トルーマン・カポーティ著/佐々田雅子訳『冷血』(新潮文庫)を読む。
カポーティが5年の歳月をかけて取材をすすめ完成させた、ノン・フィクション・ノベルの名作だ。
以前から読みたいと思っていたけれど、分厚い本が苦手で敬遠していた。この夏、新訳が文庫化したので、挑戦することにした。
読了までに3か月かかったが…。
カポーティの短編小説は、大学生のころ愛読した。
ちくま文庫の『カポーティ短編集』河野一郎編訳。
講義の合間にミスドで読んだのを鮮明に覚えている。
読んだ場所と結び付いてる思い入れのある本だ。
繊細な文章が魅力のカポーティだが、『冷血』は殺人事件を題材としている。
犯行の手口と逃避行、逮捕後の裁判の模様が綿密に描かれる。緊迫感のある場面が続く。
事件を追うだけではなく、周辺の人々のインタビューにも相当数のページを割いているところにカポーティの本領が発揮されている。
普通の人々の声を拾うことで、『冷血』は単なる殺人事件を扱ったノン・フィクション以上の、“全体小説”としての価値を持った。
僕の印象に残ったのは、殺人犯二人組が少年と老人のヒッチハイカーを車に乗せるシーンだ。
少年は、おじいさんである老人を「ジョニー」と呼び捨てする。少年は道路に落ちている空きビンを拾っては換金し、小銭を得ている。
道中、殺人犯二人組は、少年に付き合って空きビンを拾ううちにその“ゲーム”に夢中になる。自分たちに捜査の手が伸びていることも忘れて。
少年と老人は町に着くと、あっさり別れを告げる。
本筋とは関係ない、取るに足らないエピソードだ。それでも何か、リアリティを感じるのはこういう場面だ。
カポーティの取材過程を題材にした映画が、9月末に公開される。
評判がいいようなので、こちらも楽しみだ。
カポーティが5年の歳月をかけて取材をすすめ完成させた、ノン・フィクション・ノベルの名作だ。
以前から読みたいと思っていたけれど、分厚い本が苦手で敬遠していた。この夏、新訳が文庫化したので、挑戦することにした。
読了までに3か月かかったが…。
カポーティの短編小説は、大学生のころ愛読した。
ちくま文庫の『カポーティ短編集』河野一郎編訳。
講義の合間にミスドで読んだのを鮮明に覚えている。
読んだ場所と結び付いてる思い入れのある本だ。
繊細な文章が魅力のカポーティだが、『冷血』は殺人事件を題材としている。
犯行の手口と逃避行、逮捕後の裁判の模様が綿密に描かれる。緊迫感のある場面が続く。
事件を追うだけではなく、周辺の人々のインタビューにも相当数のページを割いているところにカポーティの本領が発揮されている。
普通の人々の声を拾うことで、『冷血』は単なる殺人事件を扱ったノン・フィクション以上の、“全体小説”としての価値を持った。
僕の印象に残ったのは、殺人犯二人組が少年と老人のヒッチハイカーを車に乗せるシーンだ。
少年は、おじいさんである老人を「ジョニー」と呼び捨てする。少年は道路に落ちている空きビンを拾っては換金し、小銭を得ている。
道中、殺人犯二人組は、少年に付き合って空きビンを拾ううちにその“ゲーム”に夢中になる。自分たちに捜査の手が伸びていることも忘れて。
少年と老人は町に着くと、あっさり別れを告げる。
本筋とは関係ない、取るに足らないエピソードだ。それでも何か、リアリティを感じるのはこういう場面だ。
カポーティの取材過程を題材にした映画が、9月末に公開される。
評判がいいようなので、こちらも楽しみだ。