※モルディブの半年前の話です。
※辰也 : 同行した知人。当時30歳前後 私の勧めでダイバーになったばかり。
ベラウ共和国へ
辰也が念願の休暇が取れることになった。
しかし僅か三日であった。土日を入れても五日間である。
国内ならば充分ではあった。が、辰也は強く外国を望んだ。
検討をしてみた。まずは日本の四十数番目の県?、サイパン・グアムが候補にあがった。
旅行社に電話をした。日程的には問題は無いのだがこの時期にしてはけっして安くは無い。
『パラオはどうだ?』ダイバーならば一度は潜ってみたい海だ。遅かれ早かれ訪れることとなるだろう。
少々高いが予算の範囲に収まりそうだった。即決定。
グアムでアフターダイビングに実弾射撃と言う案も捨てがたかったが。
辰也への手紙
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前略
いろいろ検討を重ねた結果、電話で伝えたとおりベラウ共和国(PALAU)に決定いたしました。
詳細は月末か来月の初めになるでしょう。四月一日に電話をください。
E/Dカードの記入等面倒なことはサイン以外は一切を私が代行いたします。
君がすることは私の口座に代金を振り込むことと風を治すことです。
以下は諸注意
当日 ◎集合場所を間違えないこと。稲毛の浜駅 時間厳守
妹の電話番号 043-〇〇〇-**** (六日の夜電話をください)
成田まで高速リムジンバス・・・バス代 ¥1,000前後
◎パスポート Cカードは絶対忘れないこと
◎成田で空港使用料 ¥2,000 必要
PALAUのデーター
時差 無し 但しトランジットするGUAMは日本時間 + 一時間
単独行動をしなければ気にする必要は無い。
気候 平均最高気温 30.5°C
日本の夏の衣服で用が足りるがウィンドウブレーカーは必要。
GUAMで夏服に着替える心算で(手荷物に着替えを用意しておいた方が良い)
言語 英語(ダイビングショップは日本人スタッフがいる)
通貨 USドル 現地での両替は不可能
カード 使えないと思った方がよい。
食事代 (朝夕四回) 100~150$ 昼食三回はダイビング費に含まれる。
空港料 10$
その他 (タクシー・チップ等) 30$ほど。
土産 たいしたものは無いが 0~∞$
ダイビング費 オプションでナイトをやれば +100$前後
電話 会社にかける必要があるならばコレクトコールが利用できるように話をつけておけ。
ホテル PALAU HOTEL(TEL : 680-488-****)格安故に内容は期待してはいけない。
タオルとシャンプーは持って行った方がよいだろう。
荷物 預けるバッグは鍵のかかる物を。機内持ち込み分は原則として一個。
ウェストポーチのような小物は問題ない。
パスポートは機内持ち込みのバッグの中に。
カメラ 「潜るんです」を持って行く心算なら
「写ルンです接近・ストロボつき」がいいだろう。
当然私がニコノスを持って行くので不要と思うが。
ダイビングポイント ショップ任せなので何処へ行くか分からないが?
雑誌によると運が良ければマンタ・イルカなどに遭遇できるかもしれない。
ダイブショップ ア***** (TEL :680‐488-****)
東京事務所 ( 03-5330-****)
旅行社 〇〇旅行センター アイ********* (TEL :03-5489-****)
※ たぶん今回の旅行ではログブックの残りページが殆ど無くなると思う。
そろそろ印刷することを本気で考えてください。
(※ この当時 辰也は印刷屋に勤務 私の企画デザインをしたログブックを作ることになっていた)
これを読みましたらメモの用意をして電話をください。
◎都内には温水のダイビングプールがいくつかあります。時間が許せば一度行っておくと良いのだが。
**辰也 様
93 / 3 / 16 ぽせいどん
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四月六日 出発前夜
稲毛に到着したのは五時前だった。妹が帰宅するまでまだ間があった。
駅前の巨大スーパー(いまでしたらショッピングモールと言うのか)にて買い物。
プラスチックの耐熱カップ✖2 インスタントスープ 珈琲 ニコノス用予備電池 スピードフラッシュ用アルカリ単三
妹のアパートで一泊。
七日
稲毛海岸駅 リムジンバス乗り場 七時四十分。定刻を十分ほど遅れて辰也が到着した。
辰也が荷物番。車を駐車場に移動。荷の整理。・・・数分後にバスへ乗り込んだ。
バスは幕張メッセを経由して一路成田へ。
途中遅滞なく九時半には成田空港第二ターミナルへと到着した。
辰也にEDカードへにサインをさせた。少々早いが団体受付カウンターへ。手続きを済ませた。
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離陸 コンチネンタル航空964便 DC10はグアム空港を目指した。
お決まりの機内食のサービス。・・・・・・見ての通り期待しない方がよい。
辰也は機内に設けられたパブへ。初めての海外旅行故にすべてが珍しいようだ。
隣席には五十歳前後のオバサン。
「お一人ですか?」と声をかけた。
「ええ、そうなんですよ」長旅の話し相手が本当に欲しかったのだろう。満面の笑顔で応えた。
「どちらまで?」
「パラオまで」
「では、僕らと一緒です。やはりダイビングですか?」
「ええ、パラオスポートなんですよ」
※パラオスポート 船中に宿泊して各ポイントを潜りまくるツアー。船酔いの激しい者と体力の無い者にはお勧めできない。
「それ、僕も行きたかったのですよね・・・」
このオバサン、ダイビングに魅了されていた。かなりあちこちを潜っていた。
その中で笑ったのはモルディブの話だ。ポイントそれは雑誌の情報と大差は無い。
が、空港の免税店で購入したビデオテープに話が移ったときには執念に似たものを感じた。
その内容とはこうだ。空港で海中風景のビデオを見せられた。かなり出来の良かった物らしい。ためらわずに購入した。
帰宅して再生すると何も映ってはいなかった。
「二度と来ることは無いと思ってそんなことをするんですね。
あんまり悔しいから、絶対にもう一度行って突きつけてやりますわ・・・・・
そのまま家の本棚に保管してあるんですよ」
『再生方式の違いではないのでしょうか。映像方式 - 日本はNTSC方式 ヨーロッパはPAL方式が殆ど』
最近(1993年の話です)の航空機は喫煙席が非常に少ない。機体後部に移動して空席を捜した。
ロングピースに火を点けた。まだグアムまではだいぶ時間がある。
機内パブを覘いた。辰也は缶ビールを片手にご機嫌だ。
カウンター内のスチュワーデス。エキゾチックな顔つき(あたり前か)でなかなか魅惑的な娘だ。
「ここで写真を撮ってくださいよ」
「いいよ、カメラを取って来い。青いやつにネガフィルムを入れてある」
辰也、少々赤い顔でポーズ。閃光。
スチュワーデスが我々二人を撮ってやるというジェスチャーをした。
しかし、私は機内の写真は特別に欲しない。
それよりも、どうも辰也はこの娘がタイプのようだ。
手招きでカウンターから顔を出さた。辰也は頬が触れわんばかりに顔を寄せた。閃光。
『にやけるな莫迦』
・・・・・・
小説を半分ほど消化すると高度が下がって来た。グアムまでもうすぐだ。
トランジットカウンターは非常に混みあっていた。通路まで人が溢れていた。我々はその殆ど最後尾にいた。
焦る必要は無い。何しろ二時間の余裕がある。
ふと、脇にいる辰也を視た。あらぬ方向を視ている。その視線の方向は?。
スチュワーデスの一団。例の娘がいる。一団が横を通り過ぎる時に目尻を下げて手を振り始めた。
『阿保!』
グアム時間十六時三十分。
953便 離陸。機体は一回り小さい727便
二昔前に歌に唄われた懐かしい機体だ。いまだに現役で活躍をしていたのだ。
水平飛行に移ると間も無くドリンクサービス。
その後すぐに夕食。機内食は成田-グアム間よりもだいぶ質素。殆ど食欲無し。
我々の席は最後尾の一つ前。その脇はサービスカウンター。チャモロ系のスチュワートが張り切っている。
スチュワーデスが来るたびにその臀部にタッチ。はしゃいでいる。
コンチネンタル航空にはセクシャルハラスメントと言う文字は無いらしい。
つ づ く
※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
年代順となってます。
ダイビング編目次