何故か日本に続々と現れるようになる巨大不明生物。
それらは「禍威獣(カイジュウ)」と呼称されるようになり、
日本政府は防災省、そしてその直属組織である
「禍威獣特設対策室」、通称「禍特対(カトクタイ)」を設立し
各省庁からのスペシャリストを配置していた。
自衛隊、禍特対の力によって倒されていた禍威獣たち。
しかし、その力の通用しない強力な禍威獣が出現したとき
空から舞い降りたもの。
銀色の巨人…「ウルトラマン」の出現であった。
企画・脚本・その他諸々担当の庵野秀明と
監督担当の樋口真嗣。
この「シン・ゴジラ」コンビによる
初代「ウルトラマン」の現代リメイク、と言えるのが今作。
「シン・ゴジラ」と同じく、
『現代の日本に怪獣、そしてウルトラマンが(初めて)現れたとしたら?」を
シミュレートする…という部分からスタートする作品ではあるのですが
おそらく日本でも5本の指に入るほどのウルトラマンマニアである作り手が
有り余る愛情をふんだんにぶち込んで作った2時間のフィルム。
それが「シン・ウルトラマン」でございます。
冒頭(それこそタイトルの出方)から
最後の瞬間に至るまで。
「ウルトラマン」のリアルタイム放送時代からその後の様々な情報までが
この映画にはぶちこまれています。
ウルトラマンの成田亨によるデザイン画やのちの美術作品、色彩検討案、
放送当時の雑誌に掲載された誤情報や設定、
怪獣着ぐるみの改造しての使いまわし、時期によるウルトラマンの顔の変遷…。
脚本に感じる穴やセクハラ的に映る部分もある描写、
公開延期の割には浮いている感があるCGなどの「粗」もある映画ですが
制作者の「ウルトラマン」に対する愛情という言葉では足りない熱量が、
それ以上にこの映画を楽しいものにしているし
「もっと見たい!」と思わせるものにしている、と思うのです。
今のCG技術だからできた成田亨デザインの忠実な再現。
特に外星人たちのデザインには驚かされましたし
もっと動いて暴れる成田デザイン忠実怪獣・星人が見たい!と思いました。
(…やはり作りましょうよ、「シン・ウルトラセブン」。)
…庵野監督による、次なる「シン」は来年公開予定の「シン・仮面ライダー」。
すでにキャスト、姿などは発表されていますが
今度はどんな「思い入れ」を映画に変えるのか、も楽しみでございます。