中脇初枝 著
ある雨の日の夕方、ある同じ町を舞台に、誰かのたったひとことや、ほんの少しの思いやりが生むかもしれない光を描き出した連作短篇集。
夕方五時までは帰ってくるなと言われ、雨の日も校庭にたたずむ生徒と新任教師との心のふれあいを描く「サンタさんの来ない家」をはじめ、娘に手を上げてしまう母親とママ友との物語、ひとり暮らしが長くなった老女と、家を訪ねてきたある男の子との物語など、胸を打つ作品を五篇収録。
人間の優しさとその優しさが生む光が、どれほど尊くかけがえのないものかをあらためて感じさせる感動作。
要するに、子供を虐待する話の五連作です。
もう、読んでて心が痛すぎるんですけどね、そんな中に小さな救いの手が差し伸べられているのが多少の優しさなのだろうか・・・。
自分自身、あまり褒められた親に育ててもらってはいないと思っているので、非常に痛感する部分があるんです。
そんな子供時代を過ごしてきた私なので、今子育てをしていて思うことは、とにかく自分の親みたいにはなりたくない。
自分のような思いを子供にはさせまいと一生懸命育ててます。
それが、面白いように自分の子が素敵な子に育っていくんですよね。
私は自分の親に言いたい。
「ありがとう、あなたたちを反面教師にするだけで私の子は素敵に育っています」
私は絶対に、自分の親のようにはならない。
この一冊はとても私の心に痛みを与えるものでしたが、そんな中にも一筋の光を思い起こさせてくれる一冊でもありました。
出会えて良かったです。