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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
そのイーリーが、ついにラ行さんの前に姿を現しました。
といっても、いつも姿を現してはいたのですが、
ラ行さんには
見えなかったのでしょう。
彼は、口をわなわなと震わせて、
一言も口を開くことは、できませんでした。
粉雪が、ちらつく季節のせいでも、
あったのでしょう。
ただ、手を合わせるばかり。
これには、イーリーも戸惑いました。
しかし、それで十分なのであります。
後は、ラ行さんが、
自力で、己の道を切り開いてゆけるのです。
何かを求めて、一生懸命努力していれば、
ふとしたきっかけで、大飛躍できるのです。
それが、修業者に与えられたご褒美なのです。
きっかけは、何でもいいのです。
実際はイーリーが姿を見せても見せなくても、
見える者には見えてくるのですが、
普通の者には、
その境地に到るのが、並大抵ではありません。
そんな者のために仏像はあるのです。
無いより、目に見える形の方が、
わかりやすいのは当然でしょう。
でも、本当は、どんな形でもいいのです。
100人居れば、100のカンノン像が、
あっていいはずなのですが、
いつの間にか、形式が出来上がってきたようです。
この項おわり