大川原有重 春夏秋冬

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【県展の6月開催】本県美術飛躍の契機に (福島民報論説)

2013-05-22 19:00:00 | 原子力関係
 第67回県総合美術展覧会(県展)は6月21日に福島市の県文化センターで開幕する。県展が東日本大震災前の6月開催に戻るのは3年ぶりだ。本県美術界にとって復興に向けた大きな一歩であり、一層の飛躍を期す契機になるはずだ。
 第1回は戦後間もない昭和22(1947)年5月に「新憲法施行記念福島県美術展覧会」として福島市の旧公会堂で開催し、洋画155点、日本画28点を展示した。当時の福島民報は「資材難の折にもかかわらず力作ぞろいだ。市内中学校の団体参観が相次ぎ、一般の人々もひっきりなしの盛況であった」と報じている。芸術の新しい息吹は県民にどれほど勇気を与えただろう。
 県展はその後、県美術家連盟や在京美術家協会など関係者の努力で県内最大規模の美術公募展に育っていく。第25回の昭和46年以降は県文化センターを会場に6月開催が定着した。
 平成23年度は震災によって中止を余儀なくされたが、24年度は同センターの修復を待ち、12月に開いた。県展の火を消したくない-との願いが込められた。出品は780点に上った。
 22年度の996点には及ばなかったものの、レベルの高い作品が目立った。自宅やアトリエを津波で流されたり、原発事故によって故郷を離れたりした作家も避難先から作品を寄せた。郷里を思い、県外から初めて出品してきた県出身者もいた。
 県民も再開を待ち望んでいたことが、入場者数に表れている。昨年度は6090人で、22年度より52人多かった。県展の斎藤勝正運営委員長(県美術家連盟委員長)は「厳しい環境の中で創作に打ち込む作家たちの思いが、見る人に感動を与えたのでしょう」と推測する。
 今年の6月開催には出品数が減少するのではないか…という懸念もある。昨年12月に開いたばかりで、制作期間が短い。県展を休止することなく、震災前の6月開催に戻すには、やむを得ない措置といえる。作品は6月4日に同センターなど県内十カ所で受け付ける。多くの作家に奮起を促したい。
 日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の五部門で作品が展示される。震災後の本県美術の輝きを大勢の人に見てほしい。作家は苦闘しながら新たな作品を生み出す。震災からの復興も同じかもしれない。第1回の県展が戦後の荒廃から立ち上がる県民を勇気づけたように、芸術の力が今こそ必要だ。(鎌田 喜之)

2013/05/21 08:36 福島民報論説

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