図書館が再開したので、さっそく本を借りる。今回は文学of文学、ドストエフスキーの罪と罰。上下巻で結構分厚い。
今日、上巻を一気に読み終えてしまったのだが、これは読みやすい。トマスマンの魔の山もこれと同じかこれより分厚い本だったが、あれは正直きつかった。
今回の罪と罰は、訳者の工藤誠一郎もうまかったのだろう。とても素晴らしい翻訳だとおもう。とはいえ、まだ上巻までしか読んでない。が、半分読んだだけでもこの作品は名作だと分かる。ドストエフスキーは人間のこころというものを実によく知っている。主人公の心理描写や、その他の大勢の人々の心理がことごとくリアルであり、同時に清い。自分もこういう人物でありたい、という希望を作品の登場人物に見出してしまう。どんな終わり方を迎えるかはわからないが、ひとついえることは、この本はどういう内容か?と問われた時に、説明するのが不可能だということだ。
様々な読み方ができる。ただ予感として感じる1つのテーマとしては、「頭(意識)で考えた事などは、行動で体験・経験に比べれば、はるかに矮小であり独善である」ということである。
この作品は、身体というものをかなり重視していることは読んでいてわかる。主人公は頭脳明晰ではあるが、身体はまるでダメである。しかし身体を通じて、主人公は思考では得られなかった数々の経験をつみ、人格が変わる。教養小説の極みである。
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