夏のなごり

すこしづつ、季節は秋の気配を感じさせている。
昼間はまだ暑い陽射しだが、肌を焼けつけるような強さはなくなってきている。
夕刻18：30頃の明るさも・・・日に日に失いはじめている。
ボクの部屋の昼間の室温は32度にもなるが、それでも過ごしやすくなった。
滝のような汗は流れなくなり、風が吹き込んでくると涼しい。

東京の今年の夏は短かった。
7月下旬まで、空は雲で覆われる事が多く、8月は一転して激しい暑さになった。
滝のような激しい雨が降ることもあった。気候が変動している証拠だろうか。
色々な要素が絡んで・・・確実に狂ってきている事は事実だと思う。
二つの高気圧が作る・・・梅雨前線・・・は毎年違う形を作っている。

今日も蝉が、バラバラのハーモニーを作って鳴いている。
気が付くとそのバラバラさは、いつしか一つのサウンドに聞こえてくる。
ボクには今、過ぎゆく夏を憂いで鳴いているようにも聞こえる。
だが、陽が沈む頃には蝉の声は聞こえなくなる。
蝉に変わって聞こえてくるのは・・・秋の虫に声・・・
少し前までは夜中も蝉が鳴いていたのに、今では聞こえない。

秋の虫の声は、夜風に映えて、いっそう涼しさを感じさせる。
体を震わせるような響きが、子守り歌のように静かにボクを包み込む。
窓の外で輝く月にも秋の香が感じられる。安心してボクは眠る。

季節はまだ夏・・・ゆっくりと静かに秋が近づいて来ている。
向日葵はすっかり元気を無くし、陽が落ちるスピードも早い。
日中にそよぐ風も、ホンの少し肌に冷たい感触をくれる。

昼は夏、夜は秋・・・混ざり合おうとする季節・・・
夏の感触は、小さい秋の感触に・・・少しづつ消されてゆく。
短かった夏は・・・あと少しで終わろうとしている。

今日も蝉は・・・最後の力を振り絞って・・・鳴いている。