土屋龍一郎のブログ

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延安の娘

2005-12-08 02:49:16 | Weblog
 『延安の娘』を女房・次男と共に観た。
 日中友好協会会員ということで私に2枚ずつチケット購入が割り当てられて送られてきた。いつも有無を言わさぬ勢いでチケットが同封されている。人によってはこういう手法が好きではないかもしれないけれど、私は結構便利に思っている。なぜって、長野に来ている中国映画や演劇なんて、よっぽど注意していないと情報網に引っ掛からないからだ。
 この映画もたった一日、二回公演のみの上映だ。しかも上映は今大ヒットロードショーの「ALWAYS三丁目の夕日」がかかっている映画館を貸し切りにするという大胆さだ。
 上映時刻前に行ってびっくり!映画館前には北京の朝市か?と思うくらいの黒山の人だかり。あのチケット同封作戦は成功だった。

 さて、映画は、毛沢東時代の紅衛兵が他人に預けた子供が27年を経て親探しをするという、ドキュメンタリーである。「泣くだろうな」と思っていたが、案の定冒頭からザクザクと重いテーマが投げかけられて、子を持つ親、親をもつ子としては涙を流さずにはいられない。まるでシナリヲがあるかのように衝撃的な事実が次々に登場人物に投げかけられる。受け入れられるもの、拒むものが演技ではなく言葉をぶつける。時代背景と中国史を事前に学んでおけばもっと理解が深まったに違いない。
 さらに、まるで地球を撮るくらいの距離からズームアップしてゆくと、ありえないほどの広大な丘に畑を耕す主人公が見えてくる。このシーンは狭い日本と比べてぜひともまぶたに焼き付けて欲しい。あまりにも広大な丘に驚き、その壁面に地層のごとく水平に引かれた線が、こつこつと人間が耕した畑に植えられた穀物の列であることに、衝撃を受けるだろう。
 文明とは何ぞやとか、考えないで観て欲しい。
 文句なし!にすばらしい。