木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

終わる仕事

2018-11-29 23:49:41 | 仕事
木工所と言っても色んな種類があってうちの仕事はその中でも珍しい部類の仕事だと思います
祖父の時代から始めて三代目
三代目がしっかりしてれば大きく子孫が繁栄するというのは
足利家徳川家を筆頭にきっと全国津々浦々そんな例がいっぱいあることでしょう
ところがところがうちは三代目が僕ですからご先祖様に申し訳ない結果になろうとしております

実は今日も一つ限界を感じました
長年うちの仕事を支えてきてくれた機械を動かしながらこの仕事はもうできないんじゃないかという気持ちになった
この仕事は手仕事していた時代に限界を感じた父親が導入した機械で
それ相当な働きをしてくれました
思ってた仕事をこなしていましたが、この機械を見たお客さんが持ってきた仕事で手いっぱいになってしまい
どうしようもなくてもう一台同じ機械を導入したわけです
その機械を操っていたのが時々出てくる今は亡き職人さんで、二台目の機械を任されたのが僕
職人さんはその仕事に専念していて、それで元からの仕事が舞い込むと同じ新しい機械で普段違う仕事をしる僕が手伝う
その繰り返しだった
だからなにかトラブルがあると職人さん任せになり
僕はただその流れを手伝うだけの存在だった訳です

職人さんが亡くなってもう全く動かなくなった二台目の新しい方の機械(と言っても30年選手)を廃棄して
中古の違う機械を入れた
残ってる方の機械は使いきれなくてたまにしか動かない
これはこの機械の刃物を職人さんが全部鍛冶屋をやりながら作成したもので僕には作れない
今までの仕事を流してるだけでした


小ハンドル


先日納入した品物に少しクレームがついた
昔と比べると形が違うんじゃないかと

実は刃物が減ってくると微妙に形が変化します
そのことを言って実用性のある部分の寸法はしっかり出てることを告げて事なきを得ましたが
これから先それは顕著になるはず


そしてもう一つ
部品がない、新しく作れないという問題
この機械を作った会社はまだ存在しているのですが、この機械の製造は終了して担当者は退社
多分下請けが作ったと思われる部品はもう作ることができないと返事をもらったわけです


今は残しておいたもう一つの機械の部品を使って何とか回していますが先を考えると
この機械を持ってること自体がリスクになりそうな気もします
今日これで仕事をしながらまた一つ時代の終焉を感じました


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これがメンテナンスできないなら (masamikeitas)
2018-11-30 05:05:55
かっつん、おはようございます。

添付されていた動画を拝見しましたが、機械がここまでやっていたのにびっくりです。
特殊な機械ですね。
これがメンテナンスできないなら、この仕事はできないですね。
仕事の間口が1つ狭まることは痛いですね。
何か良い方法があるといいんですが。
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うちも (しゃちくん)
2018-11-30 09:05:43
仲間に引き取ってもらう予定の木工機械は部品取り用ですね。機械メーカーすらありませんし補修部品が入手困難なので修理屋さんが溶接して部品を作ってくれます。

製造業全体が中国に仕事を取られてような状態です。
安い中国製品に慣れてしまうと国内で何も作れない時代が迫っているのでしょう。
返信する
Unknown (かずちゃん)
2018-11-30 10:13:28
興味深く拝見しました
こんなふうに作られて行くんですね

最初にこ機械を考案された方すごいです

どんな機械もそうでしょうが、できあがるまでの試行錯誤には多大な時間がかかっているのでしょうね

でも時代とともにその部品がなくなっていく
町工場的な仕事場ではそういうことの繰り返しでお仕事が続けられてきたんだなあって思います

新たな物を作ろうとすればまた新たな機械がいる
それを導入して続けていくだけの需要とこの先どこまで続けるのか・・という判断に迫られる時期だと言うことですね

自営業というのは本当に終わり方がむつかしいです
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masaやん (かっつん)
2018-12-01 01:20:47
挽いてるのはコーヒー豆を挽くメーカーのハンドル部分です
真ん中に穴を貫通させてくるくる回して使います
手作業でも作れますが量産は無理
その量産はもう日本の仕事ではなく発展途上国のものになっているという事でしょう
だから機械も廃れます
いや、まだ立派に動きますが部品の消耗はいかんともしがたいわけです
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しゃちくん (かっつん)
2018-12-01 01:25:34
勿論できることはできますがコスト的にはもう太刀打ちできません
昔をそのことをよく嘆いていましたが
もうここまで来ると諦めの境地で見てるだけです
確かに部品取りできればそれだけでそこそこの延命は出来ますもんね
今回もその部分が出来ればまた3・40年持つかもしれません
そうするとまた違う部分で困ることになるんでしょうが(笑)
早く終われってことかもしれません
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かずちゃん (かっつん)
2018-12-01 01:43:55
これは平塚市にあるタイガー工業というところで作られた機械です
もともとうちは仏具製品をよく作ってたんですが擬宝珠を作るために導入しました
擬宝珠とは仏壇に収まっている操出(くりだし)と言って位牌の先祖分
戒名が書かれた小さな板を重ねて必要な時にその板を前に出して供養する
もの
昔は一人一人位牌があるわけでもなくその操出の中にご先祖様が収まっていたわけ
その操出のてっぺんにつけてた擬宝珠
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%93%AC%E5%AE%9D%E7%8F%A0
この写真で言うと上半分の形
の物を4.5分 5分 5.5分 6分 6.5分 7分 8分 9分 1寸 ・・・・
とあり、特に5分から8分くらいは
3か月に一回くらい5000個くらいずつ作ってました。しかも二軒の仏具屋さん向けに
その時も型刃物を使ってましたが手作業なのでそこそこ時間が掛かります
この機械だと難なく進んでいきましたが、お得意さんに見つかって鍋のつまみから家具のつまみの仕事をするようになって大活躍してくれたわけです
機械と職人さんですが(笑)
そういう歴史があって、あったのだから終わりは来ますよね
いい終わり方をさせたいです。
よくやってくれましたから
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