「ほんタメ」であかりんが紹介していたので手に取った。ロリータファッションを通じて出会った作家の「僕」と美少女モデルの「君」のピュアな純愛物語。ただ自分が好きな服を着て、好きな事をしているだけ。理解されないのは仕方ない。でも世の中から糾弾されるようなことはしていない。まあ、そんな作品でした。あかりんも言っていたが、著者の事を書いているんじゃないかと思えてくるのです。携帯メールによるやりとりも特徴的でした。ロリータに身を包み、大きなハネを背にした少女が手作りのハネを売り続ける話「ハネ」も収録。こちらも切ない。
中学生のコペル君とその家族や友だちとの間での出来事、そしてそれを聞いたコペル君のおじさんのノートによって構成される作品。この本は戦前に書かれた本だそうで、人々の考えも現代とは少し違うようです。でも、宇宙の物理法則はちょっとくらい時代が変わってももちろん関係ないし、人々が持つべき倫理観というものも大きくは変わらないですね。まあ、中学生のコペル君がいろんな出来事を通しての様々な気づきがこの本のテーマそのものでしょう。有名な最後の一文が読後にいつまでも心に残る。そうなればこその作品である。
シリーズ第2弾。アニメをそれほどきちんと覚えている訳ではないが、アニメとは何だかちょっとストーリーが違う気がした。アニメでは最初に中学生時代から始まっていたから印象が異なるのかもしれない。とにかく、名前のない魔女と呼ばれる女性と出会い、撮った写真の中に入れる能力の男性とも出会い、それから岡絵理というちょっと笑っちゃうような後輩の赤い目をした女の子とも再開し、そしてケイは相馬菫との再会を確信するのだった。続きが楽しみですね。同じ時期に読んだ原田マハさんの旅屋おかえりと同じだが、あちらは略称、こちらは本名だ。
乙一さんの短編4つ。「未来予報」は未来が時々見えるらしい友達とそいつの予言が気になりつつも成長していく少年と少女のせつない物語。「手を握る泥棒の物語」は売れないデザイナが試作した腕時計をしたまま盗みを働こうとして手を握ったまま膠着状態になってしまう話。「フィルムの中の少女」はトンネルの中の映像に映り込んだ少女のちょっと怖い話。最後の「失はれた物語」は事故で右手の感覚だけしか無くなった男の話。どれも何とも憂鬱になる話だったが、「手を握る〜」がその悪夢のような膠着状態から一転しての展開が痛快で特に気に入った。