見知らぬ男女が相席して、お酒をともにする居酒屋「相席屋」。昨年3月の1号店オープンからわずか1年で全国に拡大し、今年4月末で24店舗になる。なぜこんなにブームになるのか。相席居酒屋を訪れる男女はどんな人たちなのか。
若者の酒離れ対策に婚活応援
「皆様初対面だと思います。『相席屋』と私が言ったら、続けてカンパイしてくださーい」
若い女性スタッフの明るい声が店内に響く。そして「相席屋~」と大きな声で言うと、大学生とみられる女性2人と30代前後の男性2人がテーブルを囲み、「カンパーイ」と言いながら、少し恥ずかしそうにグラスを近づけた。
4月上旬、相席屋渋谷南口店(東京都渋谷区)は、平日にもかかわらず大勢の男女でにぎわっていた。
相席屋は、男性は30分飲み放題で1500円(税抜き)。女性は、飲み放題は無料。食事は男女ともに有料で別会計。つまみは枝豆やミックスピザなど一般的な居酒屋メニューがそろう。女性は食べ物や有料ドリンクを頼まなければ、無料で帰ることもできる。1人だと相席しづらいため、2人以上での来店がお勧めだという。
相席屋を企画・プロデュースする飲食チェーン「セクションエイト」(東京都渋谷区)の広報担当者は「出会いの幅を広げることができるのが売りです」と話す。
同社は、居酒屋やバルなどを展開。若者のお酒離れが続くなか、顧客獲得に思いついたのが、「婚活を応援する」というアイデアだった。東京・赤羽で同社が経営する居酒屋を改装し、昨年3月に1号店をオープン。7月に新宿・歌舞伎町に2号店を出店し、これがメディアで大きく取り上げられたことを機に、来店者が増加。以後、出店を加速させ、今年4月末時点でフランチャイズ店も含めて店舗数は24店舗に上る。