月の声

遥かな空を包みこみ　
月の声が響きわたる　
遠い昔に出逢ったような　
懐かしさ連れて君が微笑む　

心のどこか深い場所　
青い水面を震わせながら　
君の想いが届く　

僕は君ほど愛の言葉を知らない　
口にしたら淡雪のように　
消えてしまいそうな瞳が　
悲しすぎて言えない　

それでも君は　
強がるまなざし　
甘える唇　
まっすぐな気持ちの流れを　
月の声で伝えるのをやめない　

永遠ならそれでいい　
一緒に探していこうか　

月の声が答える　

「あいしてる」と　
たった5文字で　
すべてを伝える　

丘を越えたよ

名も知らぬ花なのに　
一生ぶんの温もりをもらったような　
いつしか汚れてしまった泉なのに　
ものの１分でそれが透明になるような　

丘を越えたよ　
風が押し上げてくれた　
赤い靴のリボン　
スカートのちいさなフリル　

石の礫はここまで届かない　
心のためにならぬものは　
ついてこられない場所なのさ　

あおいソーダ水をのんだストローのあまい風　
舌先でころがして猫の気持ちがよみがえる　
可愛がってくれたてのひらは雲の向こうへ消えてった　

丘を越えたよ　
まだまだいくよ　
ふたたびの国まで　
たゆまずいくよ　

紺色コートを探す蛍

交差点で人並みを上手によけながら渡る　
誰に教わらなくても自然と覚えた術　
こんなにいっぱいの人がいても逢いたいのはたったひとり　

お仕事辛くはないですか　夜はちゃんと眠れてますか　
このメールの言葉はどれだけあなたの胸に届くのかな　

時は平等だね　どんな誰にも平等だね　
だけど夢の出口に来たような　
一瞬時が止まったあの感覚をあなたと感じたい　

街を歩くとかならず胸によぎるあの孤独を　
あなたも抱きしめているのかな　
ねぇ　そばにいなくてもあなたはあなたらしくいる　
それがわかるからとてもわかるから　
信号が変わっても焦らずにいられる　

夕闇にまぎれてあなたのコート探してた　
世界のどこにいたってあのやさしい紺色は見つけられる　
あなたの胸で輝く蛍になると心にきめた誇らしさ忘れない　

紺色コートを探す蛍　街は夜に向かって走り出す

真実

永遠なんて綺麗ごとも吹き飛ぶような抱擁

猫の記憶

キャンディ舐めた薔薇の舌で　
日めくりの風が髪を吹きすぎていく　

涙を乾かすのは　
あたしの心の砂地　

ばいばい　
お別れでも　
出逢えたリボンは　
ほどけないよ　

猫の記憶で　
君のなかに居座るつもり　
ふかふかのソファーに
真昼の夢のかたちで寝そべるよ　

たからもの

泣かないでって言われると　
余計泣けてしまうような　

胸の淵がじわりとしみて　
燃え上がる痛みを覚えて　

どうしようもなく　
どうしようもなく　
たそがれていく秋の中　

私は　
泣かない瞳と　
痛まない胸を　
欲しいとは思わなくて　

ただ　あの人が　
心の中に居る　
その温かさを　
いつまでもなくしたくない　

ひととき　
静寂につつまれる想い　
星のようにそこに居たい　
夜のずっと先をみつめている　

約束の貝殻

＠の渦に巻かれて口笛を吹く　
ひとりぼっちが上手なのは素敵なことよ　
こんがらがった糸をほぐせ明日のその先のために　

「くすん、って言わない！」　君の声がしてる　
昔むかしのお話に書いてあった
騎士とかわした約束はかならず守られるって　

君の恋愛のシーソーは軽く浮かんでいるけれど
だからって泣かないわ次のページをめくるわ　
ドレスの裾をつまんであの薔薇色まで走りだす　

ガラスの靴もウサギの時計もいらない　
秘密の香りをのせて吐息で作るミルククラウン　
お願いだからおしまいの鍵を持っていかないで　

さようならとこんにちはの波間をあおく染めながら　
なんでこんなに好きなんだろう愛してるんだろう　
約束の貝殻に眠りながら深い答えを探しにいくの


　

深い砦

うれしさも寂しさも　
源はおなじ　
風が通り抜ける　

聞き上手は　
あなたの素晴らしいところだから　
あおい水をたたえた泉　

このままゆきましょう　　
すぐに永遠に　
結びつけたがるわたしだけど　

どの季節も好き　
いつからかそう感じてる　
こころの変わりように微笑んでる　

いまなら　
あなたに
なれるかしら　

あおく　
深い砦　
目を閉じて　
みっつ数えたら　

またたき

またたきのひかりと影のくり返しに　
あなたと生きる意味を見い出してゆく