【関西の議論】
ナマズのかば焼いかが!?「マグロ」の近大がウナギ化に成功…見た目も味もそっくりの衝撃
ウナギのかば焼き(上)に限りなく近づけたマナマズのかば焼き(下)
クロマグロの完全養殖で知られる近畿大(大阪府東大阪市)が、一般に「泥臭い味」とされるナマズの“ウナギ味”化に成功した。鹿児島県の養(よう)鰻(まん)業者と協力し、専用の餌も数年がかりで開発。限りなく脂の乗ったウナギの味に近づけた。実際にウナギ料理店で客を相手に試験販売したところ、「本物と変わらない」と反響を呼んだ。絶滅の可能性も指摘され、近年は価格の高騰が続くウナギ。今夏の「土用の丑」も近づく中、ウナギに代わる“救世主”となるか-。
(香西広豊)
■うれしい誤算
試験販売は、奈良県内でウナギ料理店を経営する「うなぎの川はら」が5月9日以降、大和郡山市と奈良市の計2店舗で開催。改良したナマズの料理を提供した。
1日20食限定で、かば焼き(1780円)とナマズ重(2000円)を、通常のウナギの半値近くに設定した。
すると、客からは「ほぼウナギと同じ味。ナマズと言われないと分からない」「小骨がないので食べやすい」「まったく生臭さがない」「皮がおいしい」など予想以上の評価を得た。
「(消費者は)ウナギのような味であれば、それがナマズであっても構わない、ということです」
近畿大の農学部水産学科水産経済学研究室准教授、有路昌彦氏(40)は結果を総括し、「想定をはるかに超えた反響があった」と満足そうに話した。
当初、ナマズは食用としてはなじみが薄く、消費者に抵抗があることも心配されたが、そうした懸念はうれしい形で裏切られた。
■代わりを探し続けて…
ウナギ味のナマズ開発を思いついたのは約6年前だった。
きっかけは、付き合いのある養殖業者やかば焼き屋から受けた相談。当時はちょうどワシントン条約でヨーロッパウナギの規制が議論されていた頃だった。
ニホンウナギも資源が減っており、「このままでは経営が厳しくなる」と相談を持ちかけられていた。
有路氏は早速、資源が豊富な淡水魚で、味もウナギに近い魚種を探し始めた。「ドジョウやフナ、コイ、マスなど、いろいろな魚種を全国から集めては、片っ端から食べてみた」と振り返る。
そして約4年前。滋賀県の琵琶湖北部で、地元の漁師がナマズ料理を出している店を訪れ、琵琶湖固有種「イワトコナマズ」のかば焼きを食べた際、「あっ、これだ!」と思わずうなった。「ウナギを上回るぐらいおいしかった」。
ただ、イワトコナマズは「幻の魚」と呼ばれるほど数が少ない魚種。そこで、その漁師に全国各地に生息する一般的なマナマズを使ったかば焼きを作ってもらった。
それが結構、おいしく、「これでいける!」と思った。
■逆転の発想
しかし、研究室近くで捕獲したマナマズを使い、かば焼きにして食べてみると、「涙がでるほどまずかった」。
なぜか-。有路氏が原因を調べた結果、マナマズは水の条件と餌が違えば味が180度変わることに気付いた。
そこで「餌を調整すれば、ウナギ風味のナマズになるのではないか」と逆転の発想にたどりついた。
そこから約300種あるとされる海水魚や淡水魚用の既存ペレット(固形餌)の調合(組み合わせ)を繰り返し、マナマズがウナギ風になる餌を探し続けた。
そして約1年前。ついに納得のいく味になる餌の調合を発見した。
有路氏は餌の開発にあたって、新しい餌を一から開発するのではなく、既存の餌の組み合わせにこだわった。
その理由について「既存の餌を組み合わせればコストが低く、すぐにウナギ風のマナマズがビジネスとして成り立つと考えた」と説明する。
餌の調合の開発にはめどがついたが、実際にマナマズを養殖をする必要があった。そこで、協力してくれる養鰻業者を探した。
業者探しは、近畿大大学院1年の和田好平さん(22)が行った。
「そんなことがナマズでできるはずがない」と多くの業者に断られる中、鹿児島県・大隅半島の養鰻業者「牧原養鰻」が協力してくれた。
試行錯誤の結果、今年2月、目指していたウナギ味のマナマズに育て上げた。かば焼きにしても、ウナギと大差ない色加減や香ばしさを実現した。
ウナギ風のマナマズの試験販売も、料理店からは何度も「消費者は食べない」「絶対売れないから」と断られた末に、ようやく実現させた。
結果は予想以上に好評だった。貴重なデータを収集できた試験販売は5月26日に終了する予定。
有路氏は今夏の「土用の丑」(7月24日、8月5日)に間に合わせる見通しはついたとする。開発に協力してくれた業者などとも連携し、マナマズの供給準備を急ぐ考えだ。
有路氏は「生産体制を整えて供給拡大をはかり、ウナギの味を気軽に楽しんでもらえるようになれば」と期待している。
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