「社外秘」は2段階で、確か右の
斜線のある方が”極秘”だったと記憶しているのですが
もしかしたら赤のスタンプだったかもしれません。
さらにレターと呼ばれる「商品情報」もあって
これがどういった扱いだったかは覚えていません。
サービスフロントを急遽、引き受けて数ヶ月経った頃
冬ではないある日の午前中の早い時間だったと記憶していますが
陸運局の、それまで聞いたこともない部門から1本の電話がありました。
陸運局の2階建て建物の1階は「登録課」で、ここには当然
何度も訪れたことがあるのですが、それ以外の部門の看板は
気が付きませんでしたので多分、2階にあるのでしょうが
これほど頻繁かつ日常的に利用しているお役所は、 業界にとっては
協力して消費者サービスに当る“同じ穴の狢”
いや、身内くらいにしか思っていなかったことは事実です。
「ミラージュの燃料漏れに関して、お客様から苦情が来ています。
他にそんな情報はありませんか」
実はメーカーから“極秘”が右上にシッカリと記載されている書面を
受け取っていたことを思い出した私は、その質問の趣旨が判らないまま
「メーカーはすでにその件に対しては把握していて
対策を取るよう指示する書面が着ています」と答えたのでした。
その内容は次のようなものでした。
『NE系A15○Aの一部に燃料ポンプから
燃料漏れを引き起こすものがありますので
あらゆる入庫の機会を捉えて無償交換してください』
「NE」はミラージュのメーカー開発コードで
例えばFRのΣは「YD」、モデルチェンジ後のFFのΣは「YF]で
三菱関係者は全てこれで呼んでいましたので
部外者には聞いただけではどの車のことか判りません。
この書面と同時に、かなりの個数の新品燃料ポンプが
メーカーから部品課に送り付けられていました。
部品は無償提供ですが工賃は実施した台数分をメーカーに請求できて
この売上げも「クレーム売上げ」と称して各販売会社のサービス部門で
目標設定されるほどで結構な数字になるのです。
「あらゆる入庫の機会を捉えて」という表現は
こうした文章で日常的に使われていたこともあり
もちろん「極秘」ではありましたが
文面だけではその重要性を認識できていませんでしたので
「安心してください」と言うつもりのその回答が
その後メーカーを巻き込んだ“一悶着”を引き起こすことなど
その時点では微塵も予想していませんでした…。
(続く)