かなりバカバカしい話です。介護や認知症とはまったく無関係であることを、了承してください。
どうでもいいと言われるのを承知の上で、精子の行き先がほんの少し気になりました。
居場所を失うというのは、成人男子にとっても辛い事件です。ましてやミクロの世界に住む、小さくてか弱い精子たちにとって、出口を失った場合の絶望感は半端なく、まさしくこの世の終わりを痛感しているに違いないと想像できます。
そもそもパイプカットというのは、大人の事情で行う場合がほとんどです。需要と供給の世界では、需要がなくなれば、供給もストップされる運命なのは、仕方のないことではあります。
「もう、子供はいらんな」
「そうね、じゃあ、例のものをカットしましょう。それでスッキリするわ」という嫁の一言に、一瞬だけでも青ざめた夫が下す決断が、パイプカットというわけです。
ただしパイプカットと言っても、外側のパイプを勢いよくカットするわけではないので、ご心配なく。
通常、睾丸で作られた精子は、副睾丸というところに集められ、最終的には精のう線に貯蔵されます。このとき、睾丸から精のう線に精子を運ぶために使われる管を、精管というのです。
精管の一部をカットし、切り口の両端を結ぶ手術のことを、パイプカットと言います。
精子の通り道を塞いでしまうわけですから、避妊率は100パーセント、確実に妊娠を防げる方法なので、結構、人気があったりします。
ところが出口を失った精子は、いったいどうなるのでしょうか。
私なんかは余計な心配をしてしまいます。行き場を失って溜まったまま、ひょっとして、狭い睾丸の中で腐ってしまうのか。
睾丸の中で、何十億もの精子が腐乱し、やがてはそれなりの臭いを放つ日がくるかもしれない、そんなことを考え出すと、キリがありません。
臭いものには蓋をしろと言った、昔の人はどこまでも正しかったか。あまりにも的確な予言に
私は一瞬だけ、気が遠くなるのを感じてしまいました。
しかも臭いだけならまだしも、睾丸に溜まり続けた精子は、やがて空間のバランスを崩してしまう。空気を入れすぎた風船のように、哀れ、破裂の憂き目を見るのではないか。
ここまでくると、最悪の想像まで脳裏をよぎります。まさに、世紀末の悪夢です。
ところがです。需要と供給のバランスは、我々の体の一部、睾丸関係にまで行き届いていたのですから、まさに人間の体は神秘、神が起こした悪戯としか言いようがありません。
つまり、需要がパイプラインの切断によって止まってしまうと、副睾丸から睾丸へと何らかの情報が送られて、供給も自動的にストップしてしまうのですから、至れり尽くせり、睾丸近辺の人間の体って本当に便利にできています。
ただし、ここで一つだけ注記事項があります。
どんな便利な製品でも、説明書には必ず、注意書きというものが記されています。
睾丸、副睾丸もやはり例外ではなく、避妊率100パーセントを維持するために、何度かの(一応4~5回と書きますが、これにはおそらく個人差があります)
とにかく、空打ちが必要になるのです。「何の空打ち?」と聞かれると、私も説明の仕方に困りますが、精のう線につながるほうの精管には、まだ使われていない、ピチピチの精子が残っているのです。
これを発射してしまわないと、肝心なときに、思わぬおこぼれが起きて、見事的中という、不幸な結果になる場合があるので、まさに要注意です。
老婆心ではありますが、パイプカットには空打ちが必要と覚えておいてください。
しかも空打ちの回数には個人差があり、行為の長い短いに関係なく、すっきりと、跡形もなくさっぱりしておくことが、肝心だったりします。
それにしても、人体は宇宙に匹敵するほど、神秘の存在だと私は断言できます。
くれぐれも、高いお金を出して手術をしたのに、あえなく的中していまうという悲劇を起こさぬように、用心にも用心を重ねて、空砲{くうほう}になるのを確認してから、事に当たることを肝に銘じてください。
なお、パイプカットをしても、元に戻すことは可能ですが、復元するには非常に高い技術力が必要になるらしいので、熟考にも熟考を重ねてから行ったほうが利口だと思います。
また、出口を塞いで精子の供給がなくなったとしても、性欲の泉はなお活発に活動するらしいので、そちらのご心配は無用らしいです。
最後までくだらない話に付き合ってくれて、本当にありがとう。あなたが身に覚えのない的中のために青ざめないことを、私は切に祈っています。そのためにも、
空打ちだけはどうか怠らないように用心してください。幸せな家族計画を何よりも祈って、今日は筆を置きます。
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