ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ハマりっぱなし

2020-11-13 | 系図のこと

 

 

 

このところ、本職以外に何に一番時間が取られるかと言うと、古い国勢調査の索引化である。孫たちとの生き物探しやスターワーズごっこ、ドミノのメキシカントレインゲームは片手間だが、衣料繕い物などと言う古色豊かな家事もある。先週は恐竜コスチュームのジッパー直しと言う孫息子の一人からの緊急依頼もあった。それもジッパーは完全にバラバラと言う状態のもの。(それをものの10分で直したのは、グランマパワーに違いない。)そして今月特に11月11日−12日は牡牛座流星群がノーマルピークを迎える。一瞬関係がないかのようだが、大いに関係がある。天体観測は十指に入る趣味の一つだ。仕事以外はそう重要ではない、などと決して言えない(と思う)。

 

それではもっとも私が仕事以外の時間を割くことを今日は書くとしよう。国勢調査索引作業とは、系図資料作りの第一歩と言える。姓名、家族関係、生年月日あるいは死亡月日、誕生地、埋葬地、などなどを拾って記録を作っていく作業である。現在取り掛かっている調査は、なんと明治時代の日本国国勢調査なのである。しつこく言うが、日本の、である。非常に厳しいプライバシー法や規定があるのに、たとえ明治時代とは言え、日本政府はよくアメリカの公文書機関に許可したと驚くが、実際にオンラインで索引化は進んでいる。すでに調査が100年は経ている点が、その理由かもしれないが、当初「索引化が必要な古文書リスト」に出ているのを見た時、我が目を疑った。とにかく、やらなければ、と始めたのである。

索引化作業は、次から次へと課題が出されるから、それを始めると3時間はかかりきりになる。それでも今現在全体の索引作業完了はほんの2パーセントに過ぎない。つまり私一人で進めているような気配。いや、私が索引化すると、日本語に詳しい方が、見直し作業をするので、一人ではない。これらの作業は全てヴォランテイアによる。

 

もちろん明治時期の国勢調査結果は、和文タイプで整然と記されているのではなく、当時の国勢調査員ひとりひとりの個性的な筆記で、旧仮名遣いや、判読し難いくずし文字が多い。そうした文字に対するトラの巻的なガイドもあるが、数をこなすうちに、不思議と覚えてしまうことも多い。中には調査員がわざと人に読みにくいように記していると思えさえする筆記もある。

 

索引化されたものは、ルーツを知りたい、日本人を祖先とする人々の助けとなる。私は、現在熊本から明治時代にアメリカに移民としてきた日系人家族の系図調査を頼まれているが、索引化することも後日の調査にも役立つと考えて作業をしている。

 

欧米人の場合、大概すでにAncestry.com(アンセストリー)などのような系図データベース大会社のサーヴィス(全ての資料は有料で閲覧できる)や只のFamilySearch.org(ファミリーサーチ)を利用して系図調査を進めていける。欧米人でなくとも、日系人移民も移民後のその国の合衆国、ブラジル、メキシコなどでの資料はたくさんあり、利用できる。

 

以前お手伝いをした方は、父方は英国領英国人、母方はスペイン領のスペイン人で、ジブラルタルで出会い、結婚し、アルゼンチンへ移民となって渡った。ご存知のように、ジブラルタルは、イベリア半島南東の端の小半島で、地中海の出入口を抑える戦略的要衝の地として、1713年来英国が支配し、未だスペインと対立しているところである。対立してはいても、出会いはあり、結婚したのだから、愛に国境線はないと言える。アルゼンチンへ移住したのは、賢明な決断なのだと思う。とにかく、このご両親の両サイドの祖先を辿るのは、かなり楽しかった。実地作業をせずとも、インターネットで随分遡ることができたのだ。

 

日本ではプロの系図作成会社がたくさんあり、大金を払えば立派な家系図を作成してくれる。個人的に進めていく作業は、できなくはないが、かなり大変である。司法書士、弁護士、会計士等の資格を必要とする場合もある。私自身の祖先は、行き着くところは、まだ1700年代後半までだ。これ以上先へ進むにはかなりの日数をかけて日本で調査するしかない。たとえ叔父叔母でも、その戸籍謄本は、直系家族でなければ取得できないのが現状だ。

 

元々私は欧米の系図を専門としていて、その中でも宗教改革に関わったアメリカ移民の調査が個人的に好きで、それはメイフラワー号乗客や、フレンチ・ヒュウーガノッツ(ユグノーあるいはカルヴァン派改革教会)、クエーカー教会のためにアメリカへ渡ってきた夫の祖先たちのせいもある。大学院で職を得たことで、「便利」なのは、親しい教授の一人は、歴史科で特にフランスのユグノーあるいはカルヴァン派教会についてが専門であるから、会議の後など、よく話をする。得たい知識が手を伸ばせばすぐそこにあると言う状態は実に恵まれたことだ。専門家と直接対話できる。時には調査依頼を寄せる教授もあるのは、楽しい。

 

アメリカへ奴隷として売られてきた人々の子孫の系図調査をしたことも何度かある。一見かなり難しそうだが、始めると雇われ先(つまり奴隷の持ち主)まで遡れることが可能だ。初めて調査した時は、作業の途中であまりな主人の扱いに机をしばらく離れなければ心が落ち着かないこともあった。一旦奴隷主まで遡ると、あとはDNA検査でアフリカのどの地方かわかる。ほとんどは西アフリカ、ガーナ周辺から「売られて」来ている。そのアフリカにおいても現地人による奴隷制度はあったのだから、BLM運動の根本は、白人対黒人ではないのは、明白だ。そして黒人だけではなく、全ての命は大切なのだ。

 

このように、系図について話したり、書いたりすると、とめどもなく様々な思いが込み上げてくる。今日は、この辺で切り上げるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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