plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

シダー・ウォルトントリオ@ヴィレッジ・ヴァンガード

2008年01月04日 | 音楽
ヴィレッジのアーサーズタバーンで僕が声を掛けたメンバーでライブをした後、ヴィレッジ・ヴァンガードにシダー・ウォルトントリオを聴きに。

ピアノにシダー・ウォルトン、ベースにデヴィッド・ウィリアムズ、ドラムスにルイス・ナッシュ。「息の合った」という表現はこのトリオのためにあるのではないか、というほどタイトでまとまりのあるジャズを聴かせる。曲は予め全て編曲したようで、始めから終わりまでキッチリした構成を持つ。その一方で各曲のアドリブ部分では三人の個性が光る。リズム的にはスウィング(日本語ジャズ用語では4ビート)だけでなく、ボサノヴァ、アフロキューバン、ファンクを織り交ぜていた。

リーダーのシダー・ウォルトンは40年以上前にニューヨークに移り住み、J.J.ジョンソンやケニー・ドーハムと共演し、1961ー64年にアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズで、ピアノと音楽監督を担当。その後プレスティジレコードというジャズレーベルが1967ー69年に録音したアルバムの殆どに参加した。またその頃からリーダー作を発表し続けながら、後のイースタン・リベリオン、日本のジャズファンにお馴染みのタイムレス・オールスターズなどのビバップのバンドを結成。現在に到るまで正統的なビバップ(日本語ジャズ用語ではモダンジャズ)を主軸に演奏しているが、70年代半ばにはエレクトリック・ピアノを弾いてファンクバンドをやっていたりもした。

ベーシストのデヴィッド・ウィリアムズは、1983年頃からウォルトンの様々なバンドのベーシストでありつづけている。ここ20年くらいはジャズ一筋のようだが、70年代初期にはロバータ・フラックのバックバンドなどもしていた。

ルイス・ナッシュは、過去20年間で最も多くの仕事をし、最も稼いだジャズドラマーではないだろうか。まだ40歳代だけれど、ただ場数を多く踏んでいるのでなく、その一つ一つがいつも第一級なのだ。今回のライブでも、曲想を的確に捉えた上でシャープにスウィングするドラミングを全曲で披露していた。

ナッシュさんは知り合いでもあるので、演奏終了後挨拶しに楽屋を訪れる。オフィスとコップ洗い場を兼ねた楽屋では、トリオの皆さんとヴァンガード最古参のバーテンダーが、エルヴィン・ジョーンズは、どんなバンドに飛び入りしても、他人のどんなサイズのドラムセットを叩いてもモノ凄い演奏をしていた・・・なんてことを話している。
改めてニューヨークのジャズクラブに居るのだなぁと思いつつ、夜更けになると露骨に本数が減る地下鉄の最寄り駅へ足早に向かった。