日経ビジネス4月21日の記事によれば、
イオンの23年2月期のグループ全体の連結売上高(営業収益)は9兆1168億円。過去最高を更新し、初めて9兆円を超えた。営業利益は2097億円、純利益は213億円と増収増益だった。
グループ売上高の2割近くを稼いでいるのが、イオンリテールだ。紛れもなく「イオンの顔」といえる中核企業だが、近年は利益を出せずに苦しんできた。黒字化したのは20年2月期以来、3期ぶり。
イオンリテールは23年2月末時点で353店舗を展開しているが、今やその大半の326店舗にセミセルフレジが入っている。店員が商品のバーコードをスキャンして支払いは専用精算機で行う仕組みだ。
来店客自身がスマートフォンで商品バーコードをスキャンして会計する「レジゴー」も拡大しており、129店舗で導入済み。この他、人工知能(AI)を活用して適正な売価を算出する「AIカカク」をデリカ(総菜部門)336店舗、デイリー(日配部門)324店舗で実装した。
来店客の行動を分析できるAIカメラも76店舗に設置し、接客や売り場の改善に役立てている。23年はAIを使った需要予測・発注システム「AIオーダー」を広げていく計画だ。
こうしたデジタルを使った業務効率化により「コスト構造が筋肉質になり、(無駄が省かれた)リーンな体質に変わった」(吉田社長)という。物価高を受けて、値ごろ感がある「トップバリュ」商品の販売が伸びたことも利益拡大の追い風になった。
イオンは24年2月期の連結決算も増収増益を見込む。営業収益は9兆4000億円、営業利益は4.9%増の2200億円といずれも過去最高を更新する見通しだ。
連結売上高10兆円の大台達成に向けて拡大を続けるイオングループだが、利益率では総合金融やデベロッパー(不動産開発)といった非小売事業が、GMSや食品スーパーなどの小売事業を圧倒しているのが現状だ。
「我々が考えるGMSは、ライフスタイル全般の商品、サービスに加え、地域のコミュニティーとなる場を提供することだ」と吉田社長は語る。売り場改革と構造改革をさらに推し進め、主力の小売事業を利益体質に変えられるか。「完全」復活へ、ここからのプランが重要になる。