SUNDAY, SEPTEMBER 4, 2011
日本の人工放射線被曝、世界平均の5倍以上
今回の福島事故以来、放射能汚染食物を摂取することでの人体への内部被曝を論じる際に、「胸部レントゲン(X線)何回分と同じ」だから心配は要らない、というコメントを現在でも見かけますが、実際、日本の人工放射線被曝は世界にずば抜けて高いのです。
せっかく世界平均を大幅に下回る自然放射線量の日本は、医療による人工放射線の被曝が非常に多く、日本の平均人工放射線被曝量は世界平均の5倍以上、他の先進国と比べても倍近くになります。
放射能に汚染された食品の安全を議論するときによく引き合いに出されるカリウム40からの内部被曝は、平均0.41ミリシーベルト(410マイクロシーベルト)。これは世界平均0.3ミリシーベルトを上回っていますが、大地放射線、宇宙線、ラドンの吸入、全て世界平均をかなり下回っています。日本に住む日本人は、このレベルの放射線に適応して生活してきたのです。
それでは足りない、と言わんばかりの人工放射線被曝量です。
以下の表をご覧ください。文部科学省 の委託事業として、公益財団法人原子力安全研究協会が運営する、「緊急被ばく医療研修のホームページ」掲載の資料です。
表4-2:自然放射線および医療被ばくによる1人当たりの受ける年間実効線量(mSv/年)
被ばくの種類 世界平均
(国連科学委員会) 日本の参考データ
自然放射線 大地放射線
宇宙線
40K等の経口摂取
ラドン等の吸入 0.5
0.4
0.3
1.2 0.32
0.27
0.41
0.45
人工放射線 医療被ばく 世界平均 工業国 日本
医科X線診断・CT
歯科X線検査
核医学診断 0.4
0.002
0.03 1.2
0.01
0.08 2.3
0.02
0.03
表4-3:主なX線診断における実効線量(mSv/検査)
診断部位 実効線量(mSv/検査)
男性 女性
一般X線診断 頭部 0.1 0.1
胸部 0.06 0.06
上部消化器 8.00 7.00
注腸 6.00 8.00
X線CT検査 頭部 0.48 0.49
胸部 8.63 8.58
上腹部 9.00 9.00
下腹部 3.60 7.10
集団検診 胃部 0.6
胸部(間接撮影) 0.05
そして、
表4-5:核医学検査時の胎児・卵巣の被ばく線量
検査 放射性医薬品 実効線量(mSv/検査)
胎児 母親の卵巣
骨 テクネチウム-99m 4.5 2.6
甲状腺 テクネチウム-99m 0.3 0.4
甲状腺 ヨウ素-123 0.1 0.1
心筋 タリウム-201 3.7 8.9
腫瘍 ガリウム-67 5.8 17.0
出典:放射能と人体(渡利一夫、稲葉次郎編、研成社、1999)
(前のポストに関連しますが、人工放射線被曝と感染症、アレルギーの関連の研究などはあるのでしょうか。興味があります。)
そういえば、山梨の病院で、きれいな映像を取るために子供たちに最高で規定値の40倍ものテクネチウムを投与していましたが、どれくらいの実効線量だったんでしょう。
アレクセイ・V・ヤブロコフ博士の論文「Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment (チェルノブイリ:大災害が人と環境へもたらした影響)」 によると、チェルノブイリの汚染地域で、あたらしい放射線レベルに人体が適応する(放射線への過敏な反応が少なくなる)のに20世代、400年かかる、としています。(PDFファイルの59ページ目、右側の欄中ほど。)
日本での過剰なまでの人工放射線被曝はせいぜい戦後になってからではないか(もっと最近のことかもしれませんが)と思いますが、戦後からでもまだ66年ですね。3世代ちょっとです。まして福島第1原発事故以降の東北、東日本の放射線レベルに人体が適応できるとしたら、あと400年。
日本の人工放射線被曝、世界平均の5倍以上
今回の福島事故以来、放射能汚染食物を摂取することでの人体への内部被曝を論じる際に、「胸部レントゲン(X線)何回分と同じ」だから心配は要らない、というコメントを現在でも見かけますが、実際、日本の人工放射線被曝は世界にずば抜けて高いのです。
せっかく世界平均を大幅に下回る自然放射線量の日本は、医療による人工放射線の被曝が非常に多く、日本の平均人工放射線被曝量は世界平均の5倍以上、他の先進国と比べても倍近くになります。
放射能に汚染された食品の安全を議論するときによく引き合いに出されるカリウム40からの内部被曝は、平均0.41ミリシーベルト(410マイクロシーベルト)。これは世界平均0.3ミリシーベルトを上回っていますが、大地放射線、宇宙線、ラドンの吸入、全て世界平均をかなり下回っています。日本に住む日本人は、このレベルの放射線に適応して生活してきたのです。
それでは足りない、と言わんばかりの人工放射線被曝量です。
以下の表をご覧ください。文部科学省 の委託事業として、公益財団法人原子力安全研究協会が運営する、「緊急被ばく医療研修のホームページ」掲載の資料です。
表4-2:自然放射線および医療被ばくによる1人当たりの受ける年間実効線量(mSv/年)
被ばくの種類 世界平均
(国連科学委員会) 日本の参考データ
自然放射線 大地放射線
宇宙線
40K等の経口摂取
ラドン等の吸入 0.5
0.4
0.3
1.2 0.32
0.27
0.41
0.45
人工放射線 医療被ばく 世界平均 工業国 日本
医科X線診断・CT
歯科X線検査
核医学診断 0.4
0.002
0.03 1.2
0.01
0.08 2.3
0.02
0.03
表4-3:主なX線診断における実効線量(mSv/検査)
診断部位 実効線量(mSv/検査)
男性 女性
一般X線診断 頭部 0.1 0.1
胸部 0.06 0.06
上部消化器 8.00 7.00
注腸 6.00 8.00
X線CT検査 頭部 0.48 0.49
胸部 8.63 8.58
上腹部 9.00 9.00
下腹部 3.60 7.10
集団検診 胃部 0.6
胸部(間接撮影) 0.05
そして、
表4-5:核医学検査時の胎児・卵巣の被ばく線量
検査 放射性医薬品 実効線量(mSv/検査)
胎児 母親の卵巣
骨 テクネチウム-99m 4.5 2.6
甲状腺 テクネチウム-99m 0.3 0.4
甲状腺 ヨウ素-123 0.1 0.1
心筋 タリウム-201 3.7 8.9
腫瘍 ガリウム-67 5.8 17.0
出典:放射能と人体(渡利一夫、稲葉次郎編、研成社、1999)
(前のポストに関連しますが、人工放射線被曝と感染症、アレルギーの関連の研究などはあるのでしょうか。興味があります。)
そういえば、山梨の病院で、きれいな映像を取るために子供たちに最高で規定値の40倍ものテクネチウムを投与していましたが、どれくらいの実効線量だったんでしょう。
アレクセイ・V・ヤブロコフ博士の論文「Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment (チェルノブイリ:大災害が人と環境へもたらした影響)」 によると、チェルノブイリの汚染地域で、あたらしい放射線レベルに人体が適応する(放射線への過敏な反応が少なくなる)のに20世代、400年かかる、としています。(PDFファイルの59ページ目、右側の欄中ほど。)
日本での過剰なまでの人工放射線被曝はせいぜい戦後になってからではないか(もっと最近のことかもしれませんが)と思いますが、戦後からでもまだ66年ですね。3世代ちょっとです。まして福島第1原発事故以降の東北、東日本の放射線レベルに人体が適応できるとしたら、あと400年。