都市のアリスが
ウサギのようなたわいのない罠?
あるいは象徴のために走り出し
次の瞬間時間の狭間に落ちてゆくとしても
私たちは私たちの時代の既視感のうちにあるので
誰もふり向きやしないだろう
ただ記憶が音のように浸みてゆく壁
壁!壁!壁!だけがある
それは物質の乾いたフィルムである
「…そしてみんないなくなった」という近代の説話
つまり資本の論理の帰結であるところの
私どもの最後の信仰さえ
吸い込むのだ
たぶん人は
神の前ですべてを言い尽くしている
愚かさは詩の責任ではない
愚かさはその行為である
いずれ
まじめで愛らしい植物たち動物たちを巻き込みながら
戯れの神真似の系譜
私たちが私たちでなくなるとしても
地球が脳である
宇宙がボディである