個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

プリント1枚の重さ

2019-04-07 08:03:44 | 教室から
おはようございます。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

新しい時間割で、新しい生徒さんも入ってくれて新鮮な雰囲気で新年度が始まりました。私の中学生のときと違って、今は春休みでも学校の宿題がたくさん出されるようになっています。自分で問題集を買う必要もないし、宿題があるからいやでも勉強しないといけなくなるので、いい面もあるかと思いますが、デメリットもかなり多いかと思います。

勉強にとても意欲がある子。この子たちは出された宿題は必ずします。しかも、学校の宿題だけでは足らないので、塾でのワークや自分で買った問題集まで手を広げて勉強します。学校の宿題では簡単すぎてあまり効果がなかったり、「こんなん受験に出ないからしたくないなあ」と思うことはあっても、この子たちはきちんとやり遂げます。宿題をさっさと終わらせて、新学期の予習をしたり、弱点を克服するための効果的な勉強をすることができます。基本的に学力が高く、意欲もあるので十分にその時間を作ってくれるのです。いつも「こんなに頑張ってすごいなあ」と感心させらてばかりです。

一方、勉強をできればしたくないと思っている子。おそらく全校生徒の7割はこちらのグループに属するのではと思いますが、この子たちにとっての長期休みの宿題は地獄を意味します。このグループの子の多くは、勉強は嫌いだけれど、宿題だから仕上げて提出しないといけないとは思っています。ただ、問題が難しすぎてなかなか進まないため、いつまで経っても終わりが見えてきません。学力の高い子だったら10分で終わるような1枚のプリントでも、1時間以上かかってしまう子もいます。そりゃあ、しんどいですよね。

以前、ある学校の宿題で漢字のプリントが出されたことがありました。かなりの量で1枚に50個の漢字の問題があり、それが10枚ありました。500個の漢字を書かないといけないんですよね。漢字が得意な子であっても、500問の漢字は大変ですが、漢字が苦手な子にとっては地獄です。漢字を書こうにもその漢字を覚えていないから、まず辞書やネットでその漢字を調べなくてはいけません。1ページの50個の漢字のうち10個ほどしか書けないから、残りの40個はそうやって調べながら書くのです。この方法でプリント1枚を完成させるのに一体どれくらいの時間がかかるでしょうか?

1時間から1時間半かかります。それを10枚するとなると10時間以上かかります。1枚終わらせるともうヘトヘトなんですよね。ですが、こんな苦労をしたことがない大人、学校の勉強でそれほど苦労したことがない先生は、このことがわからないのです。このプリント1枚終わらせるのにどれほど時間と気力を使っているのかがわからないのです。だから平気で「これくらい何ででけへんの? もっと頑張れよ」という言葉が出てくるのです。

勉強が得意ではなく、勉強嫌いの子が10時間以上かけて頑張ってやり終えた漢字の宿題は、たとえ間違いだらけであっても、きっちり評価してあげましょうよ。その努力は認めてあげましょうよ。

また、最近の宿題は解答を渡して、丸つけをして提出というものが多いです。以前にも書きましたが、これってどうなんでしょうか?数学の問題で間違えたり、わからないところがあったら、赤ペンで答えだけでなく、途中式や考え方など全部写さなければなりません。学力の高い子は、その解説や途中式を見ることで「なるほど、理解できた」となるかもしれませんが、大半の子はそれを読んでも理解できず「ただ写しているだけ」になります。そもそも問題集の解説を読んで理解できるのだったら、学校や塾で勉強する必要なんてありません。解き方や途中式をそのまま写すなんて、時間と手の筋肉の無駄使いです。

子どもたちも「こんなん何の意味があるんやろう?」と疑問を持ちながらしていますので「ああ、やっぱり勉強で面白くないわあ」となります。そもそも解答を子どもに渡すのであれば、数学ではなく漢字の方でしょ。わからない漢字があったら、解答で確認することで「ああ、この漢字はこう書くんやな」とその場で頭に残すことができます。数学の解き方や途中式を丸写しさせるよりも、よっぽど効果的だと思います。

こういう宿題のさせ方をすることで、子どもたちはますます勉強嫌いになるだけでなく、「宿題全然わかれへんわ。やっぱり自分には無理なのかなあ」と完全に自信をなくし、やる気まで奪われていきます。自己肯定感がまったく育たないのです。

と考えると、長期休みの宿題ってデメリットの方が多いのではないでしょうか?宿題を出すならせめて丸つけをさせるのはやめるべきです。意識が高い子は、義務付けなくても自ら解けなかった問題は解説を読んで理解しようとします。逆に学力の低い子は、ただ写すだけの作業になってしまいます。だからといって、全ての問題を学校の授業で解説するわけにはいきませんから、どうすればよいかとなると難易度の違う宿題を出せばいいんですよね。中学校では学力の高い子と低い子の差はえげつないほど大きくなっています。にもかかわらず皆が同じ宿題というのはさすがに無理があります。1人1人別の課題にするのは不可能でも、4段階ほどのレベルにわけて出すことによって、学力の高い子も低い子も自分の学力にあった問題を解くことで効果的な勉強ができ、勉強に対する意欲を低下させることにはならないはずです。

高校生なら、ある程度同じような学力の子が集まっているので同じ課題で大丈夫でしょうが、中学校ではやめるべきです。難しいということは百も承知ですが、それでもここを変えない限り学校教育は絶対によくなりません。これくらいのことを変えることができないようでは、多様化する社会に求められる教育改革を!などと言っても言葉だけが一人歩きしているように感じます。

ONE-SのHP

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