尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

黒い瞳

2008年04月25日 00時39分11秒 | 詩の習作
カメラのシャッターを
切るとき
確かに暗闇が
まばたきするのを
感じる

それは物質の
黒い瞳である

悪意ではないとしても
それは人間的なものではない

その世界では
記録が
記憶である

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詩の言葉

2008年04月25日 00時22分47秒 | 詩の習作
自分を脱いで
人間を脱いで
男を脱いで
女を脱いで
裸になること
言葉だけになること
一行の恥ずかしい性器になって
踊り続けることである

言葉でしかないことに
絶望しないこと

死ぬことにすら
希望を持つこと

はじめに言葉
なお言葉
いかにしても言葉
いつまでも言葉
最後に言葉
言葉の言葉
であることに
勇気をもつことである


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年輪あるいは潰れざるもの

2008年04月25日 00時08分30秒 | 詩の習作
テーブルという地平線
コップのなかの水海
オレンジという太陽
巨大な木の切断面
その圧倒的な年輪
つまり圧縮され空間化された歴史が
空のように降りてきて
豆腐の上の蝿は身構えた

世界は潰れるぞ!

蝿は
数十個の複眼カメラの
シャッターを同時に切ったのだ

彼の撮った立体写真
悲しい太陽
傾いた地平線
をいつも
思い浮かべるべきである
諸君
歴史は必ず空から
豆腐の方へ
降ってくる


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