大川原有重 春夏秋冬

人は泣きながら生まれ幸せになる為に人間関係の修行をする。様々な思い出、経験、感動をスーツケースに入れ旅立つんだね

国立新美術館 ゴッホ展 オープニングレセプション

2010-09-30 23:23:58 | 美術
 国立新美術館で行われるゴッホ展のオープニングレセプションに出席してきました。雨にもかかわらず会場にはアート関係者が多数つめかけました。今回の展覧会はオリジナルの油彩作品が35点と非常に少なくちょっと寂しいです。ただ、日本の地でゴッホの作品をまとめてみることができるのはラッキーだな、と思います。オランダには何度か旅行に行きゴッホ国立美術館には十数回訪問し、クレラーミューラー美術館にも昨年アムステルダムの駅から電車とバスを乗り継いでゴッホの名作を数多く拝見する機会を得ましたので、今回の国立新美術館の展覧会は少し物足りないというのが、正直な気持ちです。 若き日、心優しきゴッホは聖職者に憧れ毎日教会に通いながらバイブルの翻訳に熱中しながらデッサンを描いていたといわれているそうです。画家になる決意をしてからのゴッホの絵画の旅はいばらの道でした。と同時に純粋で誠実な制作活動は神に近づき神になろうとする行為のように自分は思えるのですが… ゴッホは「画家はどこまでリアリティ、あるいは写実に忠実でなければならないのか」という問題意識を持ちつつ、誰もたどりつけなかった独自の色彩感覚を身につけながら絵画の魔術を読み解くべく試行錯誤した努力家ではないでしょうか。あらゆる意味において『究極』を目指すゴッホの生涯はこの世からあの世までどこまでも果てしなく続く終りのない旅のような気がします。 ☆☆

「僕の絵に対して僕は命をかけ、僕の理性はそのために半ば壊れてしまったんだ」ゴッホ

国立新美術館



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星空けい展 のご案内

2010-09-29 19:02:58 | 展覧会案内
 ふとした縁で知りあったアーティストの星空けいさんの鉛筆デッサンの展覧会を晶アート2階で開催しています。
とても繊細でユニークな細密描写の作品が数多く展示されています。星空けいさんの独特の心象世界に触れる貴重な機会になると思います。もしよろしければご覧ください。

≪星空けい展≫

期間・・・・・・9月27日(月曜日) より  10月9日(土曜日まで)

時間・・・・・・・12時より 6時まで  (日曜は 休廊)

場所・・・・・・・・晶アート 二階

         東京都中央区 銀座5-9-19サンブリッジビル
         (03-5537-5423)




極めて 重いものと 極めて軽いもの

甘やかで優しいものと 厳めしく 近寄りがたいもの

私の宇宙では 共存している

それぞれの異郷の住人たちは

性別を超え 年代を越え 文化を越え 国境を越え

偏見を持たず 

相手を 傷つけず

ぬくもりを与えあって 生きている

大切な  私の宇宙・・・

モノクロームの 私の宇宙

星空けい

慌ただしい一日

2010-09-29 18:45:02 | 日記
 いつものように慌ただしい一日が終わろうとしています。やりたいこと、やるべきことが山のようにあり、頭と体をフル回転しながら今日一日過ごしました。いつものことですが、月末はどうしてもゆったりと過ごすことはなかなかできないのは経営者の性(サガ)ですね。こんな時は素敵なバイオリンの甘い音色で心癒され精神的に落ち着きたいと自分に言い聞かせています。今年の秋にはイツァックパールマンさんが来日するそうです。なかなかチケットも入手困難ですがチャンスがあればコンサートに出かけてみたいと夢見ています。世界でも最も重要なバイオリニストの一人ですので…
 音楽についてはほとんど知識が小学校一年生レベルですので日々はずかしい思いをしています。アートオブバイオリンというDVDでパールマンさんの優しい人柄を皮膚感覚で感じます。とても謙虚で正直な人という印象を受けるのですが…

メモ(ウィキペディアより引用)

1945年8月31日、イスラエルのテル・アヴィヴに生まれる。両親は、ポーランドから移住したユダヤ系の理髪師で、ことさら音楽の愛好家ではなかったらしい。3歳の時、ラジオでヴァイオリンの演奏を聴いて感動し、ヴァイオリンに強い憧れを抱く。最初はおもちゃのヴァイオリンを遊び半分で弾いていたが、間もなく正式なレッスンを受けるようになる。
しかし、4歳3ヶ月のとき、小児麻痺にかかり、下半身が不自由になってしまう。それでもヴァイオリニストになる夢をあきらめず、幼少ながらシュミット高等学校でヴァイオリンのレッスンを続ける。その後、アメリカ=イスラエル文化財団の奨学金を受けて、テル・アヴィヴ音楽院でリヴカ・ゴルトガルトに師事し、10歳で最初のリサイタルを開いた。これを機にイェルサレム放送管弦楽団の演奏会に招かれ、ラジオにも出演する。
テル・アヴィヴ音楽院卒業後の1958年、13歳の時、アメリカの人気番組「エド・サリヴァン・ショー」のタレント・コンクールに応募して栄冠を勝ち取り、翌1959年2月に出演、リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」やヴィエニャフスキの「華麗なるポロネーズ」を弾いて大絶賛を浴びる。

2009年1月20日のオバマ大統領就任式ではヨーヨーマと演奏した。しかし実際に会場に流された音はリアルタイムのものではなく、事前に録音されたものであったことがわかり、各方面で賛否両論の声が上がっている。

イツァック・パールマン



鹿の湯

2010-09-28 18:05:00 | 日記
数年振りに那須の鹿の湯に行って来ました。北関東圏ではもっともお気に入りの温泉です。41度42度43度44度46度48度と6段階に温泉の温度が分かれていて、とても楽しめるお風呂です。かぶり湯もチャレンジできます。とても気持ちいいのでオススメです。良かったらぜひ一度訪ねてみて下さい。46・8度まで入浴しましたがやけどした感覚になりました。汗がポタポタ落ちてきて幸せな気分に…





「那須温泉元湯・鹿の湯」 サイト内写真より)

2010-09-27 23:19:04 | 日記
 僕には、夢がある。自分の経験知から優れたアーティストの作品を見抜く力は日本のなかで特異な位置を占めていると思う。実積と自信があるのでいかなる試練や困難な状況に陥っても立ち向かっていく決意です。夢とは自分の関わるアーティストと作品が「物語になり伝説となり神話として何百年も語り継がれる」ことである。今年は奇跡と呼んでもいい出来事が沢山あり自分の運の強さをしみじみ感じた。今日もあるアーティストのお宅にお邪魔して色んな話をする貴重な体験をした。神様がこの世に降りてくる瞬間を誰も目撃することはできないかもしれない。しかし神様がこの世に降りてきた足跡を見ることは誰でも可能ではないか。僕に出来ることは神様に一番近い存在であるアーティストと現世の人々が幸せになる道しるべを指し示す役割…だからこそ純粋な心がけと洞察力を何よりも大事にしようと思う。夢の中の夢を実現するために日々精進したいと考えている。楽しく頑張る。

感謝の日々

2010-09-26 23:11:31 | 日記
 自分自身の半生を思い返せば波瀾万丈の日々でした。天はさまざまな宿題と試練を与えてくれたのでお陰でかなり精神的にタフになったと思う。アートの仕事に関わって様々な素晴らしい出会いがあり、人間に生まれて本当に良かったと天と両親に感謝したい。世の中には色んな人々がいて様々な人生模様を見ることが出来、とても良かったし人生に悔いはない。多少妬まれたこともあったけど人を妬んだことはない。ここ数年 自分自身に降りかってきた出来事は「学び」としてとてもよかったと考えている。いづれ全てを公表する予定だけど。いやなことも長い人生には付録としてついてくる。「学び」の代償は大きいけど親切心と誠実さだけは見失わないようにして日々坦々と前進したいと思う。尊敬できる人が沢山いることは自分の誇りであり、無形の財産なので…人生に感謝してこれからも人様のお役に立てる人間でいたいと熱望している。(携帯電話から投稿)

世の中

2010-09-25 23:55:32 | 日記
 街中で毎日すれ違う人の顔をみていると色んなことを考えてしまいます。十人十色というけれど人相って凄く面白いと思います。人は皆真面目に生きていると信じてますが、日本人は国際社会の中で揉まれている人が少なくて大概の人々は井の中の蛙のような気がするのです…意識的な日々を過ごしている人ってはたしてどのくらいいるのか…その日その日のことで精一杯で世の中の動きを考えることも日本の社会を良くしようという気持ちなんて浮かんでこないんじゃないかな?何となく街中を行き交う人々をみているとふとそんなふうに思うのですが…簡単にいうと「何にも考えていない」人々が多いように見えてしまいます。単なる誤解かもしれないけど、洗脳され、去勢された人々の群れみたいな印象を受けるのですが…多分僕の思い込みと偏見かも…日本の教育水準はかなり低いのは間違いないと思います。中国や韓国を始め、アジアの教育水準はかなりレベルアップしていて、日本人はこのままいくと国際社会のなかで置いてきぼりにされるかも知れないと自分自身の反省も込めて憂慮してしまいます。政治のゴタゴタ状態をみても国益とかナショナルティ―とかを再考しないと世界中から笑い者にされるかも知れないと思います。権力からみれば何にも考えない思考停止の状態=可愛い子羊でいればいいのかも知れないけど、このままアメリカの奴隷になって黙ってお金を貢ぐと日本は破産してしまいます。なんとかそれだけは避けたいと自分は考えて知恵を出したいけど…やっぱり政治は大事だとしみじみ思う日々です。歴史の教訓から学ぶことが第一歩ですね(携帯電話からの投稿)

人間模様

2010-09-24 19:13:00 | 日記
最近、気持ちに余裕のない人が多くなったように思うのですが…。原因を考えてみると、日本の経済状況が徐々に悪化し貧富の格差が激しくなり、中流といわれている人々が消えかかっているのも一因であるように思うのです。収入が少しずつ減少しているので心の余裕もなくなり、目の前の生活に追われて『自分のこと』しか見えなくなってしまい、相手の立場を思いやる気持ちも忘れてしまうような人々が多くなったように思います。貧すれば鈍するという格言がありますが…。僕の周りにも何人か『変な人』になってしまった、というか人格が変わってしまった=全然別な顔を見せつけられることがあって、悲しいというかお気の毒な様子を見るにつけ、少々淋しく思います。人間というのは本当に弱い生き物だなあとしみじみ思います。逆境や試練の時こそ、心と気持ちを前向きに且つ積極的に堅持することで、未来も開けると自分は考えています。景気がいい時は何をやってもそこそこいけると思うのですが、状況が悪くなったときこそ人間の真価が問われるのではないでしょうか?日本の社会が不景気になったおかけで『人間らしく生きる』ことの大切さや『原点に返る』ことの重要性に気付くことができて、ある意味よかったなと自己納得しています。
今年は素晴らしい方々との出会いがあり感謝の日々です。

来るものは拒まず、去るものは追わず。


藤城清治 光と影展

2010-09-23 10:00:00 | 美術
 先日近所のよく行く和食屋さんから『藤城清治 光と影展』のチケットをいただいたので早速教文館に出かけてきました。はじめて藤城清治さんの作品の数々を拝見したのですがとても夢とファンタジーに満ち溢れていて心が温かくなりました。また、想像していた以上に作品のクオリティが高くてびっくりしてしまいました。大衆的な人気作家である理由がなんとなくわかりました。会場には多くの観客がつめかけていて熱心に作品を鑑賞していました。会場の展示構成も工夫されていて迷路のようになっているのですが、とても不思議な森の中に迷い込んだような感じがして心地よく感じました。心と魂を癒すにはとてもいい空間です。たまには都会のメルヘンの世界に戯れるのもいいかも。ノスタルジックな感覚も味わう事ができます。光を効果的に使っている展示空間にもう一度会期中訪れてみたいと思っています。銀座の隠れた美のオアシスです。銀座の街に来たら是非訪ねてみてください。
☆☆☆


私の尊敬する人

2010-09-22 18:42:32 | 読書

『ご先祖さまとのつきあい方』
一条真也著( 双葉新書 )

「こんなことをすれば、ご先祖さまに対して恥ずかしい」
「これをやってしまったら、子孫が困るかもしれない」

 先日、密かに尊敬する一条真也さんから『ご先祖さまとのつきあい方』という著書が送られてきました。早速本書をひも解くと、該博な知識を駆使して先祖について詳しく考究し、隣人を大切にする熱いメッセージが数多く投げかけられていました。
 ご先祖さまというと必ず家系図の存在について僕は深く考え込まざるをえません。僕の家はわかっているだけで19代続いているという歴史的な事実はとても荷が重いというのが正直な気持ちです。この本の中で家系図は『人間の心を癒したり、犯罪を抑止したりする一種の「文化装置」の一面がある』という指摘にとても共感しました。また、人が亡くなった時に不幸があったと言っている間は日本人は絶対に幸福になれないという一条さんの主張にとても学ぶべき事があります。自分の半生を振り返ってみると先祖と子孫というのは、とても重要なキーワードです。小さな頃から親族に長男としての自覚と責任のようなものを口が酸っぱくなるほどいわれ続けてきましたから…。一条さんのどの著書もみな、日本人としての『きちんとした当たり前の生き方』を平易な文章で説明し、ガイダンスしてくれている点が卓越していると思います。日本の社会が病理的な様相を呈している中で少しでも健康で幸せな世の中にしたい、という熱い想いが本の中に満ち溢れていて必読に値します。実業家でありながら、真の知識人として心から尊敬できる方です。とてつもないスケールで知を探求する大人(たいじん)と呼べる方だと思います。今年知り会えただけでも奇跡のような出来事です。人生に感謝ですね。

「死は決して不幸な出来事ではありません。死ぬとは人生を卒業することであり、葬儀とは人生の卒業式です」一条真也



チャップリン

2010-09-22 17:17:44 | 日記
ここ数年部屋にテレビを置かない生活をしています。少し偏向しているかもしれないですが、お気に入りのブログで世の中の流れをチョイスし、あとは専ら読書をして自分なりの世界観を形作っていきたいと思っているのですが…。ここ数日想定していない出来事があり、気分転換もかねてチャップリンの短編映画を6本ほど観ました。1915年のアメリカ時代の映画ですがかなり楽しめました。

下記「」内引用
「5歳頃、母が健康を害し声がかすれて歌えなくなる。 母に連れられ劇場に出入りしながら覚えた見よう見まねで母に代わり舞台に立つ。 これが初舞台となる。」

「7歳、極貧生活の中、母が精神に障害を来たし精神病院に収容される。 以後入退院を繰り返すことに。 幼い兄弟は孤児院を転々としながら学校に通う。」


舞台で成功した彼の生涯は輝かしい栄光の日々でしたがその半面アメリカでは大変な抵抗と迫害にあうなど私生活も含めて波瀾万丈の生涯に驚きを禁じえません。彼は日本が大好きで秘書も運転手も料理人もほとんど日本人のスタッフを雇っていました。1932年5月14日に神戸港に入港し「翌日には、一部軍人が蜂起して犬養毅首相を殺害した「五・一五事件」が発生、チャプリンも“外国文化の象徴”として標的にされていたことが、裁判記録などから明らかになっている」そうです。
いろいろチャップリンの生き方と思想について調べていくと興味深い歴史的事実が沢山あります。
これからすべてのチャップリンに関係する映画をみてみたいと思っています。

『薔薇は美しく咲くのではない。一生懸命咲いているから美しいのだ。『ライムライト』より』
『私は肩書きに興味はない。尊敬するのは、その人の業績だけだ。』
『死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ。『ライムライト』より』



チャールズ・チャップリン





お秀茶屋(グルメぶりっこ 13)

2010-09-21 10:00:00 | グルメ
 先日田舎に帰省したついでに磐越西線で会津若松のお秀茶屋に田楽をいただいてきました。約300年続いているお店だそうです。今まで数えきれないほど行きましたがいつ行ってもおいしい田楽が出てきます。お店の脇には「会津城主が裏山に刑に処する人にこの田楽と清水を飲ませたという城主の思いやりの味が今なお続いている」という看板があります。江戸時代、このお店で田楽を食べて刑場の露に消えたそうです。全国各地から田楽を食べに多くの観光客が訪れます。山下清画伯や手塚治虫さんはじめ、角界の著名人も田楽を食べにきて、絵や書を書かれて、お店の中に展示されています。良かったら是非お出かけください。

お秀茶屋

 

『彼岸の日』

2010-09-20 10:00:00 | 日記
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが今日はお彼岸ですね。浄土教が日本に広まった平安時代からお彼岸が普及したそうです。「日願(ひがん)」から由来しているとも言われているのですが、煩悩を脱した悟りの境地=涅槃の世界を彼岸といい、煩悩や迷いに満ちた生死流転の世界=「此岸」(しがん)がこの世のことなのですね。久しぶりに田舎にお墓参りに行き自分のご先祖様に感謝の気持ちを伝えたいと思います。深草アキさんの『彼岸の日』という曲を良かったら聞いてください。



深草アキ 彼岸の日  Aki Fukakusa



小さいことにくよくよするな

2010-09-19 10:00:00 | 読書
人は毎日生きていてあとどのくらいの命があるのかわからないけれど、未来永劫あたかも永遠に生きられるかのように日々行動する生き物だと思います。大抵自分のやりたいことは先送りにしてしまう習性があり後悔の日々を過ごすのかもしれません。だからこそ今日が人生最後の日だと思って暮らす覚悟が大切かも。
Live This Day as if It Were Your Last.
人生なんてはかない流星のようなものだからやりたいと思ったらすぐに実行する、そういう心情と信念が大切なような気がします。えらい人は大抵思いや願いは必ずかなうとおっしゃいます。なりたい自分、理想とする自分をイメージすることの大切さを痛感する日々です。

百年後は、すべて新しい人々

人が投げたボールをすべてキャッチすることはできない

人生を愛で満たそう



ブックオフで200円で買い求めた絵本ですが、深淵な思想がちりばめられていて、とても参考になります。

横浜美術館『ドガ展』オープニング・レセプション

2010-09-17 19:20:00 | 美術


横浜美術館『ドガ展』


本展覧会のために特別に作られたドレス

大学を卒業してまもなくのころ、たしか『世界素描体系』という本 のページをめくっていたら、躍動感溢れる綺麗なドガのデッサンに思わず 目が止まりました。あまりに繊細で美しい線に魅了された記憶があ ります。今年の春に横浜美術館でドガ展が開催されることを 知ったときはとても嬉しくて、半年間展覧会の開催をずっと楽しみにして いました。自分にとってドガは最も重要な画家のひとりです。今回、まとまってドガの作品が見られるなんてとても至福の喜びに値します。一瞬の動きのなかに永遠の美を捉えたドガのデッサン力は、ずば抜けて秀逸かつテクニックもほぼ完 璧な領域に達しているような気がするのですが。

「デッサン は物の形ではない。物の形を見る見方である」(ドガ)
21歳 の時に75歳のアングルと出会い、「線を引きなさい。記憶に 頼るもよし、実物を見るもよし、できるだけたくさんの線を引きなさい」というアドバイ スを受けたそうです。
フランス語で星とか花形スターを意味する『エトワール』という作品はまるで妖精のような姿を表現しているかのようです。本展覧会の目玉の一つだと思います。

「人は見たいようにしか見ない。その意味では偽りだがその偽りこそが芸術を生み出す」(ドガ)
従軍し右目の視力が減退し、油彩からパステルという画材で紙の上に 指でダイレクトに描く手法(?)をとりながら傑作を次から次に生み出していく歴史的経緯と画業はとても興味深いですね。500種類のパステルを駆使して色彩の画域と領域を広げつつ、パステルの魔力に魅了されるドガは、月並みな言い方ですが、真の天才と呼んでもいいような気がします。ルノアールは「最大の彫刻家はロダンよりもむしろドガである」と述べているそうです。ドガは、空間の掴み方が卓越していて非凡な才能の持ち主であり、まるでフォーカスレンズで捉えたかのような観察力を駆使して素晴らしい作品を練り上げています。想像力と記憶をもとにして芸術の本質を生涯にわたって追求していく誠実な姿に学ぶべきことが沢山ありますね。ドガの作品をまとまって観ることができる絶好のチャンスだと思います。☆☆☆☆


踊り子