ルイス・サッカー著・幸田敦子訳『穴 Holes』(講談社文庫)読む。
主人公の少年は、荒地の真ん中にある矯正キャンプに入れられ、無益な労働に従事する。
それは、荒地にひたすら穴を掘ること。
目的は告げられていない。ただ毎日一つ、深さ・直径1.5メートルの穴を掘り続けるのだ。
何とも奇妙なシチュエーションの小説である。
過酷なキャンプでの主人公のサバイバルがこの小説の主軸となる。
主人公の名はスタンリー・イェルナッツという。Yelnatsを後からつづると、Stanleyになる。ひいじいさんのころから、イェルナッツ家の息子はこの名前であり…。
少年が放り込まれるのは、湖が干上がった不毛の地にあるグリーン・レイク・キャンプ。湖があったころ起こったある事件のあと、百十年間、雨が降っていない…。
…など、さまざまなエピソードが、主人公がサバイブする主軸と絡んで、やがて大きな物語となる。
奇想天外なストーリーを語る構成が見事な小説だ。
この小説は、ヤングアダルト向けに書かれたジュブナイル(児童文学)であり、そのジャンルの賞を多く受賞している。
だが、けして子供向けではなく、大人が読んでも(大人だからこそより)楽しめる小説だと思う。
この小説を一言で言うと、“ホラ話”ということになる。
トール・テイルやフィッシュ・ストーリーなど、アメリカの口承文芸の伝統としての“ホラ話”(映画『ビック・フィッシュ』を思い浮かべてほしい)は、アメリカ文学の源流の一つでもある。『ハックルベリー・フィンの冒険』のマーク・トウェインはその偉大な先人だ。今年亡くなったカート・ヴォネガット・ジュニアもこの系譜に入るだろう。
ルイス・サッカーは、“ホラ話”を語る正統な後継者といえる。
この小説の魅力をうまく伝えるのは、難しいので、是非一読をお勧めする。
小説中にこんな言葉がある。
あとの穴は、想像力で埋めてほしい。
つまり、ホラにリアリティーを与えるのは、読者の想像力ってことだ。
主人公の少年は、荒地の真ん中にある矯正キャンプに入れられ、無益な労働に従事する。
それは、荒地にひたすら穴を掘ること。
目的は告げられていない。ただ毎日一つ、深さ・直径1.5メートルの穴を掘り続けるのだ。
何とも奇妙なシチュエーションの小説である。
過酷なキャンプでの主人公のサバイバルがこの小説の主軸となる。
主人公の名はスタンリー・イェルナッツという。Yelnatsを後からつづると、Stanleyになる。ひいじいさんのころから、イェルナッツ家の息子はこの名前であり…。
少年が放り込まれるのは、湖が干上がった不毛の地にあるグリーン・レイク・キャンプ。湖があったころ起こったある事件のあと、百十年間、雨が降っていない…。
…など、さまざまなエピソードが、主人公がサバイブする主軸と絡んで、やがて大きな物語となる。
奇想天外なストーリーを語る構成が見事な小説だ。
この小説は、ヤングアダルト向けに書かれたジュブナイル(児童文学)であり、そのジャンルの賞を多く受賞している。
だが、けして子供向けではなく、大人が読んでも(大人だからこそより)楽しめる小説だと思う。
この小説を一言で言うと、“ホラ話”ということになる。
トール・テイルやフィッシュ・ストーリーなど、アメリカの口承文芸の伝統としての“ホラ話”(映画『ビック・フィッシュ』を思い浮かべてほしい)は、アメリカ文学の源流の一つでもある。『ハックルベリー・フィンの冒険』のマーク・トウェインはその偉大な先人だ。今年亡くなったカート・ヴォネガット・ジュニアもこの系譜に入るだろう。
ルイス・サッカーは、“ホラ話”を語る正統な後継者といえる。
この小説の魅力をうまく伝えるのは、難しいので、是非一読をお勧めする。
小説中にこんな言葉がある。
あとの穴は、想像力で埋めてほしい。
つまり、ホラにリアリティーを与えるのは、読者の想像力ってことだ。