着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

他の着付け教室の先生方に無理だと言われたけど無理じゃなかった!

2023-03-15 21:37:01 | 着付け
先日、ご事情があって短期間で着物が着られるようになりたいと仰る方からのお問合わせが電話でありました。
「海外で着たいのですが出発までに間に合うでしょうか?どうしても無理ならば洋装にせざるを得ないと思ってはいるのですが…」
とのこと。
着物は訪問着、帯は袋帯のお太鼓結びの手結びです。
「通常ですと、そもそも何回位通ったら出来るようになるでしょうか(目安)?」
と尋ねられましたので
「ご自宅でどの位復習できるかにもよりますが、通常のお稽古で多くの方は十数回で一通りの着物(普段着から礼装まで)で一通りの帯(半幅、名古屋、袋帯)を用いて基本の結びが出来るようになられています。でもお話を伺うに、今回は一通りのことをゆっくりしている時間は無いので、着る予定になっている訪問着と袋帯を用いて、初めから二重太鼓をされたほうが良いかと思います」
と言いましたら
「出来る限り自宅でも練習しますのでお願い出来ますか?」
とのこと。取り敢えずいらしていただいたのが2/2。出発は2/23です。私と彼女の都合がつく日にちは私のスケジュール帳と照らし合わせるとトータルで5日ほどしかありません。
4日で基本出来るようにして、後の一日は総復習にしましょう!
 
特訓が始まりました。
2回目のお稽古の際にその生徒さんが
「実は私、こちらの他にもいくつかの個人でやっていらっしゃる着付け教室に連絡して受け入れてくださるか聞いてみたんですけど、『正直に申し上げます、こんなに短期間で出来るようになるのは無理です』と言われたんですよ、駄目元でこちらに連絡してみたら繋がってしまって(笑)そして特訓してくださるって仰ったので…」
「あら、そうなんですか。大丈夫、着られるようにご指導しますので」
と言いながら
『なるほどー、ほかの着付けの先生は出来ないと言われたのね、それじゃあ私がやってやろうじゃ無いの❗️』と思いました。
生徒さんのやる気が感じられたこともあり、私自身も相当の熱量でみっちりお教えしました。
そしてタイムリミットのお稽古最終日、きちんと、綺麗に着られるようになった生徒さんを見て
「無事出来るようになられて、私も嬉しいです。今回、私自身アドレナリンが相当出ていたような気がします」
と思わず生徒さんに言いました。
「どこの教室も受け入れてくださらなかったのに丁寧にご指導いただき、何とか出来るかな、と思えるところまで辿り着けました、有難うございました」
と、仰っていただき嬉しくなりました。勿論これは私の努力だけではないですが、このように他の着付け教室の先生方が匙を投げるような難しい案件⁉︎のハードルでも向き合って越えることにやりがいを感じ、これからもむしろそれを面白がってお仕事をしていこうと思いました。
 
PS: 後日、海外に向かわれたその生徒さんから、無事に着物を着られたとメールとその時のお写真が画像で送られてきました。
着られたご本人、さまざまな反省点はお有りだったようですが、お写真を見る限り綺麗に着られていて、私まで嬉しくなりました。
また、現地の方々にも大変喜ばれたとのこと。
海外で「着物」という日本の伝統文化の紹介が出来たということも意義あることだったと思いました。
着物を着るという挑戦のお手伝いが微力ながらもできたことを幸せに思いました。

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko

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