南方単車亭日乗

奄美大島にIターンした中年単車乗りが、てげてげに綴ります。
はじめての方は、最初に《ごあいさつ》をお読みください。

おれは世界のからくりを知っている

2006年03月11日 12時59分35秒 | 本日の名セリフ
幸福度が八点になると、神様はかならず天罰をお下しになる。七点までなら、おとがめなし。ところが八点になると、赤ランプが点灯し、サイレンが鳴り、人々は窓越しに石を投げはじめる。

ウォーレン・マーフィー 「愚か者のララバイ」



ハヤカワ・ミステリ文庫から出ていた、保険調査員デブリン・トレーシーを主人公とする
「トレース・シリーズ」の一作である。
出ていた、と過去形なのは、早川書房のWEBハヤカワ・オンラインでは、どうも絶版になっている様子だからだ。勿体無い。ただし、アマゾンでは、入手できなくもないらしい。
ちなみに、トレースというのは、主人公の子供の頃からのアダ名であって、trace”追跡”という意味は副次的なものである。
内容はというと、フリーの調査員であるトレースに保険会社から調査が依頼され(但し、本作では、予防のためのボディ・ガード)、
綿密な調査というよりは、事態をより混乱させるようなドタバタを演じた挙句、父親である元ニューヨーク市警巡査部長の協力と、ガールフレンドのミチコ・マンジーニ(シチリアと日本のハーフ)の推理で解決する、というのが主な筋書きである。
ストーリーの合い間には、↑のような警句(?)や駄ジャレ、映画や小説の名セリフのパロディが連発され、・・・というよりは合い間にストーリーが展開される気味がある。
ちょっと長くなりますがこんなのも。

部屋の契約書はいったいどこあるの。
知るもんか。そんな細かいことまでいちいち覚えていられない。
すてきよ、トレース。あなたならアメリカの産業廃棄物問題を一挙に解決できる。
はあ?
あなたは政府の依頼を受けて、産業廃棄物を預かり、五分後に置いた場所を忘れる。二度と人目に触れることはない。それで問題はすべて解決する。


母さんがいつ夕食をとりにくるのかときいていたぞ。
今度、ハレーすい星がもどってきたとき
つたえておく。そういう特別な日なら、母さんの喜びもひとしおだろう。


こんな紹介だと、ミステリとしてはつまらないと思われるかもしれないので、このシリーズのうち「豚は太るか死ぬしかない」が
MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞を受賞していることを付け加えておく。
コメント
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