門井慶喜 著
宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。家を継ぐべき長男だったが、賢治は学問の道を進み、理想を求め、創作に情熱を注いだ。勤勉、優秀な商人であり、地元の熱心な篤志家でもあった父・政次郎は、この息子にどう接するべきか、苦悩した―。生涯夢を追い続けた賢治と、父でありすぎた父政次郎との対立と慈愛の月日。
賢治の人生を父親目線で描いた物語ですが、これが中々良かったね。
流石、直木賞作品!
私の知る賢治のベースは、映画「我が心の銀河鉄道/宮沢賢治物語」です。
そのイメージで読み進めていくと、私の知る賢治の真面目な文学少年が、金持ちのドラ息子。。。。。
厳しく厳格な父親は、子に甘い隙だらけの天然?親父。。。。。。
これは中々のエンターテイメント小説に仕上がってますよ。
とても面白く読ませて頂きました。
実は「銀河鉄道の夜」は賢治の死後に発表された作品であり、更に未完成であった事・・・・。
かの有名な「雨ニモマケズ、風ニモマケズ・・・」の詩、道徳的な説教くさい詩と思いきや、最後は「サウイフモノニ、ワタシハナリタイ」・・・・ん?
なりてーのかよ!
なってねーじゃねーか!
っていう突っ込み
賢治の死に際までもの言葉の面白さと言葉の遊び・・・・・。
なるほどなと思わせる考え方が沢山見当たるし、思考が父親を通した文なだけに、なんか説得力があるんですよね。