高浜原発再稼働、同意手続きの焦点 知事「政府の確固たる意見」が条件
(2015年2月7日午前7時10分)福井新聞
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/c8/800c2f6e286e112a12c65b109a52b4df.png)
規制委が新規制基準に適合していると結論付けた審査書を来週にも決定する関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)。決定後は政府の再稼働要請や地元の同意手続きが焦点となる=2014年11月(本社ヘリから中野克規撮影)
原子力規制委員会は、安全審査が進む関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、来週にも新規制基準に適合していると結論付けた審査書を正式決定し、次の焦点は再稼働に向けた地元の同意手続きになる。立地の高浜町は3月定例町会を含め年度内の判断を念頭に置く一方、西川知事は残る審査結果を踏まえ「全体として判断しなければならない」と慎重姿勢だ。知事は政府に対し原発の必要性について国民の理解を得るよう強く求めており、政府がいつ、どのような形で福井県に再稼働の要請をするかがポイントになりそうだ。
■知事の“条件”
先行する九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の同意手続きをみると、昨年7月に規制委が審査書案を了承した後、知事が政府に対し再稼働の必要性を文書で地元に明示するよう要請。9月に規制委が審査書を正式決定した2日後に経済産業省資源エネルギー庁長官が同県を訪れ、再稼働の推進方針を伝える経産相の文書を手渡した。その後、住民説明会などを経て、宮沢洋一経産相が11月3日に訪れて直接要請、知事は同7日に同意した。
政府はこの“鹿児島県モデル”を基本に、高浜の場合も審査書が決定すれば「安全性が確認された原発は再稼働を進める」として、粛々と地元の同意手続きを進めたい考えがあるとみられる。
ただ、西川知事は現段階で政府の原発に対する姿勢が不十分とみており、「原子力を中心とした政府の確固たる意見」が表明されなければ再稼働の同意手続きは難しいとの認識だ。
昨年12月にも宮沢経産相に▽政府が前面に立って原発の必要性を国民に強く訴える▽東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた事故制圧体制や防災体制の強化―などを要請。知事はこれらを再稼働の“条件”として考えているとみられ、政府が今後どのタイミングで地元に要請し、知事の求めにどう回答するかが焦点となる。
■町会3月判断も
地元の同意手続きの日程も読めない。
高浜町会の的場輝夫議長は「審査書が正式決定された後、国から(再稼働の)協力要請があった段階で議論する」と強調する。
町会は4月の統一地方選で改選を迎えるが、「同意の判断は今の議員で行うのが責任」との考え。「基本的に県のスケジュールに合わせるつもりはない」とのスタンスだが、「国へ要望を伝えて回答を得るなど、諸条件が整わなければ判断できない」とずれ込む可能性も示唆した。
野瀬豊町長は、鹿児島県が行ったような住民説明会は開かず審査書の内容をまとめたビデオ作成し、町民に視聴してもらった上で「声を聞いた上で判断する」とする。ビデオ作成は2月いっぱいかかる見通しで「3月定例会で結論を出すのは難しい可能性が出てきた」とも話す。ただ現在の町議で議論してもらい、判断する姿勢は崩していない。
一方、知事は審査書の決定だけではなく、その後の工事計画や保安規定の認可手続きの審査を踏まえて判断する必要があるとしている。年度内にすべての審査が終わるのは厳しいとみられ、4月の知事選を前に判断する環境にならない可能性が高い。
同じく改選を迎える県会も18日に開会する2月定例会で地元判断に関する議論に入るのは難しいそうだ。鹿児島県が同意してから約3カ月たっても川内原発の審査終了や再稼働の見通しが見えないこともあり、自民党県政会のある県議は「急ぐ必要はない。統一選後になるのではないか」との見方を示した。
(2015年2月7日午前7時10分)福井新聞
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規制委が新規制基準に適合していると結論付けた審査書を来週にも決定する関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)。決定後は政府の再稼働要請や地元の同意手続きが焦点となる=2014年11月(本社ヘリから中野克規撮影)
原子力規制委員会は、安全審査が進む関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、来週にも新規制基準に適合していると結論付けた審査書を正式決定し、次の焦点は再稼働に向けた地元の同意手続きになる。立地の高浜町は3月定例町会を含め年度内の判断を念頭に置く一方、西川知事は残る審査結果を踏まえ「全体として判断しなければならない」と慎重姿勢だ。知事は政府に対し原発の必要性について国民の理解を得るよう強く求めており、政府がいつ、どのような形で福井県に再稼働の要請をするかがポイントになりそうだ。
■知事の“条件”
先行する九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の同意手続きをみると、昨年7月に規制委が審査書案を了承した後、知事が政府に対し再稼働の必要性を文書で地元に明示するよう要請。9月に規制委が審査書を正式決定した2日後に経済産業省資源エネルギー庁長官が同県を訪れ、再稼働の推進方針を伝える経産相の文書を手渡した。その後、住民説明会などを経て、宮沢洋一経産相が11月3日に訪れて直接要請、知事は同7日に同意した。
政府はこの“鹿児島県モデル”を基本に、高浜の場合も審査書が決定すれば「安全性が確認された原発は再稼働を進める」として、粛々と地元の同意手続きを進めたい考えがあるとみられる。
ただ、西川知事は現段階で政府の原発に対する姿勢が不十分とみており、「原子力を中心とした政府の確固たる意見」が表明されなければ再稼働の同意手続きは難しいとの認識だ。
昨年12月にも宮沢経産相に▽政府が前面に立って原発の必要性を国民に強く訴える▽東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた事故制圧体制や防災体制の強化―などを要請。知事はこれらを再稼働の“条件”として考えているとみられ、政府が今後どのタイミングで地元に要請し、知事の求めにどう回答するかが焦点となる。
■町会3月判断も
地元の同意手続きの日程も読めない。
高浜町会の的場輝夫議長は「審査書が正式決定された後、国から(再稼働の)協力要請があった段階で議論する」と強調する。
町会は4月の統一地方選で改選を迎えるが、「同意の判断は今の議員で行うのが責任」との考え。「基本的に県のスケジュールに合わせるつもりはない」とのスタンスだが、「国へ要望を伝えて回答を得るなど、諸条件が整わなければ判断できない」とずれ込む可能性も示唆した。
野瀬豊町長は、鹿児島県が行ったような住民説明会は開かず審査書の内容をまとめたビデオ作成し、町民に視聴してもらった上で「声を聞いた上で判断する」とする。ビデオ作成は2月いっぱいかかる見通しで「3月定例会で結論を出すのは難しい可能性が出てきた」とも話す。ただ現在の町議で議論してもらい、判断する姿勢は崩していない。
一方、知事は審査書の決定だけではなく、その後の工事計画や保安規定の認可手続きの審査を踏まえて判断する必要があるとしている。年度内にすべての審査が終わるのは厳しいとみられ、4月の知事選を前に判断する環境にならない可能性が高い。
同じく改選を迎える県会も18日に開会する2月定例会で地元判断に関する議論に入るのは難しいそうだ。鹿児島県が同意してから約3カ月たっても川内原発の審査終了や再稼働の見通しが見えないこともあり、自民党県政会のある県議は「急ぐ必要はない。統一選後になるのではないか」との見方を示した。