それでは「湖月」にひき続き「シンザン号」のインプレッションと言う事で・・・
私の漕ぎ仲間にも手作りの木造艇に乗ってみたいと言う方が数名居られるので「シンザン号」については少しまじめに行こうと思います
と言ってもあくまで私の感想なので、参考になるかは不明~
(大嶽デザイン)さんにも了承して頂ましたので・・遠慮なくいきますよ~
大嶽デザインさんの設計図を元に制作された「OS16」 (3分割)です。
まず、サイズ的には、全長(約480cm) 全幅(約55cm) 全高(約29cm) となります。重量は3分割にせず1本で制作した場合だと約16㎏と非常に軽量になりますが、接着剤やガラスクロスの厚み、エポキシ樹脂でのコーティングの厚みなどによりかなりの増減はあると思われます。この「シンザン号」については3分割とした事で20㎏前後になっているようです
ちなみにカヤックの正確な重量を量るには・・・どうすると思います?・・ まずカヤックを担いで体重計に乗ります・・その重量から自分の体重を引けばOK
。
この480cmという長さは日本人の一般的な成人男性が乗るには適したサイズになると思います、シーカヤックは海を漕ぐ為のカヤックですから直進性やある程度のスピードが必要になります。 500cmを超えると直進性は上がりますがラダーが必要になる場合が有りますし、スピードも一般的には早くなりますが速度を長い時間維持する為にはその分体力も必要になります。中速域での効率は480cm前後が最適だと感じるのですが・・・どうでしょう?
シンザン号を漕ぐC隊長です・・
それでは私がシンザン号を漕がせて頂いた時の感想とC隊長がボヤいてた事を思い出しながらのインプレッションです。
まず1次安定性・・・マルチチャインから来る多少のぐらつき感はあります「OS16」はマルチチャインといっても、6枚の合板のものですし、ボトム2枚の幅が広くできていますからこの作りのカヤックとしては安定感があります。
停止した状態で傾けても結構粘ります、マルチの形状により、傾けると接水面積が増え横方向に対する復元力が強いようです。
漕いだ時の2次安定性は、非常に高くマルチのハル形状の関係で接水面と浮力のバランスがいいみたいです。座る位置も深いので重心が低くかなりの横波でも全く沈する気配がありません
ただ・・「湖月」のようなハードチャイン艇のようにキールやエッジがはっきりと出ていない分、横風を受けた際に横方向にズレる傾向があるように感じました。
シーカヤックは細く長く出来ており、漕いでいる状態で横風を受けるとバウが風上を向く特性があります、これはバウ側は水を切っている為横に流れたりしない反面スターン側が風に押されて風下に流れる事により起こる現象だと私は認識しています・・
1号艇の設計のまずさからそう感じただけですが・・・ 違ってたらごめんなさい
シンザン号についてもこの現象(風見鶏現象)は出ます「湖月」に比べ全体にボリュームがある分はっきり出ますが旋回性が良い為、片漕ぎやパドルによるスターンラダーでの修正はやりやすいです。・・・
ビックリしたのは、バウラダーでリーンをかけた時の旋回性はスピードも落ちず素晴らしいものがありました。
ブレイスターンも安心して行えます。「湖月」は・・・沈寸前になります・・・
コーミングの大きさも湖月とほぼ同じ、ラージサイズなのですが、これはシーカヤックとしては大きな方だと思います。しかしこのサイズはレスキュー時に大変有効です
普通一般のカヤック雑誌やインターネット等で紹介説明されている再乗艇の方法はまず、スターンデッキに乗り、足からコクピットに入る要領が紹介されています、しかしこの方法はスターンデッキの上でうじうじと動いている間にバランスを崩し易く、波が少しでも有るとまず無理です・・・
コーミングが大きいとスターンデッキに乗るのではなく、コーミングの真上によじ登りバランスを崩す前にシートに座った後足を入れる事が出来るので非常に楽です。またグループレスキューの場合もスターンデッキには乗りませんからカヤックの向きを気にせず迅速に横付けする事ができます。
ロールリエントリー(逆さのカヤックに下から入りロールで復元させる方法)も楽ですよ
まとめると・・「湖月」は2次安定性があまり良くないのでGパの、パドルを入れた方に引き込まれる特性を上手く活かせないと荒れた海でのパドリングは恐怖となります
Gパにかなり依存したカヤックなのですが、それだけに私の楽しみ方には適した船になっていると思います。
「シンザン号」は復元力が有り2次安定性が高くシーカヤックとしての本来の楽しみ方が出来るもので、長期のツーリングにも対応できると思います。今年の岩地シーカヤックマラソンでも、180艇中84位でゴールしていますから(上位の殆んどはサーフスキー等のレーシング艇)市販のFRP艇にも負けないスピードもあります。
よく受ける質問で、水漏れはしないの? 強度は大丈夫? と言うものがありますが、ハル(喫水線から下)の部分は全て1枚のガラスクロスで覆った後エポキシ樹脂で固めますから、水漏れのしようがありませんし、ガラスクロスにエポキシはFRPと同じです。
今なら大嶽さんちの工房使用料ただですよ
http://www.h7.dion.ne.jp/~o-take/