会社の中核となっている人たちが新入社員だった頃は、1987年前後・・・。現在、『最近の若者は』と嘆いている人たちもまた、同じように上の世代からコケ下ろされた若者だったということがわかり、その時代の今を生きる若い人たちは、どうやっても、前の世代の人たちからは、認めてもらいにくいようだ」。
もっと、面白いのはここからです。

でも、1990年以降くらいから、部分的に認める(ほめる言葉)も入るようになってきています。

1990年以降というと、私もその中に当てはまるのでその点においては疑問ですが、ここ数年、自分よりも下の世代の人たちを見ていて、むしろ感心させられることの方が多いことを感じていました。
(私がそれくらいの年齢だった頃には、そこまでしっかりしていなかったなぁ。)とか、(そんな風に物事を考えられなかったなぁ。)と思うことが多々あります。そして、(しっかりしなきゃ!)と、かえって教えられることも・・・。
そういった意味では、私にとって「最近の若い人は」に続く言葉は、決して否定文ではないような気がします。
そんな風に感じている人、実は多いのではないでしょうか?この点においては、なんとなく、たくさんの共感を得られそうな気がしています。

さて、平成20(2008)年、社会経済生産性本部が発表した新入社員のタイプは「カーリング型」。
冬期オリンピックでおなじみになったカーリング、新入社員は磨けば光るとばかりに、育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する。しかし、少しでもブラシでこするのをやめると、減速したり、止まってしまったりしかねない。
また、売り手市場入社組だけに会社への帰属意識は低めで、磨きすぎると目標地点を越えてしまったり、はみだしてしまったりということもあるだろう。就職は楽勝だったかもしれないが、サブプライムローンの問題等の影響により経済の先行きは一気に不透明になった。これからも波乱万丈の試合展開が予想され、安心してはいられない。自分の将来は自分の努力で切り開いていくという、本人の意志(石)が大事になろう。


入社年度別新入社員タイプ一覧は、以下よりご確認頂けます。
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/lrw/activity000857/attached.pdf

だそうです。ちなみに私は、1998年入社なので、「再生紙型」。みなさんは、どのタイプに当てはまりましたでしょうか?

◆キーワード一覧◆
■昭和48 (1973)年【パンダ型】
おとなしく可愛いが、人になつかず世話が大変
■昭和49 (1974)年【ムーミン型】
人畜無害でおとなしいが、大人か子供か得たい知れず
■昭和50 (1975)年【かもめのジョナサン型】
群から外れやすく、上空からしらけた眼で見ている。一方でめざとい
■昭和51 (1976)年【たいやきクン型】
頭から尾まで過保護のあんこがギッシリ
■昭和52 (1977)年【人工芝型】
見た目はきれいで根が生えず、夜のネオンでよみがえる
■昭和53(1978)年【カラオケ型】
伴奏ばかりで他と音程合わず。不景気な歌に素直
■昭和54(1979)年【お子様ランチ型】
何でもそろって綺麗だが、幼さ抜けず歯ごたえなし
■昭和55(1980)年【コインロッカー型】
こじんまりと画一的で、外見も反応もすべて同じ
■昭和56(1981)年【漢方薬型】
煎じ方悪ければ、効き目なく副作用生じる。
■昭和57(1982)年【瞬間湯沸し器型】
新式と旧式の二種類存在し、反応・熱意が正反対
■昭和58(1983)年【麻雀牌型】
大きさと形同じで並べやすいが、中身はわからず
■昭和59(1984)年【コピー食品型】
外見のみ本物風で手間いらずだが、歯ごたえなく栄養も心配
■昭和60(1985)年【使い捨てカイロ型】
もまないと熱くならず、扱い方もむずかしい
■昭和61(1986)年【日替わり定食型】
期待した割には変わりばえせず、同じ材料の繰り返し
■昭和62(1987)年【テレホンカード型】
一定方向に入れないと作動しないし、仕事が終わるとうるさい
■昭和63(1988)年【養殖ハマチ型】
過保護で栄養分高いが、魚らしくピチピチしてない
■平成元(1989)年【液晶テレビ型】
反応早いが、値段高く色不鮮明。改良次第で可能性大
■平成2(1990)年【タイヤチェーン型】
装着大変だが、装着の具合次第で安全・駆動力OK
■平成3(1991)年【お仕立て券つきワイシャツ型】
価格高く仕立てに時間かかり、生地によっては困難
■平成4(1992)年【バーコード型】
読み取り機(上司)次第で、迅速・正確・詳細な処理可能
■平成5(1993)年【もつ鍋型】
一見得たい知れずで厄介だが、煮ても焼いても食えそう
■平成6(1994)年【浄水器型】
取り付け不十分だと臭くまずいが、うまくいけば必需品
■平成7(1995)年【四コママンガ型】
理解に時間がかからず、傑作もある一方で、市場にあふれているので、安く調達できる
■平成8(1996)年【床暖房型】
断熱材(評価)いれないと熱(ヤル気)が床下(社外)に逃げる。
■平成9(1997)年【ボディシャンプー型】
泡立ち(適応性)良く、香り(個性)楽しめるが、肌(会社体質)に合わないこともある。石鹸(従来社員)以外に肌を慣らすことも必要
■平成10(1998)年【再生紙型】
無理な漂白(社風押しつけ)はダイオキシン出るが、脱墨技術(育成法)の向上次第で新タイプの紙(新入社員)として大いに市場価値あり
■平成11(1999)年【形態安定シャツ型】
防縮性、耐磨耗性の生地(新人)多く、ソフト仕上げで、丸洗い(厳しい研修・指導)OK。但し型くずれ防止アイロン(注意・指導)必要
■平成12(2000)年【栄養補助食品型】
ビタミンやミネラル(語学力やパソコン活用能力)を豊富に含み、企業の体力増強に役立ちそうだが、直射日光(叱責)に弱く、賞味期限(試用期限)内に効果(ヤル気)薄れることあり。
■平成13(2001)年【キシリトールガム型】
種類は豊富、価格も手ごろ。清潔イメージで虫歯(不祥事)予防に効果ありそうで、味は大差ない
■平成14(2002)年【ボディ・ピロー(抱きつき枕)型】
クッション性あり、等身大に近いので気分いいが、上司・先輩が気ままに扱いすぎると、床に落ちたり(早期退職)、変形しやすいので、素材(新人の質)によっては、いろいろなメンテナンスが必要となる
■平成15(2003)年【カメラ付きケータイ型】
早い処理能力を持つが、中高年には使いこなし切れない
■平成16(2004)年【ネットオークション型】
ネットでのエントリーで就職活動が始まり、一部の学生に人気が集中する一方、PR下手で就職できない学生も多い。売り込みに釣られて「落札」した企業は、当てがはずれることがあるかも
■平成17(2005)年【発光ダイオード型】
電流を通す(ちゃんと指導する)と、きれいに光る(いい仕事をする)が、決して熱くはならない(冷めている)
■平成18(2006)年【プログ型】
表面上は従順だがさまざまな思いを秘め、時にインターネット上の日記を通じ大胆な自己主張をする
■平成19(2007)年【デイトレーダー型】
景気の回復で久々の大量採用だったが、氷河期前とは異なり、細かい損得勘定で銘柄(会社)の物色を継続し、安定株主になりにくい。売り手市場だっただけに、早期転職が予想される。ネットを駆使した横のつながりで情報交換が活発だが、情報に踊らされない慎重さも必要である。
近年の新入社員は常によい待遇、よい仕事を求めて「銘柄の乗り換え」つまり「転職」をもくろむ傾向がある。

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3月25日 ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展

2008-03-25 | 美術館・展覧会
3月20日(木・祝)、3月末日まで、滋賀県立近代美術館で開催中のウィリアム・メレル・ヴォーリズ展へ行ってきました。
前日の晩からひどく降り続いた雨がようやくあがった正午過ぎ、瀬田に向かって車を走らせます。自他共に認める方向音痴な私。
「一号線を真っ直ぐ行けばいいから。」
誰に聞いても同じ答えが返ってくる瀬田までの道。私自身、何度もその道は通っているのです。さすがに、一本道。迷うわけがナイ。
ところが、なんだか様子がおかしいのです。確かに道なりに走っていたハズなのに、気付けば161号線(苦笑)。
ハイ。わたくし、期待を裏切りません!
そんなわけで、少し(?)遠回りしたものの、なんとかたどり着いた滋賀県立近代美術館。館内のスタッフの方が、「財政が逼迫しており・・・」という説明を訪れた方にされているのが聞こえましたが、そんなことを全く感じさせない、素晴らしい施設でした。
 
さて、みなさんはヴォーリズの建築をご存知でしょうか。
私は、あまりこのあたりのことに詳しくはなく、むしろ、ハチセで設計をお願いしている先生方の図面に、感動することの方が日常です。
ですから、有名な建築家の名前を聞いても、その有名な建物と一致しないことが多いのです。ヴォーリズ。確かに、その名前に聞き覚えはあるものの「ハテ?」といったのが正直なところでした。
そんな、ヴォーリズの展覧会を知ったのは、インテリアコーディネーターの資格取得の際にお世話になった先生から、ご案内を頂けたから。(取得後も、あつかましく色々相談に乗って頂いています。)案内のメールには、次のようにありました。

滋賀県の豊郷小学校で取り壊しが問題になりました。あの建築家(宣教師)の展覧会です。

(そういえば、ニュースで話題になっていた小学校があったなぁ~。)そんな程度の印象しかなかったものの、ヴォーリズの作品がどうこうよりも、「先生が勧めて下さる展覧会なら見に行こう」。といった感じでした。

そんな、全く無知なまま会場に足を踏み入れた私は、ヴォーリズの作品を改めて知り、驚きました。普段何気なく見ている建築物。それらの中に、たくさんの作品があったのです。
例えば、同志社大学 今出川キャンパス内 啓明館・アーモスト館・到遠館、関西学院大学、神戸女学院大学、明治学院大学 礼拝堂、大丸心斎橋店、それから、京都四条大橋のたもと、鴨川沿いに建つ中華料理店 東華菜館(京都市下京区四条大橋西詰)などなど・・・

ヴォーリズの建築は、日本のあちこちにあるので、きっとみなさん、どこかで目にしておられると思います。

そんなヴォーリズは、アメリカ・カンザス州に生まれました。熱心なキリスト教徒であり、現在の八幡商業高等学校の英語教師として1905年に来日、英語教育とともにキリスト教教育にも力を注ぎました。そもそもは建築家ではなく、教師だったのです。
しかし、時代は今から100年以上も遡る1907年、キリスト教教育に危機感をもつ住民たちの要請によって職を解かれてしまいました。ヴォーリズ、26歳の頃のことです。
それから、28歳で京都三条YMCAの一室に、建築設計監督事務所開業(後にヴォーリズ建築事務所開設)してから、1964年83歳で亡くなるまでに彼が設計した建物は、協会や学校、ホテルなど、1,600件にものぼります。

ヴォーリズが事務所を開業してからちょうど100年にあたる2008年に開催されるこの展覧会では、ヴォーリズが残した建築作品を写真や映像資料、模型や資料などから紹介し、生活との調和をめざしてヴォーリズが作り出した建築空間の特徴を学校や教会、商業建築や住宅などの作品のなかに見てゆき、建築をとおして理想の生活を築こうとした、ヴォーリズの活動と思想の系譜をたどります。また会場にはヴォーリズが軽井沢に設けた山荘を実物大で再現されています。
 「理想の居場所を作る」ことに生涯をかけたヴォーリズ。その世界を体感することができる展覧会です。広大な敷地内にゆったりと建つ、会場である滋賀県立近代美術館とそれを取り巻く文化ゾーンも魅力的です。会期はあとわずか。
興味のある方は、滋賀県までお急ぎください。

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3月20日 黒山もこもこ、抜けたら荒野

2008-03-20 | 本の話
黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望 (光文社新書)
水無田 気流
光文社

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面白い本に出合いました。
「黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望」
なんのこっちゃ?不思議なタイトル。それから「水無田気流」というこれまたなんのこっちゃ?というヘンテコな名前。
この本は、著者の自伝コラム形式で展開されているのですが、これが実に社会を捉えていて、その時代観察眼は、いくつかのレビューの中でも高い評価を受けています。
私は、そんな数々のレビューの中から、特に朝山実さんが書いた日経ビジネス「毎日一冊!日刊新書レビュー」を読んで、購入を決めたのですが、ページを開くなり、その面白さに引き込まれてしまいました。
(ただ、あとがきの中で、「とりわけ第4章は趣味に走りすぎたせいか、かなり脱線気味となっている」。と著者自身も言うように、4章に差し掛かるころには、私の感覚ではついていけなくなってしまいました。個人的には前半部分が特に面白かったです。)

著者は1970年生まれ。私より7年先輩。
著者に言わせれば、7年も後に生まれてきた私は、もしかしたら「まだマシ」な世代を生きてきたのかも知れない。だから、一緒にされたくはナイかもしれないけれど、共感できることがたくさんありました。

例えば、「中学校は一学年九組。高校に至っては一学年十一組もあった。」というくだりがありましたが、私だって、中学校、高校ともに一学年十組ありました。そのせいで(?)卒業した後には、同級生か否かの見分けだってつきません。中学2年の頃には、とうとう教室が足りなくなり、私が在籍した6組は、図書館を改装した教室が与えられました。改装したといっても、廊下側の壁に設置された本棚が取り払われただけの空間。つまり、廊下側には窓がなく、風の通り抜けることができない、息苦しい教室でした。
夏場は最悪で、各教科担当の先生たちも教室に来ることを嫌がるほど・・・。(先生は一時間我慢すれば済むけれど、私たちは一日中この空間に居るんですけど。)教室に入るなり、その環境に文句を言う教師たちに、ぼんやりとそんなことを考えていました。
そんなマンモス校と称される中学時代は、クラブだって大所帯。私の所属したバスケ部は同級生が30人超。下級生も含めたチーム総数は70人超。スタメン(=スターティングメンバー)5人、ベンチ入り15人のルールにより、熾烈なレギュラー争いを強いられたのは言うまでもありません。

気になるページに付箋を付け始めると、ついには収拾がつかなくなり、どれが大切なのかわけがわからなくなってしまったほど。
そして、社会というか時代に対するモヤモヤとした不満を、私に代わってバッサリと切り捨ててくれる著者に、なんだかすっきりします。

特に、この世代を生き、就職氷河期の最中になんとか職に就くことができたものの、著者の言う「テレビドラマに出てくるように『適当に仕事をこなしつつきらびやかに消費生活を謳歌している』わけではない」ほとんどのOLの方々。
または、そんな時代のせいで正規雇用を受けられず、フリーターや派遣社員として働いているたくさんの人たちには、きっと頷けることがたくさんある本で、ほんの少しだけ元気になれる内容だと思います。
それから、バブル崩壊以前に、買い手市場といわれる中で自由に就職に就くことができ、いまや企業の上層で優雅に働くおじさま達にも、ぜひとも読んでいただきたい、そんな一冊です。

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3月19日 ジュエリーショップ「俄 NIWAKA」

2008-03-19 | イベントレポート
3月14日(金)、京都商工会議所と京都リサーチパークが主催する「デザイン&ビジネスフォーラム2008」へ行ってきました。
講演は、インテリアプロデューサー、デザインプロデューサー、ジュエリーデザイナーという肩書きを持つ方々により行われました。
今日は、その中でも私にとって特に印象的で、スケジュール帳のメモ欄が真っ黒になった 京都発祥のジュエリーショップ 株式会社 俄 代表取締役 青木 敏和さんのお話しを取り上げたいと思います。

会場で受付を済ませると、素敵なカタログが2セット渡されました。席について早速開けてみると、それは俄さんのものでした。
女性なら皆、「ジュエリー」に興味がある。と思われている方も多いかも知れませんが、決してそんなことないと思うのです。だって、私がそうですから。
ですから、正直に言うと(キレイなカタログだなぁ。)(素敵なつくり方だなぁ。)とは思ったものの、中に掲載されているジュエリー自体には、それほどの関心はありませんでした。お話しも、どちらかというと、私の仕事とは関わりの少ないものですから、(何かを感じることは出来ないのではないかなぁ。)なんて、どこかで思っていたのです。

でも、そんな予想は、お話しが始まって5分と経たない内に変化しました。
無駄な脚色のないストレートなお話しに、青木社長の人柄と会社の姿が見えました。そして、住宅とジュエリーという、一見共通点など見出せない両者の間に、たくさんの共通点を見つけることができ、そして、多くのことを気付かされました。

ところで、みなさんは「俄」というジュエリーブランドをご存知でしょうか。
私は、「どちらかというと興味がない」とは言ったものの、かなり前から知っていたのです。およそ10年にもなるでしょうか。
なぜでしょう?
それは、他のジュエリーショップとは一風変わった、ハンコのような独特なロゴが印象的だったからかも知れません。

「俄」に対する印象は、「シルバーアクセサリーのお店」というイメージでした。もっというと、「学生でも手軽に購入できるもの」といった感じでしょうか。それがまさか、ウエディングリングとして高い評価を受けているということは、この日まで知りませんでした。

ジュエリー業界紙「JAPAN PRECIOUS」の2007年“プロの評価総合ランキング”では「ミキモト」を抜いて国内ブランド1位。“デザイン性オリジナリティランキング”に至っては「ティファニー」を抜いて5位という評価を受けているのです。
ランキングの詳細は、以下の通り。
“プロの評価総合ランキング”
1位:カルティエ
2位:ティファニー
3位:ブルガリ
4位:ハリー・ウィンストン
5位:ヴァンクリーフ&アーベル
6位:俄
7位:ミキモト
8位:ピアジェ
9位:ポンテヴェキオ
10位:ショーメ

さて、どこからどうお話しをしようか、手帳に記されたWORDを眺めてみました。そして、当日配られた、会社案内に目を通してみます。
すると、あることに気付きました。全てはこの案内の中に詰まっているのです。せっかくなので、一部を紹介させて頂きます。

【社是】
物は心なり  礼は和なり  人と我とで俄となる

【経営理念】
形をもって心を鍛え、物を通じて社会に奉仕する
作る喜びを共有し、人々の喜びを使命とする
凡人に残された道は努力と創意工夫であり
「思えば叶う」を信条とする


ページをめくると「既存の概念に捉われない独自の世界観」と題され、次のようにありました。

ブランドコンセプト「京都モダン」に表現される日本的な間(ま)、アシンメトリーなデザインが俄のジュエリーの象徴である。

 青木敏和が京都に工房を開いた1979年、ジュエリーデザインはシンメトリーが主流であった。これは、ジュエリーデザインが西洋先進であり、西洋デザインはアート、ファッションなども含め、シンメトリーであることが当然のセオリーだったからである。
一方、日本独特の美意識は規則的に造形が整えられた西洋のそれとは異なる面がある。あえて空間を残し、その余白によって世界観を伝える間(ま)。規則的な配列、バランスをあえてくずすことに美を見出すアシンメトリーなデザイン。「この日本独特の美的感覚をジュエリーで表現したい、和のデザインが持つ真の美しさを伝えたい」。この想いが、「京都モダン」を軸にした青木のジュエリーデザインのはじまりであった。
(中略)
 古典文様、漢字など伝統的な和のモチーフの持つデザイン性の美を引き出したジュエリーの数々は、国内外での高い評価を得るが、俄の商品の特徴はデザインだけではない。それはジュエリーのもつストーリー性を重視しているという点である。すべての商品には和名とそれに合わせた和歌を思わせるコンセプトストーリーが添えられ、ジュエリーを、単なる「モノ」を超えた世界観を伝える存在として位置づけている。(以下略)


それでは、講演の中で書きとめた言葉たちを紹介したいと思います。

「物をつくる能力」≠「売る能力」
物をつくる能力と売る能力は、全く別物である。
広告は、「PUSH」ではなく「PULL」。
押すのではなく、引き付けることが大切。

「物には寿命がある」だから、永遠に続くものはない。その寿命をいつに設定するかで自ずとアプローチの仕方が変わってくる。と青木社長は言います。俄は当面3代=100年を目標にしており、地に着いたものづくり、職人としての誇りある仕事をしていきたい。最終目標は「社会貢献」。これは、「ボランティア」といった類のものではなく、「人材育成」のこと。

「何をやりたいか?」をまずは明確に。その時、売り上げを第一目標としてしまっては、その達成は難しい。「自分を信じる」「自分の感性を信じる」そうすれば、叶わないものなどない・・・。

これから何かを始めようとしている大人たち、今まさに社会に出ようとしている学生のみなさんには、ぜひ、聞かせてあげたいお話しでした。そして、これらは、どの世界でも通ずるもので、私も次の目標設定をそろそろ明確にしていきたいと思う今日この頃なのでした。

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3月17日 ドイツ・ポスター展

2008-03-17 | 美術館・展覧会
先日までの寒さが嘘のような穏やかな日差しに包まれた昨日、3月16日(日)、京都国立近代美術館で、3月末まで開催中のドイツ・ポスター 1890-1933展へ行って来ました。

人を引き付けるのに十分な力を持つ大きな目が印象的なポスターに、思わず足を止めた方も少なくはないと思います。私もそんな案内を見た直後に、チケットを取り寄せた一人で、数日後に届いた蛍光のオレンジ色のチケットがとてもかわいくて、ここを訪れることを本当に楽しみにしていました。
会場では、私と同色のチケットを持つ人の他、ブラックやシャンパン色を手にしている方も見かけました。こんなトコロにもセンスが光りますね。

さて、展示されたポスターは、一世紀以上も遡り、第一次世界大戦以前のものから第二次世界大戦の開戦前あたりまでを生きたものたち。
「絵画的ポスター」から「即物的ポスター(=「画・背景・テキスト」に還元し、美的でありながら、瞬間的な内容伝達を可能にする新たな画面構成)」への変遷や、「プロパガンダ(=国家や政府、政権政党が権力のもとに特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する国策宣伝。有事下の情報・心理戦の技術の一つであり、しばしば政治的な内容や圧力を持つ)」など、時代を象徴的に映し出していました。
特にナチス独裁下のドイツでは、プロパガンダの手法が、大いに活用されたと言われていますが、ポスターを見るだけでも、ナチスの軍服が目に浮かぶような、作品の暗くて強い力に、思わず立ち尽くしてしまったほどです。

チケットとは対照的に、全体的に深く落ち着いた色使いの作品が多く見られましたが、どれもその配色の美しさに、(私も、こういった配色を悩むことなくスラスラできたら、様々なプレゼンツールの出来栄えが随分変わるだろうなぁ。)と感じました。
こういったところからも、その技術を盗んでいきたいものです。

少し堅苦しいレポートになってしまいましたが、このポスター展、普段は美術館とは無縁な方にも比較的に楽しめる展示ではないでしょうか。
難しいことを抜きにして、単純にその色彩やグラフィックデザインは、見る価値アリ☆だと思いますよ。

 

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3月15日 ブックカバーをつくろう!

2008-03-15 | インテリア/建築

今日は、2月23日京都の手ぬぐい屋さんでご紹介した永楽屋さんの手ぬぐいを利用してブックカバーを作りました。

私がブックカバーを作るために選んだのは、黒地に舞い散る桜の花びらが美しい、その名も「老い桜」。
折り畳んだ時に、柄が隠れたり、何のモチーフかわからなくなってしまうので、全体柄のものを選ばれる方が良いと思います。

準備するのは、手ぬぐいとアイロン。
しわを伸ばしながら、本のサイズに合わせて折り込んでいくことおよそ5分。

下のような素敵なオリジナルブックカバーが完成しました。


私の通勤バッグの中には、ほぼ毎日1冊の本が潜んでいます。文庫本のこともあれば、ハードカバーのこともあります。
そんな私が日本の本屋さんで本を購入し、レジに向かうと必ず聞かれる言葉があります。
「ブックカバーはお付けしますか?」
本を汚さないために、紙のブックカバーをつけてくれるというサービス。
これは、日本人の気質を顕著に表しているようにも思いますが、私はこの紙製ブックカバーがキライです。
なんとなく、手になじみが悪いというかなんというか・・・。
満員の通勤電車の中で本を広げようとする時の、その手ざわりの悪さといったらありません。片手で持とうものなら、バラバラと外れてしまうこともありました。
そこで、ブックカバーを購入することにしたのです。
初めてそれに思い立ったのは、今から9年も前のこと。それからその1点をずっと大切にしてきました。
ハードカバーを読む時は、さすがにサイズが合いませんので、本にかけられているカバーそのものを全てはずしてしまいます。本が汚れてしまうのは、少し悲しい気もしますが、読み終われば、カバーをかけてしまうので、どれもとても美しい姿で本棚に並びます。
ところが、最近困ったことがありました。
近頃特に手にすることが増えた新書。
これがとっても微妙なサイズなのです。ハードカバーのように本そのものがしっかりした装丁をされているわけではないので、通勤電車やお昼休みなど、合間を利用して何日もかけて読み進められる私の手に渡った本たちは、読み終わるころには、すっかりクタクタになってしまっています。
それが、なんだかとっても切なくて・・・。

これからは、新書でも安心して楽しめそうです。
みなさんもオリジナルのブックカバーはいかがですか?

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3月10日 木造革命

2008-03-10 | インテリア/建築
来る3月15日(土)13:00~16:00 『木造革命』と題された「住まいの木と環境を考えるセミナー」が行われます。
場所は、大阪ガス ディリパ京都・パルホール。
京都市下京区中堂寺栗田町93七本松五条下ル西側KRP京都リサーチパーク ガスビル1F(地図参照)

これは、2月5日メンテナンスフリーがもたらした弊害の回にご紹介しました京の山杣人工房が主催する第2回目のシンポジウムです。

講師としてお迎えするのは、環境問題評論家 船瀬俊介先生。

さて、『木造革命』とか「住まいの木と環境を考えるセミナー」と聞いてもなんだかちょっと難しそうで、単純な思考回路しか持ち合わせていない私は、(う~ん。なんだか良くわからないなぁ。)と、思ってしまいました。

そこで、まずは船瀬先生について調べてみました。
船瀬先生は、「環境問題評論家」という肩書きがピッタリな知る人ぞ知る日本における消費者運動の先駆者。
雑誌「週刊金曜日」連載の「商品の安全性」に関するコラムをまとめたブックレット『買ってはいけない(1999年5月発行。世間で広く流通している食品や日用品などの各種商品を取り上げ、それに含まれる食品添加物その他の化学物質などの毒性や危険性を強調し、約200万部を売り上げた。)』というベストセラー執筆者の一人でもあります。
さらに、先生の著書を調べてみると・・・

コンクリート住宅は9年早死にする―いますぐ“木装リフォーム”して健康を取り戻そう
船瀬 俊介
リヨン社

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崩壊マンションは買わない!―問題建築は「偽装」だけではなかった
船瀬 俊介
リヨン社

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など、出るは出るは、衝撃的なタイトルの書籍たち・・・。

そんな船瀬先生が語る「住まいの木と環境を考えるセミナー」。
テーマは難しい問題ですが、きっと先生らしい辛口でわかりやすい表現でもって、私たちの知らない真実を語って下さるハズです。

自然の木ならではの良さ。人工的につくられた温度のないものの怖さ。それぞれが私たち人間にもたらす影響・・・。
冷凍ギョーザ問題を受けて、私たちの「食の安全」に対する認識は高まり始めています。次は「住の安全」にも目を向けてみませんか?
定員にはもう少し空きがあるそうです。入場料は500円(当日お支払い下さい)。お申し込み、お問い合わせは下記まで「氏名・住所・電話番号」をご連絡ください。TEL・FAX・mailのどちらでも可能です。

嵯峨・木のこゝろ『風』
TEL:075-881-6868
FAX:075-861-4188
Mail:mail@takeuchi-kyoto.jp

パンフレットは、京山々・木の家づくりの会 ホームページhttp://www.kyo-sanzan.jp/index.htmlからダウンロードできます。

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3月7日 ポンポンガーベラ

2008-03-07 | 豆知識
今朝、めざましテレビのフラワーギフトで取り上げられた、「ポンポンガーベラ」。「新種」だというコメントがあったので、(そうだったのかぁ。)と、やっと納得することができました。
ネット検索をしてみると、2006年11月にタキイが発表しています。

実は、このブログのイメージ写真としても利用したことがあるのですが、私の部屋のインテリアとして、このアートフラワーが活躍しています。

京都のトーヨーキッチンのショールームに飾られていたそれに一目惚れした私は、スタッフの方に聞いて、アクタスへ向かいました。

ピンク・イエローグリーン・レッド・ホワイト・パープルを各2本購入。
季節や気分に合わせて、フラワーベースに入れ替えて楽しんでいます。
ちなみに、現在は「イエローグリーン(2本)×ピンク」のコーディネート。
ただ、花屋の孫にも関わらず、それが何だかは知りませんでした。
花屋の娘である母とも「架空のものでしょ。」という結論で納得し、(ただ、かわいいから☆)という理由で、毎日眺めて癒されていました。

今日、それが実在する花・・・しかもガーベラの一種だと知りました。
名前もとってもキュートでなんだかとても嬉しい気持ちに・・・。
久しぶりの穏やかな気候も手伝って、とても気分の良い一日のスタートが切れました。

とてもかわいいお花なので、みなさんにも知って頂きたくて、ご紹介させて頂くことにしました。

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3月4日 リ・ストックレディース VOl.7

2008-03-04 | インテリア/建築

リ・ストックレディース第7弾として候補に挙がった北区紫野の住宅。こちらはもともと美容室だったものを居住用に改装することになりました。(上は改装前の写真。)
2007年11月の京都。
営業担当者からの依頼は「プロバンス風」の住宅。

「本当に?」

現場(工事)担当者からその話を聞いた時には、とにかく一度確かめなければなりませんでした。新築住宅の流行から京都の流行を図るとすれば、「シンプルモダン」や「ナチュラルモダン」が主流となっており、シンプルなものがたくさん生み出されていました。
(あえて・・・今、プロバンス?!・・・)
正直、最初は「うん?」と否定的な考えを持たないこともありませんでしたが、「あえて・・・今・・・」そんな風に考えると、なんだかそれも面白くなってきて、そして女性をターゲットにするならば、こじんまりと思いっきりキュートに仕上げてしまうのも良いのではないか?!と思い始めました。
(それなら徹底的にプロバンスを追及するゾ!)
工事着工前の戦略会議(この物件には、社長、営業のリーダー、営業担当者、工務部のリーダー、現場担当者、私の計6人で行われました)に向けて、プロバンスのイメージに沿った部材の資料を揃えます。

フラワーボックス

上げ下げ窓にも設置可能な雨戸 スライディングパネル「コルティナ」

それから、「オーニング」
など・・・。

会議では、イメージの確認が終わった後、具体的に間取りをどのように取るのか?という点に時間が取られました。ようやくおおよその形が決まった時のこと・・・

「ところで、ここって景観法、大丈夫やったっけ?」
「建造物修景地区 山ろく型です」
「・・・・・・・」

6人も揃って、なんともとぼけた話ですが、景観法のことをすっかり忘れてしまっていました。9月に施行された京都の景観法に対応するためには、指定された区域の場合、「和風の住宅でなければならない」という大原則があります。その他細かな規定はいろいろありますが、建造物修景築に建つこの住宅を「プロバンス風」にするだなんてもっての他!

そんなこんなで、フラワーボックスも、スライド雨戸も、それからオーニングも・・・全て忘れて「和風モダン」の立面図が出来上がりました。立面図は、現場担当のFによるもの。ハチセの社員なら、図面を見ただけで担当が彼だとわかる住宅に仕上りました。

仕上がった途端から、社内でも評判の高い住宅でした。
予算を抑え、必要最低限を検討した住宅。それが良い方に機能し、派手な演出はないものの全体的にまとまった仕上りとなりました。その雰囲気がたくさんの人に受け入れて頂けたのかも知れません。

今回この住宅のポイントとなったのが、書斎を意識して計画した一室。改装前はこんな感じでした。

ミニキッチンが置かれた、ほんの少し出っ張ったスペース。改装前にここを訪れた時から、この空間が気になって仕方ありませんでした。会社に戻り、平面図を眺めると、頭の中に描かれる空間・・・。それは、絶好の作業スペースでした。
(ここにコンセントを設置して、手元灯を計画して・・・パソコンが置ける、事務作業ができる・・・)
購入者像に自分を重ねた私は、書斎としてのイメージがどんどん膨らんでいました。
そんな時に、脳裏に甦ったのが同じ女性である営業担当者の言葉。

「ここに鏡があれば、化粧スペースとして利用できるのに。」

「レディース」として物件を計画する時に、そこに女性としての本来の女性らしいライフスタイルを組み込むことが抜けてしまっていたのです。「自宅でも仕事ができる『SOHO』的空間」「遅い帰宅でも安心の部屋干しスペース」「日に日にたまる物たちをスッキリ片付けられる収納スペース」それから「表面的な女性らしさの演出」・・・。そんなことばかりに目がいってしまっていたのです。
(『鏡』という発想・・・。これはなんとかうまく利用できないだろうか?)

そうして出来上がったのがこんな空間です。
私が毎朝向き合っている化粧台からヒントを得て、テーブル面に脱着できるガラスをセットしました。好きなポストカードや写真を並べて自由に簡単に模様替えが楽しめるアイテムです。今回予めセットさせて頂いたのは、「2月27日 京からかみ」でも取り上げた唐長さんのポストカードを2枚。(せっかくなので、唐紙にまつわる説明書も一緒にセットしておきました。)
スツールには、「2月5日 メンテナンスフリーがもたらした弊害」で取り上げたG.WORKSさんのスギのふんわりスツール。その名の通り、本当に柔らかくて気持ちが良いのです。

それから、「2月25日 京都の手ぬぐい屋さん」でご紹介した手ぬぐい。こちらは、玄関の扉を開けた瞬間に目に入るよう、階段部分の壁に設置しました。
 
これは、先日のブログでもお話しした通り、いつかどこかで利用したい。と思っていたアイテムでした。やっと似合う物件にめぐり逢えた☆ので、ついにそのイメージをかたちにすることができました。

そして、この住宅にはもう一つのポイントがあります。
それは、2月5日のブログには矛盾しますが、「メンテナンスフリー」をテーマにしたところ。何がメンテナンスフリーなのか?その答えは照明です。
この住宅を計画する少し前に松下電工から発売された高輝度タイプのLEDダウンライト。

4万時間、つまり8~10年の長寿命。現在、器具寿命の目安が「10年」とされていることからも、「ランプ交換不要」という考え方が可能です。

現在の女性は何でもしてしまいます。何でも出来てしまいます。それなのに、「女性の一人暮らしだと電球交換が大変!」といった発想は、現在の女性には当てはまらないような気もしていました。ですから、本当のところは「新しい照明計画を試してみたい」という気持ちの方が強かったかも知れません。
計画をしてみたものの、不安は消えません。何しろ、実際に取り入れられた照明空間を見たことがないのですから。配光図やカタログの写真で見る光の出具合だけを頼りに計画しました。
(これが、成功すれば、今後の計画に拡がりが出る!)
その無理矢理前向きな考え方、(たぶん・・・大丈夫なような気がする・・・)といった感覚的なものと、(失敗したら「ごめんなさい」ってことで、取り替えてもらおう♪)という安易で大雑把で、どこか無責任な計画が完成しました。

後輩はもちろんのこと、実際に販売されている松下電工の営業さんも、それから、照明計画について相談に乗って頂くことの多いコイズミ照明の営業さんからも安心できる言葉をもらえることはありませんでした。

「やってみたいけれど、施工事例を見たことがないから・・・。誰かがやってくれて、大丈夫そうなら真似したいのだけれど。」

私達の間で、そんな会話が繰り返されていました。でも、その施工事例を見られるタイミングで、その計画に当てはまる物件にめぐり逢えるかどうかは、わからないのです。
「じゃぁ、私が事例を作っちゃいますね(笑)。」
なんて・・・、本当にやってしまいました。こんな計画がなされていたなんて、全く知らないこの物件に携わる私以外の担当者は、迷惑な話です。

結果は、成功でした。もちろん、成功したからこそ、こうしてその種明かしができるわけですが・・・。地球環境を意識した新シリーズ「リ・ストックLOHAS」などには、この計画を活かしていけるのではないだろうか?と考えています。

ところでこの住宅、初披露した2月16日に契約が決まりました。実際の購入者様を含む3組の方に「欲しい」という意思表示をして頂けたそうで、計画した側にとってはこれほど嬉しいことはありません。「リ・ストックレディース」は今回でシリーズ第7弾になりました。おおよそ想定する女性の方にご購入頂き、本当に嬉しい限りです。
でも、今回のお客様はご夫婦でした。
想定とは違いましたが、ご購入者さまに喜んで頂ければ、それが何より一番嬉しいです。

・・・と、第7弾の写真を交えた「計画から完成、契約までのお話し」はざっとこんなところなのですが、この住宅にはもう一つ私のコダワリが隠れているのです。
但し、あまりに細かすぎて、一番近くに居る後輩を含め、誰にも気付いてもらえませんでした。ですから、サーバーの社内共有データに保管された現場の写真のどこにもそれは写っていません。
照明計画の確認の為に、現場を見に行ってくれた後輩に、次の日に聞いてみました。
私:「気付いた?いつもの襖と何かが違ったってこと。」
後輩:「・・・・・・」
私:「実は・・・」
後輩:「え~?!先に言っておいて下さいよぉ(怒)。全く気付きませんでした。っていうか細かすぎます。ただの自己満足じゃないですか!(笑)」

建具の中でも「襖」好きな私は、たとえそれが洋室であったとしても、「和」のテイストに仕上げる場合には、好んで仕様に盛り込みます。実際に工事をされる工務店さんから、「本当に襖で良いのか?」と確認のお電話を頂くことも少なくはありません。
今回の住宅も「和モダン」をテーマにした住宅だったため、「襖」を利用しました。しかし、今回はレディースシリーズ。細かなところまで気を抜きたくなかったのです。
そこで、いつものような「白木(スプルース)」や「黒カシュウ」の引き手ではなく、美しい取っ手のバリエーションを数多く持つメーカーユニオンから次の2点を選びました。
入口の引戸には、ATH322-012

押入れには、ATH308-012

建具において、取っ手の存在は大きいハズなのですけどね・・・。
ホント、ジコマンゾクに終わってしまいました(苦笑)。

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3月1日 天龍寺の家 PARTⅡ

2008-03-01 | インテリア/建築
実はこの住宅、「2007年7月23日 今回はバリのリゾートホテルをモチーフに。」でご紹介した住宅の隣に建ったもの。
隣がお客様のもとに旅立った後、こちらも着工することになりました。隣の住宅は夢創建築事務所の松延先生による設計、こちらは谷口健建築事務所の谷口先生による設計のため、同じハチセの物件ですが、また違ったテイストのものになりました。

図面が私の手元に届いたのは、確か8月、お盆休みを明けた後のことでした。
9月に施行される京都の景観法では、建築することができなくなる片流れ(屋根)のシャープなファザード。
「8月中に着工するから。隣の外観は『白×黒』だったから、今回は『ブラウン系』で計画して。内装は、明るい色合いの方がいいなぁ。」
それが、現場担当者からの依頼でした。

明るい内装・・・。
平面図や展開図をじぃ~と眺めてみます。
目を閉じて空間をかたちにしてみます。
明るい色・・・ナチュラルな色・・・クリアな色・・・。
何度想像し直しても、一度思い浮かんだイメージを消すことができません。
そう。私の頭の中に浮かんだ画は、真っ白な床の空間だったのです。

「白」かぁ。
実際に、施主の居ない建売住宅でこの色を用いるのは、ホントは勇気が居るのです。
(受け入れてもらえるかなぁ。)
やっぱり、着実なところ、誰からも愛されそうなイメージで固めようか。と何度も想像を巡らすものの、消しても消しても現れる「白」の空間。そして、ブラック色の建具が新たに私の世界に入って来ました。
(そういえば、『黒』も使ったことないなぁ~。)
いざ、仕様書の作成に取り掛かると、もう止まりません。(社内でアウトが出たら、変更すればいいや。)と、どこか他力本願というか、ヒトにストップを掛けられれば、納得できるけれど、自分で自分の想像した世界にストップをかけることがどうしてもできず、そのまま仕上げてしまいました。

そして、工事が始まったのです。
・・・そう。カラースキームにおいて、誰のチェックを受けることもなく・・・

その他の仕事に追われながら、10月を迎えた頃、ふとこの住宅のことを思い出しました。
(あれ?あの家、あれで良かったのかなぁ?)

新しい試みをした時、大胆な発想をした時、いえ、むしろ大胆でも新しくもなくても、自分が作成した仕様書による住宅が着工を迎える日は、毎回不安を抱えています。それは決してマイナスな意味合いだけではなく、ワクワクする感じと合わさって、胸がぎゅっとする感じ。
そして、いよいよ完成を前にし、現場担当者が検査をする頃にはこれまた、密かにソワソワしています。
この感情だけは、初めて住宅をコーディネートした時から全く変わらないものです。

さて、そんな天龍寺の住宅は、3月8日(土)、9日(日)に内覧会を開催します。
詳しくは、ハチセホームページをご覧ください。
ハチセのホームページ:http://www.hachise.jp/
今週のオープンハウス情報:http://www.hachise.jp/baibai/open.html

それでは、具体的に室内をご紹介します。
まずは、玄関。

正面の大きなガラスが空間に広がりをもたらしてくれるので私は好きです。さらに、今回は、網入りガラスではなく防火ガラスを採用し、すっきり透明ガラスが設置されたことも大きなポイントです。
やっぱり、スッキリしてとても気持ちが良い☆
玄関収納がコンパクトなのは、シューズクロークのある住宅だから。
もちろん、ブラック。クロムメッキのバー形状の取っ手がとても素敵なのですよ。

リビングへ続く廊下。

ダウンライトの配灯にも注目して欲しいトコロ。特に感覚的な「明るさ」を追求して計画しました。
100φという小さの口径を採用したことと、スカラップ(帆立貝やその形に模した光の形状)を意識して単調な廊下という空間にリズムとアクセント。床面照度ではなく、鉛直面照度を上げることで、実際の照度以上の明るさ感が得られます。

LDKの入口扉を開くと・・・

正面の壁面をアクセントウォールにしました。
天井からのスポットライトで強調。この面を利用してここで暮らす方に自由に遊んでもらえるよう、スイッチやコンセントなど、その面を汚してしまうアイテムを全て排除。それらは、その他の壁面を駆使して計画しました。
利用したのは、サンゲツのクロスFE3901


 

続いて和室です。
「和室のクロスは、何かちょっと考えてな。」
最初に現場担当者から与えられていた課題。従来、日本の和室空間でじゅらく壁が落ちるのを防ぐ意味でも利用されていた「床面から尺3寸を和紙でまわる手法」を現代風にアレンジ。全てがクロスを用いている和室では、機能性はともかく、あくまでもデザインとして空間に取り入れる、このコーディネートが社内では人気です。
改めて、図面を眺めます。南面に入口の片引戸、東面に押入と床、西面に掃き出し窓・・・。四方に帯を入れようにも、プツプツ途切れてしまい、あまり格好の良いものとは言えません。
(それなら、天井付近に入れてしまおう♪)


洗面室と1Fのトイレットルーム。
 
白と黒でキリっとメリハリのあるコーディネートにしました。洗面は、鏡裏を収納スペースとし、小物類がカウンターに溢れないように計画しました。タオル等はカウンターの下部に配したキャスター付のキャビネットへ。洗剤などは、サイドのキャビネットをご利用頂くように想定しています。

2Fの洋室(吹き抜け横)
 
2Fは、1Fよりも柔らかい空間にしたいなぁ。と思い、「白」を基調に計画をすすめました。ただし、この部屋は、吹抜から1Fを臨める場所に位置する部屋。1Fとのつながりを考え、「黒」の要素を残しました。

日当たり抜群の寝室
 
夫婦室(=寝室)を想定して計画。
照明計画をする際に、収納を優しく照らし、ベッドからまぶしくないダウンライトや、常夜灯を配したいと考え、あえて勾配になっていた天井の一部をフラットに仕上げてもらいました。
壁紙には柔らかいクリーム色を。天井には光の加減でうっすらと浮かぶ花柄のクロスを。天井面が高いので、柄がうるさくなりません。
 

2Fトイレットルーム
 
サンゲツFE4204。このクロスをいかに美しく表現するか。
2Fのトイレットルームは、この1点に絞込み、その他3面の壁面クロス、天井のクロス、更には照明までを計画しました。トイレには少し勿体ないような気がして、何度も計画を検討し直した結果、やっぱり諦めきれずに採用したスポットライト。
空間を照らすことよりも、この壁面を美しく照らしてくれることによって、ついでに空間に必要な明るさを補うかたちを取りました。
1F部分は、スキの無いオシャレ感を。2F部分は一転、春の日差しのような柔らかさを表現。この小さなトイレット空間が2Fのイメージ確立に大きな役割を担ってくれたような気がします。

最後に外観です。

今回の外構は、プロのエクステリアプランナーさんにおまかせ。
なるほど。私がつくるアプローチとは、一味違ったテクニックが見られました。低予算でも素敵に仕上がったと思います。

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