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体系的「場」創り理論シリーズ その55 Smart & Sexy Community Placeとしての ヒューマン・コミュニティオフィスの展望

2022-12-20 11:52:00 | 日記
体系的「場」創り理論シリーズ その55
Smart & Sexy Community Placeとしての
ヒューマン・コミュニティオフィスの展望

【今回は長めの論考です!時間のある時にお読みください^_^】

1.はじめに
日本社会では、「仕事」に対する意識と「働く事」への向き合い方が変わり始めています。
人命との引き換えに、「働き方改革」の社会気運が高まり、2019年4月1日からは、現代労働事情に即した「労働関連法規」が見直しされ、「労使双方」にとっての「働くことの意味と意義」を再考させてゆくきっかけとなりました。

中でも、長時間労働の問題は多くの組織に影響を与え、日本の社会意識の象徴ともいえる「勤勉さ」を超えた「働き過ぎ」問題が改善の兆しが見えていたところに新型コロナウィルスが人類に試練を突きつけました。
コロナパンデミックは、社会意識を劇的に変えることとなり、人々の経済活動のスタイルや社会常識感を変えてゆく変節点となり、働き方自体も大きく変わり始めるきっかけとなっています。

オフィスに出社して、長時間労働を強いられていた時代から、新型コロナ感染を制御することを目的として、オフィスに出社しない「在宅テレワーク」の働き方が定番化し、一見良かった、と思われたこのシステムも、働く人たちの在宅執務環境問題や、心身疲労などの精神的負荷、そしてオンライン仕事の限界が露呈しつつあり、単純在宅テレワーク・リモートワークの見直し気運が醸成されつつあります。
社会では、サードオフィス構想やワーケーション・ワークスタイル、そしてコ・ワーキングやコ・クリエイション型シェアオフィス、そしてバーチャルオフィスなどに代表される、多様でフレキシブルな仕事スタイルに移行始めています。
この流れは「ワーク・トランスフォーメーション(WX)」とも言えるものですが、この結果、「決められた時間と決められた場所で、人間が集合し交流しながら働く場所」としての「オフィス」の在り方や価値評価が変わりつつあります。

一部の企業経営者は、WXとデジタル・トランスフォーメーション(DX)を掛け合わせれば、「物理場リアルオフィスなどなくても、在宅ワーク等を組み合わせて仕事はできる」との経営判断するケースもあり、「オフィスの概念」は正にパラダイムシフトの渦中にあると言えます。
果たして、この潮流は日本社会や人類にとってウェル・ビーングを醸成し「幸福な社会」や「幸福な組織」、そして「幸福な家庭」をベースに、全ての働く人々にとって「幸福で豊かな人生を体感できる社会」を共創してゆくことになるのでしょうか。

ここでは、Smart & Sexy Community Placeとして、未来のヒューマン・コミュニティオフィスの在り方と展望を「未来型サステナブル・ヒューマン・コミュニティオフィスの展望」として私の思いを綴ってみます。

2.オフィスの在り方と人間の在り方
「働く事」と「生きる事」 

「オフィスの在り方」を考えるには、「働く人々」の意識を慮り「人間の在り方」を考える事が重要です。
言うまでもなく、オフィス機能の一つは「働く」場所であり、そこで「働く」のは人間です。組織とは、人が目的を持って集まる概念的な「器」であるとともに、人が相互知的交流を通じ「集合知」を創り出し、イノベーションや付加価値を創出してゆく「場」でもありす。

「場」に集う人々が「働く」とは、人間が持つ「脳力」や「能力」である「付加価値創出力」と「新価値創造力」の創発的活動により、幸福社会を希求し実現してゆく行動、行為です。
この「行動・行為」をベースとした活動は、人間が人生を「生きる事」そのものしてとらえてみると、仕事で「働くこと」と、日常の暮らしや生活してゆく事、つまり「生きる事」は、人生の中で同じ時間軸でとらえるべきと思います。

「働き方改革」とした、過剰労働の是正化の流れの中で、適正な仕事時間と暮らしの時間を「均衡」させる「ワークライフバランス」なるコンセプトが社会に浸透しつつありますが、
「仕事時間」と「生活時間」が明確に区別出来ない働き方をしているケースも多く「仕事時間」と「生活時間」を「調和」させてゆく「ライフ&ワークハーモナイゼーション」との認識をすべき時代となっているともいえます。(但し、エッセンシャルワーカーの方々等にとっては、必ずしも適合するものではありませんが…)

この視点で、「オフィス」を考えてみると、働く為の空間・時間に限定された「仕事場」だけではなく、人間が充実して豊かな人生を創造してゆく為の「人生の暮らし場」的な観点を考慮すること何大切です。
ただひたすらに「働く」を問うオフィスではなく、暮らし時間の中での「遊びとゆとり」を意識しながら「活動」する「仕事場所」としてのニューオフィスコンセプトがこれからの時代に問われてくきます。

3.人間の本質は「遊戯人」との仮説

オランダの歴史学者ヨハン・ホイジンガは、人間を「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人、遊戯人)と定義したました。
現代人はホモ・サピエンス(英知人)であると同時に、ホモ・ルーデンス(遊戯人)であり、また、ホモ・ファーベル(工作人)でもあり、そしてホモ・シンボリクス(象徴人)と言われます。
ホイジンガは、人間にとって「遊び」(ルードゥス)こそが、他の動物と人間とを分かつものであり、政治、法律、宗教、学問、スポーツなど、人間の文化はすべて「遊びの精神」から生まれた、あるいは、あらゆる人間文化は「遊び」のなかにおいて、「遊び」として発生し、展開してきたものであると主張しています。

 『「遊び」は「文化」よりも古い。「ホモ・ファーベル」(作る人)よりも「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)が先にある。』
というのがホイジンガ哲学の大前提であり、
「文化」ついても、そこに遊びの要素を発見できさえすれば、「文化とは何か」ということを解きほぐすことができます。
私は「仕事」も「文化」的なものと解釈しており、「仕事=働く」に於ける「遊びの要素」を見つめてみると「仕事とは何か」、また「働く意味とは」といった仕事の本質が見えてくるように思っています。

ホイジンガ曰く、『人間は、すべからく「遊者」である。』と。
人間は誰もが、子どもの頃からその原型的な経験を持っておりし、エンタテインメントが生活の潤いとなっている現実を見るに、人間には「遊び」が必要と言えます。
仕事を「遊び」ととらえることは不謹慎と言われるかもしれません。でも、時間を忘れるほど没頭しても、「疲れ」ではなく「心地良さ」や「満足感」を感じられるplayingWorkこそ新しい仕事スタイルとも言えるのではないでしょうか。

現代社会において「仕事」は厳格で神聖なもので、「遊び」とは正反対の概念ですが、ホイジンガーの哲学が示唆するように、働く人々の意識に「遊び」心を宿らせる「場」を「オフィス」と再定義すれば、オフィスは働く人一人ひとりの「やる気」や「集中力」が高め、幸福意識(わくわく)を誘発させてゆく「場」になるのではないでしょうか。

4.「オフィス」はワーカーが管理・監視される「仕事場」てまはありません

組織社会では、社員等(正社員、期間雇用社員、派遣社員、業務請負・委託社員など)を、組織が定めた「働く場所」に出社または集合させて「仕事」に従事してもらうのが常識的概念です。そして、集う人々の働き方の形態やミッションの違いはあるものの、組織に共通している点は、社員等の「仕事貢献」への期待であり、組織は社員等の「貢献」に対して「報酬」を支払う構図がそこにあります。

この組織意識の背景には、「報酬」の妥当性を評価し、「価値創出活動」が適正になされているか、そしてその行為・行動が、組織価値の向上と発展に資するものでもあるかの「判断」をするために、組織側が、働いている人々を「管理・監視」する意識構造が定着しています。
それ故に、働く場所としてのオフィスにおいて働いている人々は、上司(経営管理職階層)から「管理・監視」されるのが当然との「思い込み」があります。

就業時間(例えば9-17時)内では、働く誰もが、暗黙的に「仕事モード」を強要されており、就業時間中に私事をしていたり、ぼーっとしている時間は「サボタージュ(いわゆるサボリ)」と見られてしまう「組織の目」があります。もちろん、ルーティン仕事やエッセンシャルワークに従事している時には、自分の仕事に専念する事は当たり前ですが、創造的仕事や感性仕事など、いわゆるクリエイティブワークに携わっている人々や、エッセンシャルワーカーにとって、隙間時間にリラックスワークをするのは、ある意味誰もがやっている事といえるのではないでしょうか。
管理職たる上司は、働く人々を、サボリ管理監視するのではなく、オフィスでの意識空間を、働く人々の創造力を誘発させる「心知の交流場」として、また、「暗黙知のスクランブル交差点」的な「形式知の創発場」としての企業等組織の「場」つくりをしてゆくことが求められます。
更に、人間集団としての組織が醸成してきた「良き文化や風土」は継承しつつ、「悪しき慣行や文化」そして体育会気質的な「根性風土」は適正に改善してゆく事も、管理職のミッションです。
組織のリーダーや企業等経営者は、働く人々が集うオフィスを「新価値共創に向けた実験場」としての視点を考慮しながら、働く人々が「遊びの如く働く」、謂わば、ホモルーデンスの集合としてとらえ、「創造性を高める幸福なオフィスの在り方」!それを、Smart &Sexy WorkPlaceと定義しでわくわく空間を探求してゆくことが重要ではないかと思うところです。

5.オフィスは組織別単位で使うものだけではありません

社会の常識として、オフィスの区画は「共通目的」を持ってスペースを使用する、同一組織や人間集団が、他の組織や外集団とは隔離させて、限定された人々により利用されるものとの思われています。

「〇〇会社のオフィス」には、関係者以外は立ち入る事が出来ないのが一般的。それは、オフィス内には、有形・無形の「営業機密」や「秘密事項」が存在しており、関係者以外への機密事項等の漏洩を防止する事が一つの理由です。また、自組織が不利益となる「情報」を社外に流出させない為の防御策、要すれば、物理的なスペースへの「情報セキュリティ管理」も大きな理由と言えます。
また、同一組織内でも、「関係者以外」に情報を開示しないケースもありますね。
この意識は当たり前であり「疑問」にも思われていないと思いますが、組織自体の情報資産管理へのセンシティブな思い込みが、組織内の「意識サイロ化」を助長している側面も否定できないのではなと感じます。
このような意識風土は「隔離型オフィス」を志向させる傾向ある一方で、オープンイノベーションを志向したオープンオフィス概念も併存している社会意識もあり、オフィスの在り方を抜本的に再考することも必要です。
果たして、働く場所としてのオフィスは、同一組織の関係者だけが集い、空間を占有し、時間を共有することだけで「機能」を果たしていると言えるのでしょうか。
私は、この問いに対する社会意識の顕れが、組織社会の共創志向やオープンイノベーション期待感を背景として、「コ・ワーキングスペース」型のオフィス提供事業が拡大している背景と考えています。
しかしながら、現実的には組織社会側の「期待価値」を充足させるまでには至っていないように映ります。それは、組織社会側が保守的なオフィス概念から脱却できていないことも理由の一つかもしれません。であれば、どのような道筋を示せば、コワーキングが意味をなす「未来型オフィス概念」への進化適応が促進されてゆくのでしょうか。

6.「人生ライブハウス」としてのSmart &Sexy Living Placeとしてのコミュニティ・オフィス

組織社会では「オフィス」は、働く人々にとっての仕事場所たる「物理的な器」としてとらえる見方が一般的です。
そこには、人間の気持ちや心など、人間コミュニティにおける「意識の場」の要素はあまり考慮されず、専ら、スペース機能や効率を優先させる傾向があります。
一方、オフィスを人が「新価値創造」や「付加価値創出」をしてゆく「知的活動場所」ととらえた場合は、より人間中心とした要素でもある、「感性・情動」や「認知心理」など、人間の深淵な精神性や尊厳に配慮した「想いの場」としての機能要素を実装してゆくことで「わくわくライブオフィス」に変貌させてゆく事ができます。
私は、人々の想いが凝縮し、ぞくぞく&わくわくを感じられるSmart &Sexy Living Placeとしての「ライブオフィス」の概念こそが、未来型オフィス概念のキーファクターになると考えています。

「ライブオフィス」とは、組織を越境した人々が集い、 互いの息遣いを感じ、ノンバーバルコミュニケーショ ンができる「気」(活気、熱気、意気、才気、士気)や「オーラ」を交信しながら、安心、安全そして「人間愛」を直接感じられる時空間でのリアルタイム交流により、価値創出の喜びを共感できる「場」です。
音楽の「ライブハウス」のごとく「場」の熱気と,越境して集まった仲間との一体感こそがライブオフィスの価値です。

7.「コミュニティ・オフィス」に不可欠な
「安心・安全・安定・クリエイティブ、そして、わくわくハピネス」のコンセプトデザイン

私は、Smart &Sexy Living Placeである人生ライブハウスの「コミュニティオフィス」をデザインするにあたり、5つの要素を意識しています。
それは、①安心 ②安全 ③安定 ④クリエイティブ ⑤ わくわくハピネス、という要素です。
「安心」とは、集う人々が仕事と暮らしの調和を図りやすい心地良い環境と、ストレスフリーでリラックス感を醸し出す「空気感」を演出することであり、いわば、「心理的安全性」に満ち溢れた時空感の創造と言えるもの。
「安全」とは、コロナパンデミックの中、空間スペースにおける密を回避し、一定のディスタンスを確保できる空間や動線設計の工夫、そして、空間の『クリーンエアー・マネジメント』の可視化を演出すること。
具体的には、高性能HEPAフィルターを実装させた床置き空気清浄機の適正配置や、滅菌照明の導入、什器な器具類の抗菌証明などが挙げられる。もちろん、設備空調の機能を最大活用したうえでの事はありますが!
「安定」とは、安心・安全環境を持続的に継続運用をしてゆくこと。設備や装置を適切に設置した上で、「適正運用」を実践してゆくことです。
「クリエイティブ」とは、設備装置や機器等を利用した安心安全対応に加え、人間の感性を刺激し、人間の潜在意識を誘発または触発させて、人間個の持つ「脳力」や「能力」そして「センス」を顕在化してゆく「場」の演出を意味します。
具体的には、「五感アプローチ手法」や「マインドフルネスアプローチ手法」などを織り交ぜながら、サイエンス&アートをウェルバランスさせて、心地感とユーフォリア感、そして人間のセレンディピティを誘う「場」の要素と言えます。
そして「わくわくハピネス」とは、人間のモティベーションやエンゲージメントレベルを、無意識のうちに向上させ、仕事や暮らしの中での活動を、「楽しさ」や「喜び」、あるいは「感動」や「共感」のレベルに感受力を昇華させてゆく演出でありSexy zoneのプロデュースです。
この効果は、仕事に対しては、集中力をフロー(ゾーン)状態にトランスフォームさせて、価値創出行動の練度や閃きの頻度を高めるとともに、人生暮らし時間の充実と「多幸感」に浸れる機会を創出することにあります。

8.人間にフォーカスした価値創造空間としての「未来型モデルオフィス」のデザインと実現可能性

人間にフォーカスした価値創造空間としての「ヒューマン・コミュニティオフィス」の在り方と「場」つくりスタイルを具現化、普遍化し、近未来の実社会に実装してゆくためのディレクションと方法論と実践的デザインコンセプトを示してみましょう。
「ヒューマン・コミュニティオフィス」に求められるオフィスの在り方と機能を次のように仮定義してみます。
 「ヒューマン・コミュニティオフィス」概念のベースラインにある理念は、
・人間の集い場
・人間の夢中創造の場
・自他の区別無く人生時間を共有する場
・心身健康に配慮されている場
・心理的安全性に満たされた場
・知の創造を促進するSECIモデルオリエンテッドの場
・コーポレート・ウエルビーンク(組織事業の成功)とエンプロイー・ウェルビーング (働く人々の幸せ)が調和されている場
・SDGsコンセプトにコンプライする「人類幸福実現」の場

私は、オフィス概念を「働き方」のみにフォーカスさせるのではなく、人間一人ひとりの「暮らし方」、つまり「人生の生き方」の観点をも抱合させたゆとり(遊び)「場」としてとらえてみると、こうした一見「超理想」的な在り方は、真剣に取り組んでゆけば実現可能な挑戦と考えています。

9.社会観察×Human&Work Techをベースとした「X-Tech」イノベーションによるコミュニティオフィス=社会場つくり

人間の集合である社会の「構造」や「意識」は複雑多様であり、「あるべき姿」を描いてみても、その理念を実現してゆくプロセスは簡単ではありません。
また、社会生活を送る人々は、一人ひとりが人生創造に奮闘をしながら、豊かで幸せな日々の暮らしを希求・追求してみるものの、その対応手段や解決手法は簡単に見つけられるものではなく、暗中模索しているのが現実社会ともいえます。
「未来型コミュニティオフィス」とは、「社会場」であり、その目的は、「幸福な社会創造」に通じるウェルネス・コミュニティを共創する「場」です。
この「社会場」の構造や人々の想い、そして「場」で暮らし、仕事に勤しむ「働く人々」の意識感や現実感など、様々な要素を整理しながら「社会観察及び洞察」と「人間観察並びに分析」を掛け合わせてゆく事で、「社会現場」(組織、集団、地域等のコミュニティ)の温度感と空気感、そして意識感の一部が可視化出来るようになります。
可視化をファシリテートする手法の一つが、Human Tech やWork Techをベースとした、所謂『X-Tech』と呼ばれるテクノロジーです。
ビッグデータの集積とデータマイニング&アナリシス、AIを活用したセンシングデバイスツールの活用による「測定手法」とも言えます。
社会事象の動向や人間行動等の観察、そして、オフィス等「仕事場」における、人間の感情や心理的意識、並びに感性や幸福感がもたらす「モティベーション」や「エンゲージメント」レベルを、仮説測定することにより、「個力」や「チーム力」、そして「組織力」や「社会力」などを類推しながら、組織社会での新価値創造や人間の幸福価値創造向けた「社会場」をデザインする手法。

10.ポジティブ心理学や幸福学をベースとした、人間の幸福意識(わくわく)に溢れた「場」つくりと持続的運営の実際

私が、デジタルエンタテイメント企業組織での「総務部長」の立場であった時に、本社オフィスの移転プロジェクトに携わる体験を通して得た「わくわく場」の創造について紹介します。

ここでの経験が、私の現在活動の原点となっているのですが、クリエイターを元気に!
を合言葉として「感性・五感投資マネジメント手法」と”自称”している「場」つくりメソッドを構築し、結果的に「人々の行動変容」と「組織の価値向上」に繋がることとなったと考えています。その手法とは、「クリエイティブ・オフィス概念」を再定義し、クリエイティブワーカー主体の組織において、いかにして、働く人々の「モティベーション」と「エンゲージメント」を高め、幸福意識(わくわく)に溢れる人間「場」つくりをしてゆくか!をプロフェッショナルの方々の知見を入れていただきながら設計デザインしてゆきました。
私は「オフィス学」の研究者ではありませんが、実務経験を通して「オフィス関連学」や「デザイン学」、そして「感性・知性工学」「人間工学」などの領域に加え、「情報関連学」や「脳科学」「大脳生理学」「ポジティブ心理学」といった、「人間科学」領域を統合させた「人と場エンジニアリング」を実践していました。特に、こだわりを持った観点と視点が、人間「感性」と「オフィス空間環境」との心的相関性の解明試行、並びに「知性空間」の中での、人間「個」の暗黙知を表出化させてゆく「トランザクティブメモリーシステム*」を「場」に実装する試み、そして、組織の人間関係とコミュニティ間の意識交流とコミュニケーションを、「リアルオフィス」と「バーチャルオフィス」のハイブリッドスタイルで実践試行してみることでした。

*トランザクティブ・メモリーとは「誰が何を知っているかを認識すること」。組織内の情報の共有化で大事なことは、組織の全員が同じことを知っていることではなく、「組織の誰が何を知っているか」を組織の全員が知っている概念。

11.オフィスを「クリエイティブ場」に演出してゆくのに不可欠な人間「感性」とオフィス空間環境の相関性

私は、人間の「感性力」が「知的創造性」や「価値創造性」つまり、仕事の生産性や能率性へ影響を及ぼす要素と考えています。
「感性」の定義は様々ですが、「感性」とは「感じることの性質もしくは能力」といった哲学的定義もあるものの、生理学的には「瞬間的あるいは直感的に物事を判断する能力」と定義されることもあります。そして、心理学的には「包括的、直感的に行なわれる心的活動およびその能力」とも言われています。
これらに共通するのは、感性を「心の働きのひとつ、あるいはその能力」として捉えていることです。そして、瞬間的、包括的な判断能力は「知覚」にも当てはまるものであり「印象評価を伴う知覚」と位置づけられることも。「感性」とは「想像力」や「イメージ」といった心の内的な表現にも関わるが、外部からの刺激による「知覚や感覚」で感性の変動を意識することになります。
つまり、心地良さ、快さ、面白さ、美しさ、などの「知感覚」をどのように研ぎ澄ましてゆくかにより、個の「幸福意識」を触発させて「仕事力」を劇的に向上させてゆく事が可能と考えられるのです。
これらの感覚には個人差はありますが、覚醒ポテンシャル理論*を「場」のデザインに応用適用することで、働く人々のエンゲージメントレベルと幸福意識たる「わくわく感」を醸成し、結果オフィスで働く人々の「感性のエッジ」を研ぎ澄ましてゆくことが期待できると考えています。

*覚醒ポテンシャル理論
心理学者のバーラインが提唱した理論で「人間は単純過ぎるものには快感を感じないが、複雑すぎるものには不快感を感じ、その中間に快感を最大にする」という『ちょうどいい感覚理論』

「感性」を刺激する、心地良さや快さ、そして面白さや美しさなどの「感覚」を、「オフィスの空間環境」の設計・デザインに織り込んでゆくことの意味と意義を「人と場エンジニアリング」で仮説検証を進めてきました。

12.「知性空間」の「場」つくり

「知性空間」の中での、人間「個」の暗黙知を表出化させてゆく「トランザクティブメモリーシステム」の構築と「サイバニクス」並びに「センシングテック」の実証実験計画を進めています。
私が考える「知性空間」とは、組織に集い、オフィス等で働く人たち「個々人」の知識・唯識(五感と意識、無意識)、そして「さまざまな想い」が集合・集積した時空間ととらえている。その中に暗黙的に存在する「個知」を「集合知」や「集積知」に昇華させて、イノベーティブな新価値創造活動を刺激してゆく物理的器かつバーチャル意識空間を「オフィス」と解釈し「場」つくりを進めるものです。

中でも、オフィスに集う「個」の活動価値、暗黙知価値や心身状態を、適切にマネジメントコントロールし、「場」の健康状態や知力のコンディションを可視化し、その情報を共通化してゆく手法として「サイバニクス」と「センシングテック」の活用と応用を検討しています。
「サイバニクス」とは、ロボットスーツHALで有名な山海嘉之教授が確立した概念ですが、脳神経科学・運動生理学・ロボット工学・IT技術・再生医療・行動科学・倫理・安全・心理学・社会科学など、人・ロボット・情報系が融合複合した新学術分野であるが、この技術を用いて開発されているバイタルセンサー(血圧、脈波、心電、体温、血中濃度・糖度等、脳波、体組成...等) や、行動(加速度)センサー、そして環境センサーの技術を融合させて、働き方や組織活動、そして幸福感受性を可視化させてゆくことが可能となるテクノロジーです。

また「センシングテック」には、働く人々の仕事力の基礎とも言える「心身健康」をモニタリングできる「バイタルセンサー」を始め、オフィス空間環境をリアルタイムでコントロールしてゆく「空調エアーセンサー」や「光・音・匂いセンサー」、そして「セキュリティセンサー」などが実用化されてきています。
これらそれぞれのセンサー等を「オフィス空間」等に実装することにより、組織内における「人と場の活性化及び健全化」を客観的情報として「場」つくりのサポートをしてゆくものです。
こうしたテクノロジーを基盤とし、知の交流を促す「トランザクティブメモリーシステム」のプラットフォームが「パーソナル・インフォマティクスと、ライフ&バイタルロギングのコンセプトです。

13.パーソナル・インフォマティクスとライフ&バイタルロギングで「働き方改革」やウェルビーング  ライフを仕掛ける意味

パーソナル・インフォマティクス(Personal Informatics) とは、「自己の投影と自己監視を目的とし、個人的に関連がある情報の収集を支援する一つの個人の「情報学」です。
このアカデミアの「知」を、実践オフィス空間「場」に適用することの意味は、働く人々が自立的かつ自律的に成長してゆくことを促し、ヒエラルキー組織での課題感でもある「2:6:2の人材能力ポートフォリオ」を改善してゆく「人財の高度化」に一石を投じることが出来るのでは考えています。

こうした取組が可能となってきた背景には、センシングデバイスと情報処理機器の小型化が進み,個々人の「生活体験」、「行動」や「健康状態」などを長期間記録・保存することが可能となってきたことがあげられます。
毎日の仕事や生活シーンは刻々と変化し、その時流の中で私たちは「生きていること」を実感しながらも、過ぎた時間の「自分情報」は殆ど記憶に残っていないのが「普通意識」であるが、自己を振り返る機会をリマインドすることで「人生時間」や「仕事時間」を見つめ直し、仕事の能率や働く意識を呼び起こして、簡単かつ便利に自分情報を入手できる手法が「パーソナル・インフォマティクス&ライフ/バイタルログ」の考え方です。
アップルウォッチやFitbit、MEME,Muse...といった様々なセンサーデバイスとアプリは、働き暮らす人々の日常生活の膨大なログを自動的に記録してくれる。筆者は、この機能をワークプレイスとソーシャル・プレイスに実装してゆくことで、ウェルネスワークプレイスの「場」つくりと、人財の自律(自立)化に繋がるものと考えています。
但し、このサービス利用には厳守しなくてはならない事があります。それは、組織社会で働く人たちのプライバシーを「監視」したり、「管理」に繋がる使い方は厳に慎まねばならないことです。斯かる情報は、あくまで働く人々個々人にフィードバックされるべきとの倫理感を組織側は意識することが重要です。

14. 「リアルオフィス」と「メタバースオフィス」のインタラクティブ型ハイブリッド「場」つくり

組織とは、合目的的な価値創造集団であり、その組織が貢献し得る社会価値創造の目的(コーポレートビジョン)を共有する「人間集団」が組織社会を構成し、その組織に属する人々が、それぞれの立場(経営、社員・職員、補助的社員等)での役割を担いながら、さまざまな価値創造活動をする事が「仕事」といえます。
「仕事」をする物理空間の「場」がオフィスと考えてみると、オフィスに集う働く人々が共助、協力しながら、それぞれの職務を遂行してゆく組織の日常が存在する。コロナ禍では、その「常識」が多様化していますが…。
そして、その組織ミッション遂行の過程において、働く人々一人ひとりの個性を尊重しながら、良質で良好な「人間関係」を築き、合同的に価値創造を推進してゆく事が組織仕事といえるのではないでしょうか。
日常的に、働き暮らす人々(役職社員や従業員等)が、組織内外との交流価値やコミュニケーション価値を高めてゆくには、相互かつ集団での円滑な「意識交流」と「コミュニケーション」を実践し得る「場」のデザインや工夫をオフィスに実装してゆく事が重要です。
「場」の設計にあたっては「コミュニケーション」の本質を理解し、物理的リアルオフィスの機能ともに、ネットワークを介した「デジタル・バーチャル場」での知の交流や情報共有、そして作業効率や処理的業務の創意性を高めてゆく、リアルメタバース空閑とのハイブリッドスタイルな共創場構築思考が求められます。
私は、こうした意識を持ってデジタルエンタテイメント組織で「職場型クリエイティブオフィス」の挑戦をしてきた経験をさせてもらいまして。
「未来型コミュニティオフィス」とは「職場型オフィス」概念の派生系の一つであるが、オフィスの本質的な在り方や機能、そして「場」という考え方においては共通する点も多いと思います。

15.未来型ヒューマン・コミュニティ・オフィスコンセプトが繋ぐ人類知共創の世界とソーシャル・ハピネスの実現に向けて

従来意識でのオフィス定義は、「決められた時間と決められた場所で、人間が集合し交流しながら働く場所」的な解釈がされています。
私は、こうしたトラディショナルなオフィス概念は、ニューノーマル社会では、多様でフレキシブルな「人間の活動場」としての概念にトランスフォーム進化を続けてゆくと考えています。いわば「フレキシブルオフィス」への進化ともいえるもの。

その新たな概念は以下の三点。
(1)人間社会の多様なコミュニティを繋ぐ「社会場」としての機能

(2)働き暮らす人間個々の集団が、人生幸福意識(わくわく)を共有しながら共存・共生し、社会価値を創造してゆく「共創意識の場」としての役割

(3)働き集う人々が、快適で想像性に富む空間の中で、人生の「居場所」としての「喜びや安心感」を感じられる「心の交流場」としての存在

現場や現業で働くエッセンシャルワーカーは、原則的に「組織単位」や「業務単位」で区分された「指定場所」で働く事が一般的ですが、一方で、非現業型でナレッジ事務職仕事に携わる人々は、パンデミック環境での「在宅勤務」が浸透した事に加えて、必ずしも、同一組織や集団が「占有」ないし「指定」する「固定場所」で、仕事(価値創造活動)をする必要性が薄れてくることも予想されます。
この流れの一つであるWAA (Work from Anywhere and Anytime)と呼ばれているスタイルが普遍化してくると、WAAの概念がオフィス概念の一部を変質させつつある時代ともいえるます。
ワークスタイルは、よりフレキシブルになり、「社会の仕事観」にバリエーションを与えてゆくことになるでしょう。
てわも、忘れてはならない重要な事があります。それは、共通する組織目的や社会目的を持つ人間同士が、リアルに意識交流し、個々人の暗黙知を、組織レベルで形式知化させてゆく知的コミュニケーションを促す「社会場的リアル時空間」が不可欠であるということです。

このWAAと人間意識交流場がウェルバランスされた「人間×時空概念」が、広義のソーシャルオフィスの考え方です、
一般的に、非現業型でナレッジ事務職仕事に携わる人々にとっては、自分自身のパフォーマンスが最大化できるワークスタイルや、ワークプレイスの選択を、臨機応変かつ自律的にセルフデザインする事は簡単できませんが、組織(雇用者)側または社会が、非現業型でナレッジ事務職仕事に携わる人々が、潜在的な能力を有効に発出できる「心理的安全性」に満たされた「場」を提供できたとしたら、また、組織に於いて、事業創造やイノベーティブ価値を創出する労働者(クリエイター等)にとって、「最高のパフォーマンス」を発揮できる「共創的な場」を演出できたとしたら、組織の創造的生産性は格段に向上することが期待できるのではないでしょうか。

更には、働く人々の「心身健康」と、「健康で幸福を意とする「健幸人生」を醸成してゆく「ウェル・ビーングの場」を、安心・安全性に配慮しながら実現してゆく事は、SDGsでも謳われている「ディーセント・ワーク(Decent Work)」目標を始め、世界平和と人類幸福を希求するSDSsフィロソフィーに合致した理念とアクションプログラムそのものといえます。

私は、現在組織勤めを卒業し、社会のホスピタリティサーバント意識を持ちながら、社会の「場」つくりのハピネスプロデューサー兼エージェントとして、これからもソーシャル・ハピネスを共創してゆく「ヒューマン・コミュニティオフィス」をプロデュースしてゆく活動を続けてゆく予定です。

時代は、Smart & Sexy Community Placeとしての未来オフィスを、XRテックをからめながら創造してゆく流れにトランスフォームしています。