着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

自分で上手に着物を着られない着付け師と人に上手に着物を着せられない着付け講師

2019-11-14 14:15:42 | 着付け
色々な着せ付けの現場に入ると、現場の方(クライアントさん、同業の着付け師さんなど)が
「着付け教室の先生は着せ付けが下手な人が多い」
と言っているのを往々にして聞くことがあります。着せ付けに時間がかかりすぎるとか、クライアントさんの求める仕上がりにしていただけないということが主な理由です。

一方で着付け教室の先生(着付け講師)からは
「着付け師みたいに、ただ早く着せればいいみたいな着付けとか、着崩れなけりゃ良いだろうとぎゅうぎゅう紐を締めて、着せられる方の着心地を無視した着付けはしたくない。着付け師の中には左程自分で着物を着ることも出来ない人が着せ付けをやってることがあるんだってね」
というようなことを聞くことがあります。

沢山の人を着せ付けていれば着せ付けは上手になる。
沢山自分が着ていたら自分が着るのは上手になる。

ある意味当たり前のことです。
私は以前、自分が着ていて楽な着付けを人さまにもしてあげられたらそれが一番いいと思っていました。丁寧な着付けには、時間がある程度かかって当然だとも。
そして、そのための研究も体を張って(自分の着せ付けのやり方をお教えした生徒さんに自ら着せて貰うことでその着心地を試すことや、着せて貰った状態で長時間過ごしてみてどこがどのように着崩れていくかを試すようなことを)やってきました。
ところが、多くの着せ付けの現場に入ると、どちらかと言うと着心地より見てくれや、着せ付けのスピード、そして着崩れしにくさを大変重視し、
「苦しいのはクレームにならないけど着崩れはクレームになる」
と言われてびっくりしたこともあります。
一分一秒を争う現場の着付け師が、ゆっくりと、またある意味紐の締め方も緩めの着せつけをしている着付け教室の先生を見たら
「もっと早く着せないと…!」
とか
「こんな紐の締め加減では着崩れるよ!」
とイライラすることもあるのでしょうと思いました。
でも、私自身、現場で着付け師が、必要以上に紐を締めて着せつけしている状況を見ることも多々あり、
「こんなにきつく締められたら苦しいよ、こんなにきつく締めなくても崩れないよ」
と諌めたくなるような経験も少なからずしてきました。私は
「着物を着せてもらったけど苦しくてこりごり、二度と着たくない」
という思われる方を増やしたくはないのです。
「着心地を良くして、極力早く、綺麗に着る、着せる」ことは難しいのでしょうか ?いえいえ、着ることも、着せることも同じくらい訓練すればそれは出来ると思っています。そして
「着付け師も着付け講師も様々な角度から鍛錬して、お互い切磋琢磨して技術の向上を図っていきましょう」
と思います。
そして私は着付け講師と着付け師を両立して着物を着る方を増やしていきたいと思います。

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko



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