GW谷間の飛び石平日ですが、わたくしはお休み。
ということで朝からスーパー銭湯へ行ってじっくり風呂に浸かり、
お昼ご飯を食べた後、長崎県美術館へ。
この春の長崎県美は
「テクテクテクネー 技法でひらく想像世界」
長崎県美の収蔵作を中心に、4つのテーマとその作品に使われている技法に着目した
そんな展示となっております。
銅版画の技法による細かさの違い、微妙に色味が違う黒の顔料の使い分け、
物陰にひっそりと隠れた木彫の菫。
技法を学ぶことは、作者が作品に込めた思いを学ぶこと。
なぜその技法を用いたのか、それによってどう題材の魅力を引き出すのか。
そんな視点の変化を持たせてくれる展示、でございました。
特に印象的だったのはピカソの
「多色刷りを一枚の版木でやるために刷った後その部分を削って別の色を乗せる」作品。
版画なのに量産がきかない、1枚プリントするためだけの方法、という発想。版画なのに一点もの。
そして常設展では、長崎ゆかりの同時代の5人の作家…
松尾敏男(日本画)、鴨居玲(西洋画)、東松照明(写真)、奈良原一高(写真)、菊畑茂久馬(抽象画)が
いかに「戦争からの影響」を描いたか、という展示。
戦争期に(徴兵可能年齢でない)子供時代を過ごし、
終戦とともに価値観が変わる社会を体験した世代の彼らがその後の社会に見た戦争の跡と、
変わりゆく日本や世界の姿をどう作品に反映していったのか、というテーマでの展示。
どちらもほとんどが「過去に見た作品」であるものの、
キュレーションによって作品の受け取り方が変わる、という展示であり
コロナ禍による巡回展の中止/遅れが落ち着きつつある今(予断を許さない状況ではありますが)
こういった「収蔵品を見つめなおす」展示もこれが最後なのかも、と思ったりもいたしました。