DEEP SEAα

ココロの軌跡

Beautiful Colors

よだかの星

2007-02-07 | 遠い日の海(過去エントリー)

寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました。


よだかははねがすっかりしびれてしまいました。

そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。


そうです。


これがよだかの最後でした。


もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。


ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居りました。



それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。


そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。


すぐとなりは、カシオピア座でした。


天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。


そしてよだかの星は燃えつづけました。


いつまでもいつまでも燃えつづけました。


今でもまだ燃えています。







【宮沢賢治】

 

 

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如幻の喩

2007-02-02 | 遠い日の海(過去エントリー)
因と縁が消えれば消滅するという真理を知らず


すべてを実体だと思いこみ活動する


その行いがまた心の中にも外にも迷いやあらたな幻を生みだす


自然宇宙と人々の心の働きと如来の悟りの世界は

衆生と如来によって生みだされる


宇宙万有は如来の住みたもう宮殿にして


空にあらず有にあらず中道をも超え


空、仮、中の三つの真理は現象と名を離れる


春の園に咲く香しい桃李は眼を惑わし


秋の清水に映える清らかな月の輝きは幾たびか心を酔わせるが


浮き雲が生じ来ってまた消えるように無常にして


洛川に住まう女神の美しさのごとく幻なり


執着して迷い狂すれば三界に輪廻し


心と宇宙の内外の実相を正しく観れば


大日如来は清らかに顕れる


心瞑き迷う者、なぜこの真実の法を観ないのか


迷いを超越し速やかに大日如来の清浄宇宙に帰りたまえ





【空海】


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