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夫、義父、私の三人でバスに乗った。夫と義父が路線バスに乗るなんて、めったにないことだ。
義父は窓から見える光景が珍しいようで、熱心に眺めていた。自分で運転する風景とは違うのだろうな。
夫はなぜか、チケットを片手に持ったまま固まっていた。これはパスチケットと入場券が一緒になったもの。
さて、行った先は・・・
スタジアム。
こんな位置に三人並んで座った。
こうした人々ばかりを撮影したら夫が訝しんだ。「何を撮っているんです?ゲームはあそこです」
警察官の帽子がひどくかっこよかったんだ。バイエルン州の制服は緑のはずなのに、別の警察もこうした大掛かりなイベントでは使われるのかな?
テレビ観戦ではなかなか見られない部分を記録しておきたかった。
明らかに臨時雇いと思われるセキュリティの人々。次回、私を雇ってくれないかしら~。怪我選手がでて、走る!これはテレビでも見たなぁ。
芝生がめくりあがったところを直す作業など、とても印象的だった。本物の芝なのね・・・ウチの芝の手入れでさえとても大変なのに、この面積の芝刈りだけでいったいどのくらいの人件費やガソリン代がかかるのだろう。
華やかな試合会場に多額のお金が動いていることを感じる。
空席も目立つけれど、14300人の観客がいたそう。
夫は自動車通勤。事務所の駐車場は暖かい地下にある。事務所も過剰なくらいに暖房してあり、夫は外套を着ることなどめったにない。義父も外出時はほとんど自分で運転して出かける。庭仕事で数時間を屋外で過ごすことがあるが、寒く感じればすぐに家で温まることができる。
一家で、バス移動の辛い部分を知っているのは私一人だ。10分バスを待つだけで、ひどく寒くなることを知っている。サッカー観戦にどのくらい厚着すればいいかなど簡単に予想できる。ぶくぶくに着込んだわたし。義父と夫は青くなって震えていた。
何度も夫は温かい飲み物を買いに行って、義父と私に配った。
義父は寒いなかでじっと座っている観戦に本当に参ったようだ。
「家でテレビ観戦のほうがいい」
息子からのせっかくの贈り物にこうした感想を洩らした。