院長の独り言
2014年05月08日
1064.全町民避難の双葉町役場-「美味しんぼ」に鼻血は出ていないと抗議
・まんが「美味しんぼ」-鼻血が出たという描写にマスコミ、双葉町役場、政府まで圧力をかけてきた。
・「美味しんぼ」は、その事実を元にしたわかりやすさから、推進派がお手本にすべきだと例示していたこともあった
・これだけ騒ぎが大きくなると、小学館は次号のスピリッツを発禁処置にする可能性がある
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2014050801.jpg 女性の裸を見ると、鼻血を出すのは「マンガ」のお約束。私が通っていた高校では、あり得ないことを描写するのに「まるで、マンガだ」とよく言っていました。「まるでマンガのよう」と言えば、通常荒唐無稽なことを指しますね。北斗神拳の「おまえは、もう死んでいる」など、真に受けて抗議をする方が間違っています。
ゴルゴ13でも、よくかけているとは思いますが、どこかは当然フィクションが混ざっているわけで、それはみんな知っていることです。たとえば、ゴジラが東京に出てきて東京タワーを破壊して、下町がめちゃめちゃになったマンガが発売されても、「風評」がたって観光客が減ったとは誰も言いません(そんなことを言えば、バカですから)
ところが、1059.美味しんぼの鼻血騒ぎ-事実を書いただけで「風評」助長?で紹介した、「美味しんぼ」は全く異なり、ネットに収まらず、ついには公権力が「風評」を楯にして大きな圧力をかけてきました。いくつか大きな報道がなされていますので、ご紹介します。
まず、原作者の雁屋氏(雁屋哲の今日もまた)
2014-05-04
反論は、最後の回まで,お待ち下さい
「美味しんぼ 福島の真実篇」、その22で、鼻血について書いたところ、色々なところで取り上げられてスピリッツ編集部に寄れば、「大騒ぎになっている」そうである。
私は鼻血について書く時に、当然ある程度の反発は折り込み済みだったが、ここまで騒ぎになるとは思わなかった。
で、ここで、私は批判している人たちに反論するべきなのだが、「美味しんぼ」福島篇は、まだ、その23,その24と続く。
その23、特にその24ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない。
今まで私に好意的だった人も、背を向けるかも知れない。
私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。
真実には目をつぶり、誰かさんたちに都合の良い嘘を書けというのだろうか。
「福島は安全」「福島は大丈夫」「福島の復興は前進している」
などと書けばみんな喜んだのかも知れない。
今度の「美味しんぼ」の副題は「福島の真実」である。
私は真実しか書けない。
自己欺瞞は私の一番嫌う物である。
きれい事、耳にあたりの良い言葉を読み、聞きたければ、他のメディアでいくらでも流されている。
今の日本の社会は「自分たちに不都合な真実を嫌い」「心地の良い嘘を求める」空気に包まれている。
「美味しんぼ」が気にいらなければ、そのような「心地の良い」話を読むことをおすすめする。
本格的な反論は、その24が、発行されてからにする。
雁屋 哲
オーストラリアで生活をされている雁屋氏にとって、何も怖いものはありませんから、少々脅されたくらいでは、逆に反発するのは当然でした。
何しろ、この「美味しんぼ」原子力安全教の布教のお手本として、わざわざ例示されていた位なのですから。
「原子力PA方策の考え方」
(日本原子力文化振興財団原子力PA方策委員会報告書)p.14
(6)
分かり易さではマンガが第一だ。
正確さを損ないがちな点には十分留意した上でマンガを活用したらよい。ストーリーの面白さがいる。
「美味しん坊」(原文ママ)というシリーズマンガはストーリーもあるし、料理の中身についてもよく解説している。
あの手口に学びたい。
いわば、飼い犬と思われていたマンガに手をかまれたわけですから、反論に熱が入るのは当然です。
美味しんぼの“鼻血” 双葉町が抗議
5月7日 23時18分
小学館の雑誌に連載されている漫画「美味しんぼ」(おいしんぼ)の中に、東京電力福島第一原子力発電所を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面があり、地元の福島県双葉町が「風評被害を生じさせている」として、小学館に対して抗議文を送りました。
双葉町が抗議したのは、先月28日に発売された「週刊ビッグコミックスピリッツ」に掲載されている、雁屋哲さん原作で花咲アキラさんが描く漫画「美味しんぼ」の内容についてです。
主人公の新聞記者たちが東京電力福島第一原子力発電所を取材したあと、鼻血が出たり、ひどい疲労感に襲われたりする場面などが描かれているほか、双葉町の前町長が実名で登場し、「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と語っています。
これについて、双葉町が7日午後5時にメールとファックスで小学館に対して抗議文を送りました。
抗議文では、「鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」としたうえで、「復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、福島県民への差別を助長させることになる」としています。
この漫画の表現を巡っては、小学館が今月1日付けの「スピリッツ」の公式ツイッターで「多数のご批判とご意見を頂戴致しました。お寄せ頂いた内容すべてを真摯(しんし)に受け止め、今後の誌面作りに活かしてまいります」とコメントしています。
今回の抗議については7日夜、NHKの取材に対して「担当者がいないのでコメントできない」としています。
福島県双葉町によりますと、双葉町には、雑誌が出たあとの先月30日から6日までに、「福島県産の農産物は買えない」とか「福島県には住めない」、「事実と異なるので小学館に抗議すべき」などの意見が、電話やメールで数十件寄せられているということです。
「美味しんぼ」とは
「美味しんぼ」は、「食」をテーマにした雁屋哲さん原作で、花咲アキラさんが描く人気漫画です。
芸術家で、希代の美食家でもある海原雄山と、その息子で新聞記者の山岡士郎の、親子の確執や料理を巡るぶつかり合いなどが描かれています。
昭和58年に漫画雑誌で連載が始まり、単行本は現在までに110巻、刊行され、累計の発行部数は1億2000万部に達しています。
作品は、食にとどまらず、環境問題のような社会が抱える課題にも踏み込み、東日本大震災のあとは「福島の真実」と題して、原発事故による健康への影響や食品の汚染を取り上げてきましたが、その事実関係を巡って批判も受けていました。
双葉町役場が抗議をしただけでは、何の意味もありませんから、NHKが報道することで相乗効果を狙っているわけです。
双葉町役場のホームページを覗いてみましょう。
2014050802.jpg 抗議文よりもまず目立つのは、双葉町役場の場所。
秘書広報課 所在地/〒974-8212 福島県いわき市東田町二丁目19-4
現在、双葉町はなんだかんだいったところで、汚染がひどく、一人の町民も住んでいません。まるで死の町だと発言した大臣が更迭されましたが、事実そのものです。このように全町避難している役場が文句を言うところにまず違和感を感じます。そして、全文
小学館への抗議文
平成26年4月28日に貴社発行「スピリッツ」の「美味しんぼ」第604話において、前双葉町長の発言を引用する形で、福島県において原因不明の鼻血等の症状がある人が大勢いると受け取られる表現がありました。
双葉町は、福島第一原子力発電所の所在町であり、事故直後から全町避難を強いられておりますが、現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。第604話の発行により、町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話が寄せられており、復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております。
双葉町に事前の取材が全くなく、一方的な見解のみを掲載した、今般の小学館の対応について、町として厳重に抗議します。
平成26年5月7日
福島県双葉町
言われて書かされたのでしょうが、この文章はあまりにもひどい文章です。
そもそも、鼻血が出たと役場に相談する人がいるでしょうか。しかも、双葉町町民は既にばらばらに住んでおり、役場になんて相談しても何の利益もありません。今回の美味しんぼの取材対象は、もと双葉町長なのですから、誰がなんと言っても事故当時に双葉町に住んでいたのは明らかなのです。一人の証言を取り上げてはいけないとしたら、それは単なる言論弾圧です。元町長が話したことをデマというのならば、抗議の先は元町長であるべきでしょう。
そして、移転している双葉町役場にわざわざ「福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話」をするでしょうか。なんのために、町役場に電話をしますか?何の権力もないのに。農産物のことなら、JAでしょうし、福島県に住むのなら、誰も住んでいない双葉町の役場に電話相談するでしょうか。そして、そもそも立ち入り禁止区域に含まれている町役場に旅行は中止したいと言いますか?これは、町役場が嘘をついているか、あるいは騒ぎを大きくするために町役場にわざわざこのような趣旨の(あきらかに役場の守備範囲を超えた)電話をしたのでしょう。
そして、最後の「双葉町に事前の取材が全くなく」とは、双葉町民の取材をする場合には、役場を通せという無理難題を押しつけています。そこの住民に取材をする際に役所の許可がいるとは、これは北朝鮮なんでしょうか?それならば、町役場はジャーナリストに許可証を出して、取材の場合には随行する必要がありますね。
と、思うわけです。そして、これだけでは弱いと思ったのか、政府まで横やりを出してきました。
「美味しんぼ」描写、残念=浮島環境政務官
2014050803.jpg 環境省の浮島智子政務官は8日の定例記者会見で、小学館の週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味(おい)しんぼ」で、東京電力福島第1原子力発電所を訪れた主人公が鼻血を出すなどの場面が描かれたことに関し、「福島の人も頑張っている中、残念で悲しい出来事だ」と述べた。同省は放射線による健康への影響調査を担当している。
浮島氏は「言論の自由はあると思うが、風評被害の観点から影響を考えてもらいたい」と指摘した。環境省は、「これまでの科学的知見では、福島第1原発事故に伴う放射線と鼻血の因果関係はない」としている。(2014/05/08-18:29)
この女性議員は2012年近畿ブロック公明党
なるほど読めますね。そして、環境省はがれき拡散の時に「環境省は廃棄物やがれきの処理は担当するが、放射能に関しては技術的知見を持ち合わせていない」と堂々と述べたにもかかわらず、いつのまにか放射能の専門家になってしまったようです。
放射性物質対策に関する不安の声について
平成26年5月8日
環境省環境保健部
東京電力福島第一原子力発電所の事故による被ばくにより、確定的影響の1つとされる疲労感や鼻出血といった症状が多数の住民にあらわれているのではないかとご不安の声をいただきましたので、このような不安による、不当な風評被害が生じることを避けるとともに、福島県内に住んでおられる方々の心情を鑑みて、環境省としての見解を以下のようにお示しいたします。
国連(原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR(アンスケア))が、これまでの知見に基づき公表した「2011年東日本大震災と津波に伴う原発事故による放射線のレベルと影響評価報告書」(平成26年4月2日公表)によれば、住民への健康影響について、「確定的影響は認められない」とされています。
東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません。
鼻血は増えていないとは書いていないところに、役人臭をものすごく感じますね。これは。環境省がこんなメッセージを発表して、どういった意味があるのか疑問に思いますね。本当に
放射能の実害に苦しんでいる双葉町役場が、事故原因を作った東電の小手先を担いで、「鼻血」を話題にした「美味しんぼ」をたたく。まさしく、分割して統治せよを見事に実現化しています。
来週発売予定のスピリッツ、はたして無事発行することができるでしょうか。
2014年05月08日
1064.全町民避難の双葉町役場-「美味しんぼ」に鼻血は出ていないと抗議
・まんが「美味しんぼ」-鼻血が出たという描写にマスコミ、双葉町役場、政府まで圧力をかけてきた。
・「美味しんぼ」は、その事実を元にしたわかりやすさから、推進派がお手本にすべきだと例示していたこともあった
・これだけ騒ぎが大きくなると、小学館は次号のスピリッツを発禁処置にする可能性がある
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2014050801.jpg 女性の裸を見ると、鼻血を出すのは「マンガ」のお約束。私が通っていた高校では、あり得ないことを描写するのに「まるで、マンガだ」とよく言っていました。「まるでマンガのよう」と言えば、通常荒唐無稽なことを指しますね。北斗神拳の「おまえは、もう死んでいる」など、真に受けて抗議をする方が間違っています。
ゴルゴ13でも、よくかけているとは思いますが、どこかは当然フィクションが混ざっているわけで、それはみんな知っていることです。たとえば、ゴジラが東京に出てきて東京タワーを破壊して、下町がめちゃめちゃになったマンガが発売されても、「風評」がたって観光客が減ったとは誰も言いません(そんなことを言えば、バカですから)
ところが、1059.美味しんぼの鼻血騒ぎ-事実を書いただけで「風評」助長?で紹介した、「美味しんぼ」は全く異なり、ネットに収まらず、ついには公権力が「風評」を楯にして大きな圧力をかけてきました。いくつか大きな報道がなされていますので、ご紹介します。
まず、原作者の雁屋氏(雁屋哲の今日もまた)
2014-05-04
反論は、最後の回まで,お待ち下さい
「美味しんぼ 福島の真実篇」、その22で、鼻血について書いたところ、色々なところで取り上げられてスピリッツ編集部に寄れば、「大騒ぎになっている」そうである。
私は鼻血について書く時に、当然ある程度の反発は折り込み済みだったが、ここまで騒ぎになるとは思わなかった。
で、ここで、私は批判している人たちに反論するべきなのだが、「美味しんぼ」福島篇は、まだ、その23,その24と続く。
その23、特にその24ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない。
今まで私に好意的だった人も、背を向けるかも知れない。
私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。
真実には目をつぶり、誰かさんたちに都合の良い嘘を書けというのだろうか。
「福島は安全」「福島は大丈夫」「福島の復興は前進している」
などと書けばみんな喜んだのかも知れない。
今度の「美味しんぼ」の副題は「福島の真実」である。
私は真実しか書けない。
自己欺瞞は私の一番嫌う物である。
きれい事、耳にあたりの良い言葉を読み、聞きたければ、他のメディアでいくらでも流されている。
今の日本の社会は「自分たちに不都合な真実を嫌い」「心地の良い嘘を求める」空気に包まれている。
「美味しんぼ」が気にいらなければ、そのような「心地の良い」話を読むことをおすすめする。
本格的な反論は、その24が、発行されてからにする。
雁屋 哲
オーストラリアで生活をされている雁屋氏にとって、何も怖いものはありませんから、少々脅されたくらいでは、逆に反発するのは当然でした。
何しろ、この「美味しんぼ」原子力安全教の布教のお手本として、わざわざ例示されていた位なのですから。
「原子力PA方策の考え方」
(日本原子力文化振興財団原子力PA方策委員会報告書)p.14
(6)
分かり易さではマンガが第一だ。
正確さを損ないがちな点には十分留意した上でマンガを活用したらよい。ストーリーの面白さがいる。
「美味しん坊」(原文ママ)というシリーズマンガはストーリーもあるし、料理の中身についてもよく解説している。
あの手口に学びたい。
いわば、飼い犬と思われていたマンガに手をかまれたわけですから、反論に熱が入るのは当然です。
美味しんぼの“鼻血” 双葉町が抗議
5月7日 23時18分
小学館の雑誌に連載されている漫画「美味しんぼ」(おいしんぼ)の中に、東京電力福島第一原子力発電所を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面があり、地元の福島県双葉町が「風評被害を生じさせている」として、小学館に対して抗議文を送りました。
双葉町が抗議したのは、先月28日に発売された「週刊ビッグコミックスピリッツ」に掲載されている、雁屋哲さん原作で花咲アキラさんが描く漫画「美味しんぼ」の内容についてです。
主人公の新聞記者たちが東京電力福島第一原子力発電所を取材したあと、鼻血が出たり、ひどい疲労感に襲われたりする場面などが描かれているほか、双葉町の前町長が実名で登場し、「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と語っています。
これについて、双葉町が7日午後5時にメールとファックスで小学館に対して抗議文を送りました。
抗議文では、「鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」としたうえで、「復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、福島県民への差別を助長させることになる」としています。
この漫画の表現を巡っては、小学館が今月1日付けの「スピリッツ」の公式ツイッターで「多数のご批判とご意見を頂戴致しました。お寄せ頂いた内容すべてを真摯(しんし)に受け止め、今後の誌面作りに活かしてまいります」とコメントしています。
今回の抗議については7日夜、NHKの取材に対して「担当者がいないのでコメントできない」としています。
福島県双葉町によりますと、双葉町には、雑誌が出たあとの先月30日から6日までに、「福島県産の農産物は買えない」とか「福島県には住めない」、「事実と異なるので小学館に抗議すべき」などの意見が、電話やメールで数十件寄せられているということです。
「美味しんぼ」とは
「美味しんぼ」は、「食」をテーマにした雁屋哲さん原作で、花咲アキラさんが描く人気漫画です。
芸術家で、希代の美食家でもある海原雄山と、その息子で新聞記者の山岡士郎の、親子の確執や料理を巡るぶつかり合いなどが描かれています。
昭和58年に漫画雑誌で連載が始まり、単行本は現在までに110巻、刊行され、累計の発行部数は1億2000万部に達しています。
作品は、食にとどまらず、環境問題のような社会が抱える課題にも踏み込み、東日本大震災のあとは「福島の真実」と題して、原発事故による健康への影響や食品の汚染を取り上げてきましたが、その事実関係を巡って批判も受けていました。
双葉町役場が抗議をしただけでは、何の意味もありませんから、NHKが報道することで相乗効果を狙っているわけです。
双葉町役場のホームページを覗いてみましょう。
2014050802.jpg 抗議文よりもまず目立つのは、双葉町役場の場所。
秘書広報課 所在地/〒974-8212 福島県いわき市東田町二丁目19-4
現在、双葉町はなんだかんだいったところで、汚染がひどく、一人の町民も住んでいません。まるで死の町だと発言した大臣が更迭されましたが、事実そのものです。このように全町避難している役場が文句を言うところにまず違和感を感じます。そして、全文
小学館への抗議文
平成26年4月28日に貴社発行「スピリッツ」の「美味しんぼ」第604話において、前双葉町長の発言を引用する形で、福島県において原因不明の鼻血等の症状がある人が大勢いると受け取られる表現がありました。
双葉町は、福島第一原子力発電所の所在町であり、事故直後から全町避難を強いられておりますが、現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。第604話の発行により、町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話が寄せられており、復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております。
双葉町に事前の取材が全くなく、一方的な見解のみを掲載した、今般の小学館の対応について、町として厳重に抗議します。
平成26年5月7日
福島県双葉町
言われて書かされたのでしょうが、この文章はあまりにもひどい文章です。
そもそも、鼻血が出たと役場に相談する人がいるでしょうか。しかも、双葉町町民は既にばらばらに住んでおり、役場になんて相談しても何の利益もありません。今回の美味しんぼの取材対象は、もと双葉町長なのですから、誰がなんと言っても事故当時に双葉町に住んでいたのは明らかなのです。一人の証言を取り上げてはいけないとしたら、それは単なる言論弾圧です。元町長が話したことをデマというのならば、抗議の先は元町長であるべきでしょう。
そして、移転している双葉町役場にわざわざ「福島県産の農産物は買えない、福島県には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話」をするでしょうか。なんのために、町役場に電話をしますか?何の権力もないのに。農産物のことなら、JAでしょうし、福島県に住むのなら、誰も住んでいない双葉町の役場に電話相談するでしょうか。そして、そもそも立ち入り禁止区域に含まれている町役場に旅行は中止したいと言いますか?これは、町役場が嘘をついているか、あるいは騒ぎを大きくするために町役場にわざわざこのような趣旨の(あきらかに役場の守備範囲を超えた)電話をしたのでしょう。
そして、最後の「双葉町に事前の取材が全くなく」とは、双葉町民の取材をする場合には、役場を通せという無理難題を押しつけています。そこの住民に取材をする際に役所の許可がいるとは、これは北朝鮮なんでしょうか?それならば、町役場はジャーナリストに許可証を出して、取材の場合には随行する必要がありますね。
と、思うわけです。そして、これだけでは弱いと思ったのか、政府まで横やりを出してきました。
「美味しんぼ」描写、残念=浮島環境政務官
2014050803.jpg 環境省の浮島智子政務官は8日の定例記者会見で、小学館の週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味(おい)しんぼ」で、東京電力福島第1原子力発電所を訪れた主人公が鼻血を出すなどの場面が描かれたことに関し、「福島の人も頑張っている中、残念で悲しい出来事だ」と述べた。同省は放射線による健康への影響調査を担当している。
浮島氏は「言論の自由はあると思うが、風評被害の観点から影響を考えてもらいたい」と指摘した。環境省は、「これまでの科学的知見では、福島第1原発事故に伴う放射線と鼻血の因果関係はない」としている。(2014/05/08-18:29)
この女性議員は2012年近畿ブロック公明党
なるほど読めますね。そして、環境省はがれき拡散の時に「環境省は廃棄物やがれきの処理は担当するが、放射能に関しては技術的知見を持ち合わせていない」と堂々と述べたにもかかわらず、いつのまにか放射能の専門家になってしまったようです。
放射性物質対策に関する不安の声について
平成26年5月8日
環境省環境保健部
東京電力福島第一原子力発電所の事故による被ばくにより、確定的影響の1つとされる疲労感や鼻出血といった症状が多数の住民にあらわれているのではないかとご不安の声をいただきましたので、このような不安による、不当な風評被害が生じることを避けるとともに、福島県内に住んでおられる方々の心情を鑑みて、環境省としての見解を以下のようにお示しいたします。
国連(原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR(アンスケア))が、これまでの知見に基づき公表した「2011年東日本大震災と津波に伴う原発事故による放射線のレベルと影響評価報告書」(平成26年4月2日公表)によれば、住民への健康影響について、「確定的影響は認められない」とされています。
東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません。
鼻血は増えていないとは書いていないところに、役人臭をものすごく感じますね。これは。環境省がこんなメッセージを発表して、どういった意味があるのか疑問に思いますね。本当に
放射能の実害に苦しんでいる双葉町役場が、事故原因を作った東電の小手先を担いで、「鼻血」を話題にした「美味しんぼ」をたたく。まさしく、分割して統治せよを見事に実現化しています。
来週発売予定のスピリッツ、はたして無事発行することができるでしょうか。