記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

テグマークの「数学的な宇宙」 その3

2016年11月25日 04時56分15秒 | Weblog
シュレーディンガーの猫は箱を開けて見るまでは生きているか、死んでいるか、分からない。
素粒子がそうであるように、その2つの状態が重なり合っていて開けて見た瞬間に、波動関数が収縮し、どちらか1つの状態になる。
観測して収縮させるものは、人間でなくてロボットでもよいのか。
アインシュタインは「月はネズミが見ているから存在するのか」と言って量子力学の不確定性原理を批判した。

レベルIIIの並行宇宙では、波動関数が収縮するという仮定を設けなくてよい。
レベルI・IIの並行宇宙は互いに無限に離れているが、レベルIIIの並行宇宙は直ぐそこにあって、重なり合っており、一方で猫は生きていて、他方で猫は死んでいる。

数学者がヒルベルト空間と呼ぶ抽象的空間の中では並行宇宙は互いに離れたところにある。
ヒルベルト空間とは、波動関数を点に対応させる無限次元の空間。
シュレーディンガー方程式は、その点がこの空間で一定の半径を保って軌道運動すると言っているのだ、と。

莫大なデータのコピーを、この量子的並列宇宙に置いて相互作用させるなら、量子コンピュータと呼ぶ超高速な超並列計算が可能になる。

脳の情報処理には、これと同じ仕組みがあって、意識が生まれるという説がある。
著者は、シミュレーション実験をして、この説には反対している。

レベルIからIIIまでの多宇宙より更に大きい階層に4番目の多宇宙が有って、そこでは数学的に存在する構造がすべて物理的にも存在する、と言う。

量子力学の標準理論は数学者がSU(3)×SU(2)×U(1)と書く対称性が関係しているが、これを他の対称性に置き換えると、別の種類の粒子と力を含む数学的な構造が得られる。
そこではクオーク・電子・光子の代わりに、別の性質を持った粒子が存在する。
光が存在しない数学的構造や重力が存在しない数学的構造もあるだろう。
時間と空間の次元数を1と3から別の好きな数に置き換えた一般相対性理論も可能だ、と。


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