夫の仕事仲間と歌劇鑑賞することになった。
演目はこれ。
ベートーベン「フィデリオ」
刑務所が舞台の少々暗い内容だ。私は序曲の一部を知っているくらいで、オペラに特別に興味を持っているわけでもない。
夫もそのレベルの鑑賞力しかないので、行きの車中で申し合わせておいた。
「いびきをかいたら、起こしてね」
バイエルン州立歌劇場。
ミュンヘン行き、夜の外出を厳しく制限されている私。夫は仕事関係の集まりには仕方なく私を連れ出していくのさ、うほほほほ~
映画やテレビでしか覗いたことのない、本場、欧州の歌劇場。
最上階の席から見下ろすと、吸い込まれて落下しそうな迫力だ。
開演直前に、このシャンデリアがゴー(いや、なにも音はしなかったのだが)って半分ほど上がっていったので、
思わず「おおおおお~!」と叫んだ私はかなり田舎者丸出しを暴露したぞ。
仲間たちは思い思いのおしゃれを楽しんでいた。このジャケット、瞬時のうちに「のだめカンタービレ」の1シーン(のだめがモーツァルト風の服装で演奏した)と在独仲間でコスプレが趣味の菊子さんを思い出したぞ。
奥に見える赤い蝶ネクタイはわたし達の集団のリーダー。黒い蝶ネクタイは数名みかけたけど、赤は彼一人だった。
周囲を見渡すと、男性の約半数がネクタイ無し。蝶ネクタイは数名。
女性もさすがにジーンズ姿は見当たらなかったけど、予想していたほど着飾っている人は少なかった。
さて、そのオペラの内容なのだが。
その斬新な内容にびっくり。眠るどころか、どんどん引き込まれていったのだ。
しょっぱなからフィデリオが男装するシーンがあるのだが、シャツを脱いだかと思うと黒いブラ姿になり、さらしのような布を胸に巻きながら歌っている。
ひえ~
本当は女のフィデリオを好きなマルツェリーネはミニスカートを翻し、太ももあらわにして動きまくりながら歌う。
ひえ~
舞台は点滅する蛍光灯。使われている音楽は昔と変わらない、ベートーベン。
夫も「すごい」「おもしろい」を隣で連発していた。眠るどころの騒ぎではない。
私的にクライマックスは、フィデリオが刑務所の中の旦那に再会して女性に戻るシーンだったのだが、
なんと、この歌手は服を脱ぎながら歌い、ブラとパンツ姿になり、ワンピースを着るのだ。
そのブラとパンツ姿も素敵で。
声楽家、というと大柄な人が多いという印象だったのだが、最近違うのだろうか。
マルツェリーネはソプラノなのに、ほっそりしていたし。
クラシック音楽の衰退を避けるため、演出や歌手も現代人の感覚にあわせていっているのだろうか。
オペラ鑑賞は限られた愛好家の趣味、と思っていたが、
この初めての経験でその考えは変わった。
また、機会があったら、いきたいなぁ~。
ただ、高くてね。今回は会社の負担。最上階の席で、1万円。
日本在住時にもいきたかったけど、なにしろ、高くて。人件費と建築物の維持費が莫大なオペラ鑑賞、
高いのは理解できるけど。
歌手の顔ぶれや衣装がちょっと違うけど、この内容で鑑賞した。
クラシック音楽に興味の無い方でも、ドイツ(あるいはヨーロッパ)に在住、旅行される機会があったら是非、
オペラを体験してもらいたいものである。