記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

シンギュラリティは近い(拾い読み その1)

2016年06月25日 16時20分54秒 | Weblog
シンギュラリティは近い:人類が生命を超越するとき
カーツワイル著 NHK出版(編)〔エッセンス版〕2016

「ポスト・ヒューマン: コンピュータが人類の知性を超えるとき(NHK出版2007)」を再編集したもの。
原著 The Singularity is Near: When Humans Transcend Biology. 2005

著者は1948年生まれ、現在Google社で機械学習と自然言語処理の技術責任者を務めている。

テクノロジーの指数関数的な成長がシンギュラリティへ至る:テクノロジー進化の法則。
2045年にAIが人類の知性を超える。
人類がシンギュラリティへ到達した後、テクノロジーと融合した知能が地球を離れ宇宙へ到達し、光速の制約を超えて、22世紀には宇宙を知能で満たす、と予言。

シンギュラリティは元来、数学用語。 関数が無限大になる点:特異点。
宇宙物理学ではブラックホールの中心点:密度が無限大になる処。
人工知能が人の手を介さずに次世代マシンを設計することで「知能の爆発」が起きる、と1960年代にグッド。
「技術的特異点(シンギュラリティ)」に急速に近づきつつある、と1983年にヴィンジ。

パラダイムシフト(技術革新)の起こる率が加速。現時点では10年に2倍。
指数関数的成長の成長率(指数)が指数関数的に成長している。
ハードとソフトの両方が人間の知能を完全に模倣できるようになれば、2020年代末にはコンピュータの知能が生物としての人間の知能と区別がつかなくなる。
最も重要な点は、機械が知識を極端に速く共有することが出来ること。これに比べれば、人間が言語を通して知識を共有するスピードはとても遅い。
非生物学的知能は、技術や知識を他の機械からダウンロードするようになる。やがて人間からもダウンロードするようになる。

ナノチューブのような装置で3次元分子回路を作れば、信号が伝わる距離が短いので数テラヘルツの速さで作動できる。今の集積回路は数ギガヘルツに過ぎない。
ナノボット(分子レベルで設計された、大きさがミクロン単位のロボット)で、例えば呼吸細胞(人工血液)を作って、加齢を逆行させるなど。
ナノボットは生体のニューロンと相互作用して、神経系の内部からヴァーチャル・リアリティ(VR)を作りだし、人間の体験を大幅に拡げる。
フォグレットと呼ばれるナノボットはイメージや音波を操作して、モーフィング技術を使って作成したVRを現実世界に出現させることができる。

事象の地平線の向こう側は完全に把握することはでいないからこそ、この転換がシンギュラリティと呼ばれる。
それでも、シンギュラリティ以降の生命がどういう性質を持つか、抽象化の力によって意義ある発言が出来る。
未来の機械は、もはや生物学的意味で人間ではなくとも、一種の人間なのだ。
知能のほとんどは最終的には、非生物的なものになるが、生物としての知能が終わりを告げるというわけではない。


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