ぽせいどんの今日の一枚 +

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ダイビングスクール? 1972 September 

2021-08-28 12:13:28 | 写真 海

 
 先日の係留策交換がまた一人ダイビングへと足を踏み込ませた。
 「俺もCカードを取ろうと思うのだけれども」
 「また急にどうして?」Hは子持ちになったばかり。敢えて勧めなかったのだが。
 「前からやりたかったんだけどさ。この前視ててヨットだって何があるか分からないでしょう。やはりできた方がいいでしょう」
 「家の方は大丈夫なのか?」
 「ウン、かみさんには了解を得たよ」
 「じゃあ、やれば。ハッキリ言って面白い」
 「だけど心配なことがある」
 「なんだ?」
 「耳が抜けるかどうか・・・。耳と鼻が悪いからさ」
 「それは俺も同じだよ。大丈夫だと思うよ」
 「一応、医者には診て貰ったんだけどさ」
 「何だって?」
 「大丈夫だろうとは言われたんだが・・・やはり心配じゃない。だから一回潜ってみたいんだけどさ」
 「解った。要するに俺に付き合えと言うわけだ」
 「そういう事です」

 電話での会話から一ヶ月が経った。
 ヨットハーバー。(見出し画像。中央。青のセールカバーの艇が我々の所有している30feetのYacht)
 セッティング完了。器材の使い方ははすでに教えてあった。
 イメージトレーニングも充分だった。呑み込みは?。まあいい方だ。
 タンクを背負わせた。先にエントリーした。
 船曳場(水深1.5m)で待った。
 おそるおそると云った体でHがエントリー。
 「では、取りあえずこの深さで耳抜きをしてみろ」
 「はい」
 HはBCのエアを抜いて沈もうとした。・・・・・・沈まない。
 「ウェイトが軽すぎるようだな」
 「もう一個増やしますよ」
 「その方が良さそうだな」
 Hはいったん上陸してウェイトを増加した。
 潜行。海底。二人で向き合うように腹這いになった。
 私はマスク越しに鼻を抓み耳抜きをした。Hを促した。OKサイン。大丈夫そうだ。
 浮上。

 「浅瀬でフィンスイミングをやる。ゆっくり行くから後ろからついて来いよ」
 「はい。先生」・・・センセイと呼ばれることには抵抗があったが・・・。
 20mほど泳いでUターン。スタート位置に戻って来た。立ち上がった。振り返ってHを視た。バランスを崩してバタついていた。
 「どうした?」
 「立てない」
 『こんな簡単なことがなぜできない?』と思いながら自分がどうしたか考えてみた。
 フィンを着けるとブレードが抵抗になって水中での歩行は不可能である。つまり脚が前に出せないのだ。
 私は無意識に身体を反転させ仰向けになってから脚を引いて立ち上がっていた。
 それをHに伝えた。漸くHが立ち上がった。
 「こう云う処で差が出るな」
 「そりゃしょうがないよ。先生とは経験があまりにも違いすぎますよ」         
 「今度はマスククリアーをする。三段階に分けてやるからな」
 「了解」
 「それが出来たら3mまで潜る」
 「分かりました」
 水中。まず手本を見せた。Hのマスククリアーは問題無さそうだった。
 水中移動。水深3m。透明度が向上した。
 耳抜き。Hを促す。OKサイン。水深5mまで移動。耳抜き。
 「お前はここで待て、俺はいったん浮上してまたすぐ戻る」とハンドサイン。
 Hが頷いた。浮上。続いてHも浮上。サインの意味を取り違えたようだ。
 ハーバーを視る。Nはまだ到着していないことを確認。再度潜行。Hが続く。

 Hにも周囲を眺める余裕が出て来た。
 魚の類は想ったよりも豊富であった。
 ボラ、ルリスズメダイ、ベラ、アジ、イワシ、その他名前を知らない魚が我々の前を横切って行く。
 残圧計を視る。エアはまだ充分にある。
 浮上。漸くNが姿を見せた。
 「どうした。遅かったじゃないか」
 「これでも留守電を聴いて急いできたんですよ」
 「解った。いいから早く支度をしろ」
 Nは昨年の秋に結婚が決まり、六月挙式の予定が半年早まり、七月に一児の父となった。
 「自分で生む心算か」と人に云われるほどの腹になっていた。(もしかしたらそう云ったのは私だけかもしれないが)
 そう言うわけで若い時に作ったウェットスーツ(この頃では滅多に見られなくなったビーバーテ-ル)が非常にきつくなりだいぶ手間取っている。
 N(警察官 Cカードは一応持っている)が参加して三人で潜行。しばしフィッシュウォッチング。
 

 防波堤にできた孔を覗き込むとなんとツノダシ(↑ 撮影地は他のところです)が潜んでいた。
 熱帯・亜熱帯の海ではもっともポピュラーな魚の一種だが、まさか房総の海に居るとは想ってもみなかった。
 ・・・・・・暖流に乗ってここまで泳ぎ着いたのだろう。しかしこの魚はおそらくは冬は越せないであろう。
 (後日、死んだチョウチョウウオをこのヨットハーバーで視た。

 Nはとりあえず放っておくことにした。何しろ実力の程はともかくダイブ歴は私よりはるかに長いのだ。
 Hを誘って更に深場へと移動した。
 水深7m。海藻がたなびいている。底流が少なからずあった。
 初めての人間にとっては決して良いコンディションとは言え無かった。
 数分して浮上。

 「どうだい、やれそうかい?」
 「うん、なんとか」
 「で、どこで取る心算だ?」
 「一緒に沖縄へ行きたいのだけれど。休みが取れるかどうか?」
 「サラリーマンの辛いところだな、費用は差が無いのだがな」
 「その辺はよく考えてみますよ」
 ・・・・・・
 「さてさて、いかが相成りますか?。

 ※後日、Nは私とは異なる団体のオープンウォーターを取得した。

 つ づ く

 

 
   
 
 


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