神の力である魔力を分け合い、6人のヒーローとなったビリーたち。
フィラデルフィアで起こる数々の事件を解決しようとするものの、
(まだ中身は子供なので)失敗も多く、「フィラデルフィアの恥」とまで呼ばれることに。
そしてヒーローをやっていない素顔の彼らの日常がそう変わるわけでもなく。
一方、彼らの力のソースである古の神の一人であるアトラスの娘たちが
現世に訪れ、(前作で折られた末に)博物館に仕舞われていた魔術師の杖を奪い
取り戻した魔力で、奪われた父の力を使うもの…ビリーたちの力を奪い、
自分たちの計画を進めるために動き出す。
神の力を持つヒーローvs本当の神の戦いが始まる…
既に仕切り直しが発表されているDC映画ユニバース。
次作である「ザ・フラッシュ」で根底から揺るがされ、
続く「アクアマン2」で次の展開への種がまかれて
ジェームス・ガン監督/脚本の新スーパーマン映画で本格的に再スタートが予定されており
そういう側面から考えるとある意味今作は今後続くかどうかもわからない、
悪い言い方をすれば「消化試合」感はあります。
さらに言えば主演俳優であるザッカリー・リーヴァイの女性差別団体との関係や
ディスカバリーによるワーナー/DC買収後のごたごた…
特に不祥事を起こし続けても過剰に擁護され続けるエズラ・ミラーに対して
有色人種女性が主演の「バットガール」が完成していたのにお蔵入りにされたり、といった
そういった側面でワーナー/DCに逆風が吹いている状況、でもあります。
さらに言えばこの国においては前作吹き替え版は福田雄一による監修によって
正直ひどい出来にされてしまっていた、という部分もあったり、
今作も同週にジャニーズ主演の人気ラノベ原作映画「わたしの幸せな結婚」や、
(こちらもタイトルやキャスティングから想像できない伝奇アクションらしい)
あの庵野監督の「シン・仮面ライダー」(こちらは今週見に行く予定)、
さらに「ドラえもん」などの人気作も公開中とかなり厳しめな状況な上
最近のMCU作品でうすうす感じていますが
どうも日本の観客にアメコミ映画疲れが出ている感も、な現状。
…とまぁ、この作品を取り巻く状況はかくも厳しいものであり、
その結果日本での初週ランキングは7位、と大作アメコミ映画としてはかなり厳しいもの、
アメリカ本国でもかなり厳しい状況にあることも確かなようです。
だがしかし。
今作、「春休みに見るティーンヒーロー映画」としては
本当に満点をつけてもいい出来でした。
少年たちの成長(話の焦点はビリーとフレディの二人に当たってますが)と
勇気と家族愛と冒険の物語として、かなり気持ちのいい快作に仕上がっております。
前作同様ホラー出身の監督ということでわりと人は容赦なく犠牲になるけれど
(瞬間が描かれることはないですが)
ヒーローが助けられる状況ではしっかりと人を助け、
魅力的なモンスターたちも登場したりと
本当にちょうどいいファミリー向けアクション大作に仕上がってくれており
ユニバース作品としての他作品とのつながりも多すぎず、
それでいてポイントを押さえた楽しめるものにしてくれている。
休みの前の日にテレビ放送されて家族そろって楽しんだような
あの頃の空気感を持った作品、としての満足度はかなり高いものでした。
公開されているうちに、できれば映画館の大スクリーンで見てほしい、そんな1作です。
今回は吹替版もよかったですよ。