ぽせいどんの今日の一枚 +

写真とかCGとかを気ままに + DIY

今回は大勢での沖縄 1994 秋  その5

2022-03-14 12:32:56 | 写真 海

                A:ラマダルネッサンス前 B:ツバメの根 C:恩納ポイント D:マリーナ

  二十七日
 
  食堂。今日も一番手は私と直子、エリー、K谷だった。
 「どうでした?。昨日のプールは」
 「私たち大丈夫でしょうか?」とエリー。
 「何が?」
 「だってみんな凄いんですよ」
 「奴らは泳ぐのが商売のようなクラブだからね。一般人のレベルでは無いんだ」
 「そうですか・・・・」
 「気にしなくていいよ。その代わり彼らは頭が悪い」
 「そんなー」
 その学生達がやって来た。
 「おはようございます」
 「今日は海洋実習だからな。落ち着いてやればプールとそう変わらない」
 「そうですか」
 「今日は俺達と出発時間が一緒だぞ。他の者もそろそろ飯を喰わないと遅れるぞ」
 「そうですね。電話をしてみます」
 ぞろぞろと残りの学生たちがやって来た。最後はやはり美友紀とマッキー。
 「美友紀、よだれが出てるぞ」
 「そんなことは無いです」

 食堂を出ると二十代半ば頃の女性が近寄って来た。
 「ぽーさんですか?」
 「そうですが?」
 「Hダイバーズで、今日の予定時間は昨日と同じだそうです」
 「聞いてましたが、・・・ありがとうございます」

 車がやって来た。
 「オハヨウゴザイマス」とDラス。SHIMAの姿は見えない。
 もう一人のスタッフは?。KAZUだった。
 「しばらく。二年ぶりだね」
 「あっ!。おはようございます。今日はよろしく」
 「こちらこそ」
 車中にはすでにMGの姿があった。
 食堂の前で声を掛けて来た女性、矢野嬢が増えていた。
 車の定員は九名。・・・・・・?。
 KAZUがリヤーゲートを開いて荷物を移動させ始めた。

  車は昨日と同じルートを北上していた。ラゲッジスペースのKAZUに話しかけた。
 「修行はどうでした?」(昨年はイントラ取得のそれで不在であった)
 「ええどうにか・・・ハウジング買われたんですね」
 「うん、去年ね」
 「F4ですか?」
 「うん」
 「僕も欲しいのですが、高いんでしょう。なかなか手が出なくて。・・・F90にしようかなとも思ってますが」
 「ニコノスを持ってたでしょう?」
 「ええ、でもやはり一眼レフを」
 「でもガイドをしながらじゃ写真を撮ってる暇は無いでしょう」
 「そうですね。それに写真はまだ素人だし」
 ・・・・・・
 「台風はどうなってますか?」
 「殆ど動いてません」
 「そうですか。」でもどうにか潜れるから良かったなぁ」
 「今日のポイントですが船で三十分くらい行った恩納ポイントに行こうと思ってます」
 「どんなところですか?彼らでも大丈夫ですか?」
 「割と穏やかなところですから大丈夫だと思います」
 「荒天の時は無理をしないでくださいね。本当に危険な時は中止してもかまいませんから」
 「そう言ってくれる人はまずいませんね」
 「かたちはちょっと違いますが私の夏も立場は同じようなものですから」

 昨日と同じ漁港。
 「セッティングをしてください」とKAZU。
 「もう間違いなく出来るだろうな」
 「大丈夫です」
 海は昨日よりもだいぶ凪ていた。

 いくつかのビーチリゾートを横目で視ながらボートは進んでいた。
 人気は殆ど無い。たまに波打ち際に二人連れがいるだけである。
 『新婚さんか?』だがなに故にか淋しく視える。
 Dラスがビデオ撮影をしている。
 エンジン停止。アンカーリング。
 「準備体操代わりにスキンダイビングをしましょう」
 学生五人とMG、矢野がバックロールエントリー。
 KAZUが私を視た。
 「オジサンは体力温存」

  恩納ポイント (見出し画像の→よりちょっと先)

 ブリーフィング。そしてエントリー。
 本日は口を挟まずにチェックのみ。まだ時間は掛かるがどうにか及第。
 五人を送り出してからエントリー。


 ボートの下。水深十メートルの棚。スズメダイが群れている。


 珊瑚の陰にはハタタテハゼ。こんな小さい魚はまだ彼らには観察する余裕はあるまい。

 オコゼの類が岩に擬態している。保護色で殆ど見分けがつかない。
 オコゼは私に気づかれていないと思っているのか動く気配はない。
 絶好のチャンスである。じっくりフラッシュの角度を調整してターゲットを狙った。

 全員集合して移動開始。
 KAZUを先頭にクレバスの間に沈んで行く。
 矢野嬢の実力は?
 学生達より多少上。経験本数は漸く二桁に達したあたりか?。『潜るんです』を持っている。
 MGは今日もキヤノンアクティで撮影。昨日は水深がそれほどではなかったが今日は十メートルを越えそうだ。大丈夫だろうか?。
 ニシキヤッコがちらっと顔を見せてすぐに姿を隠した。
 クレバスのどんづまり。水深十八メートルに横穴が穿たれていた。
 これを通り抜ける心算らしい。
 KAZUを先頭に数珠つなぎとなった。
 横穴は狭そうだった。全員が通り抜けるにはかなりの時間を要するだろう。
 こんな時に水底で待つのは利口ではない。エア温存の意味も含めて中層で中性浮力を得る。
 最後尾が穴に隠れた。キック。水底に到着。穴の中はまだ詰まっていた。
 しばし待機して充分なスペースを確保した。一息に潜り抜けた。

 ゆっくりと根を周りだした。ヤマブキベラ、イロブダイ、フエヤッコダイをはじめとするチョウチョウウオ各種。
 ボート下。多少のうねりがある。
 KAZUがセンセイに何かを書き込む。
 『自由時間。この周辺で遊んでいてください』
 私もBCのポケットからミニセンセイを取り出した。
 『記念写真 集合』と記した。
 だが五人はフィッシュウォッチングに夢中で気づかない。
 あちこちに散会している。
 ナイフでタンクを叩くとするか。
 KAZUが来乳て五人を集めだした。『サンキュー』

 五人が並んだ。『恩納ポイント』と記したセンセイをKAZUが手渡した。閃光。
 フィルムがまだ残っていた。ひたすら魚を追う。
 学生たちも『潜るんです』で撮影をしている。

 エキジット。例によってまずは学生五人。MG、矢野がそれに続いた。
 全員がボートに乗り込むまでは十分ほどが必要である。
 ストロボアームを折りたたみポートキャップを被せた。
 潜行ロープに掴まり水深五メートルで安全停止。
 そろそろ私の番である。・・・十メートルほど先に大きなカサクラゲが漂って来た。
 中華料理以外では忌み嫌われるクラゲではあるが白色半透明のヴェールを纏った水中のそれはまことに優雅である。
 『水母』とあてた個人に脱帽。
 (※海月とも書くが、これは『水母』の方がしっくりしている気がした。ちなみに英名はジェリーフィッシュ)
 撮影・・・・。だが・・・。再び準備をすることは・・・。
 『次のチャンスに賭けることにしよう』
 浮上。
 ・・・・・・
 「スキヤキ弁当なのですがいいですか?」とKAZU。
 駄目だと言っても代わりの物があるはずもない。
 「なんでもいいですよ」と答えたが不吉な予感。
 昨年もこの弁当を喰って吐いている。
 だがとにかく喰わなければ胃痛がおきる。
 インスタントのコーンスープを飲みながら平らげた。
 陽が射してきた。久しぶりの日光である。海にはやはり太陽が不可欠である。
 ハウジングのカウンターを覗いた。残数は僅かなものである。
 裏蓋を開いた。浸水は無い。F4を取り出した。五人を撮ってフィルム交換。


  KAZUが傍に来た。
 「二本目ですがドロップオフとケープとどちらがいいですか?」
 「私はどちらでもいいが・・・・オーイ」
 五人がやって来た。「ドロップオフとケーブとどちらがいい?」
 「ドロップオフと言うのは・・・?」
 「海中の岸壁のようなものだ」
 「ケーブは?」
 「さっきのような穴だ」
 「・・・ドロップオフの方がいいです」
 「わかった」

 「と、言ってますが」
 「ではドロップオフにしますか」
 学生が離れて行ってMGと矢野嬢が来た。
 話題は昨日のダイビング。ツバメの根が話題にあがった。
 「ツバメウオですか・・・視たいな!」と矢野嬢。
 「それなら私達も、もう一度ツバメの根でもいいな」
 「エッー!。でも昨日行ったんでしょう」
 「やつらのことは気にしないでください。訓練中みたいなものですから構いませんよ。ボートでの移動も近くて楽だし、そうしましょうか?」
 「でも、申し訳なくて」
 「僕もいいですよ」とMG。
 「それではツバメの根にしましょう」
 昨日はレンズの選択ミスでツバメウオは満足に撮れなかった。チャンスがまた巡って来た。

 

 つ づ く

   ※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
  年代順となってます。

  ダイビング編目次



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