木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

手紙

2015-05-28 23:46:04 | 生活
先週の木曜日、仕事場に成ってるビワの実をもいだ後、帰り支度を済ませ車に乗ろうとしたとき
声なき声に呼び止められた
自転車を引いた50代くらいの男性がその自転車を置き、何やら手に持って僕に近づいてきた
見ると25cm×7cm 厚みが3cmほどの木片を差し出して・・・
メモ帳を準備して何やら書き始めた
その時点でその人の様子が理解できた
話すことが出来ない人だった
「この点の位置に22mmの穴をあけてくれませんか?」
一列に8個ほどの点が並んでいた
思わず「深さは?」と聞いたが通じなかった
最近声帯を失った有名人がいるけど、僕はそのつもりで聞いてしまったわけだ
声が出ない人の多くは人の声が聞こえないんだ
考えてみたら、僕は筆談ということをしたことがなかった
彼のメモに「何mmの深さ?」
彼はそこには何も書かずにその木片の裏を指さし 「貫通」を伝えた
「いくらですか?」と続いたので僕は首を振った 「い・ら・な・い」とそういう唇と手のひらで伝えた

翌日15分ほどでその仕事を終えて、彼が指定した場所に置いておいた


昨日仕事を終えてブログを読んでたら、彼がやってきた
頭を下げて、ビニール袋と封筒を差し出した
封筒の中に何が書いてあるかある程度の予想が出来た
ビニール袋の中に入ってるものも見えた
それを受け取ると、僕の作業がえらく高くついてしまうので固辞し、
封筒だけ有り難く、そういう形をして頂戴した




五月にしては蒸し暑い夕暮に爽やかな風が吹いた・・・







コメント (8)
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