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※トラックとポーンペイの街中を撮ったネガがまだ見つからないので ↑ホテルの画はネットからDLしたものです。
空港~ホテルへ
「ぽーさんですか?」と長身の青年(日本人)
「そうです」
「ジョイ(ダイビングサービス&ホテル)です」
客は我々以外は若い娘二人に小さな(身長は小学生と変わらない)オバチャン。
僅か五名のようだ。
しばし待たされて空港を出た。トラック。青年が荷を積み込んだ。
『我々はどうするのか?』と思っていたらあちこちに錆の浮き出たマイクロバスがやって来た。
運転手は娘二人と騒いでいた先ほどのオバチャン。客ではなくスタッフだった。
パラオと言い、ここと言い、たまたまかもしれないが
『どうしてミクロネシアのダイブショップの女性スタッフは小さい女ばかりなのだろう?』
ポーンペイの『ピグモン』。 客室のドアが軋み音をあげて開かれた。
車中。非常に賑やかである。娘たちは早口の関西弁で運転手のオバチャン(娘たちはユキ姐と呼んでいた)と掛け合い漫才をしている。
「何度目?」
「三度目や」年上らしき目玉ぎょろぎょろの方が答えた。
「どう、ポンペイは?」
「ええとこやでー。パラオにも行ったことがあるけど、ここの方がええで」
「ダイビングサービスはどうだい?」
「ポナペやったらジョイが最高や、他は行ったことがないから知らんけどナ」
十五分ほどでジョイホテルに到着した。
まずはチェックイン。
「ぽーさんは御宿ですぁ?」とフロントのご婦人。オーナー夫人であろう。
「ご存知ですか?」
「ええ、昔はよく行きました」
「ふーん」
「三階です。後ほど出結構ですから、これに御記入をお願いいたします」鍵と数枚の書類。
「冷蔵庫はございますが何も入ってません。必要な物がございましたら近くのスーパーでお求めください」
『持ち込み自由と言うことか』
プアダイバーである我々にはこのシステムはありがたい。ホテル側も管理する必要もないし両得?。
『そう言えばパラオのホテルも水しか入っていなかった』
エレベーターは勿論無い。階段を昇りきると廊下の隅にプロテックスが置かれていた。
我々の部屋は突き当りの角部屋。床はタイル貼り。天井には南国ではお決まりのファン。
広さは日本のビジネスホテルの倍はある。
プロテックスを開いて着替えを取り出した。バスルームに直行。
バディはミネラルウォーターを求めて早々と街に出た。
ベランダに出た。通りの向こうには樹木が生い茂っている。流石に降水量が五千ミリの多雨量地帯である。梢は三階建てのホテルの屋上よりも伸びている。
明日の準備。まずはばらばらにして詰め込んだBCの組み立て。
自分の分を組み立て、他の機材と一緒にメッシュバッグに詰め終わった。
バディが帰って来た。
「何か飲む?」
「水」
グラスに注いで持ってきた。
「もう組み立てちゃったんだ。私の分は自分でするから」そうは言いながらなかなか始めようとしない。
「早くしないと暗くなるぞ」
「分かった」・・・だがどうも、おぼつかない。
『結局、俺がするのか』
水中撮影機材のセッティング。完璧に仕上げるには小一時間を要する。
終わった時にはすでに外は暗くなっていた。
書類(ダイビングの誓約書等)に必要事項を書き込みサインをして階下へ。フロントに提出。その脇にあるレストランへ。
手前のテーブルに座った。メニューは日本人経営とあって定食屋のそれと大差は無い。
値段も大衆食堂並みだ。
まず珈琲。それと刺身&魚フライ定食。和食に拘っている理由ではない。ステーキと要予約のマングローブ蟹の他にはそのようなものしかない無いのだ。
ひとつ奥の席には浪速シスターズ。かなり賑やかである。
ダイビング雑誌で見覚えのある髭面。オーナーだ。それが顔を出した。
「ユキオパパ!」あたりをはばからぬ嬌声。(脅声!?)
「なんだ、お前らまた来たのか!」
「嬉しやろ」
「嬉しかねーよ」
「照れちゃって!」
「オーイ。キリン(ビール)」ウェイトレスにそのパパが叫んだ」
私達に気づいた。会釈をしながら「明日はこのデブどもと一緒ですよ」
このサービスはキツイジョークもOKのようだ。ならば私も負けてはいない。
「空港で会ったときに、もうTシャツの下にウェットスーツを着込んでましたからね。張りきった女の子だと思いましたよ」
「オーイお前達、何ミリを着てるんだ。十ミリか!」
ポンペイには所謂繁華街は無かった。(近くに無かっただけかもしれないが)
夜も十時ともなれば通りを歩く者もいない。
したがって非常に静かである。ただ一か所を除いては。
部屋の外。ホテルの廊下では浪速シスターズ(従姉妹らしい)とバディ。
関西弁が途切れることなく、けたたましく吼えている。
つ づ く
※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
年代順となってます。
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